劇場公開日 2008年2月9日

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「誇りの物語。ぬるくない。」君のためなら千回でも こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0誇りの物語。ぬるくない。

2023年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

前半で終わってしまっても名作なのに
後半の展開は…傑作かもしれない。

どうにも主人公が魅力的に感じにくい話である。
反感を感じてしまうのも
いやになるほど、卑小さを彼自身が
人に言われるまでもなくわかっているからで
その気持ちから大切な友達にあんな態度を
とってしまったのだというのが
観ていて嫌になるほどわかってしまう。

子供の頃の彼は自分のプライドにこだわってしまい
ただでさえ傷ついている友達をさらに傷つけた。
ハッサンが主人公を許し、また長いこと
想っていたというのが
解せないような、それでもほかに友達ができなかったことの証明かもと
考えるとあまりにも悲しいような。

また、この映画では人間は一元的なものじゃなくって
すっぱりと答えを出せない問題も
抱えた存在であると示す。

長い時間をかけて主人公が
本当の誇りを手にいれていく物語。
持たざる者、持ってる者、と人間にはあるかもしれないが
大事なものを持ってる人間は
他人に与えることができる。

ラストの主人公のまぶしい笑顔がなによりも
周りに与えられる宝石ではないか。

こんなにも雄弁な凧があるのですね。
号泣しました。

こまめぞう