「ストーリーと設定について」アイ・アム・レジェンド ロボさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーと設定について
ネットのレビューを見ると結末が悪いとか、設定の矛盾が多いという意見がありますが、やや的外れかと思います。
設定もストーリーもリアリティに満ちていて、見事な世界観を形成していると言えます。
たしかに鑑賞直後は、“なんでずっと頑張ってきたネビルが死んでとっておきのベーコン食った狂信者が生き残るんだ”、と感じるかもしれません。しかし、そこで振り返ってよくよく考えると、サム(愛犬)がウイルスに感染してしまった時点でネビルは終わっていたんです。感染したサムを葬ったあと、ネビルはダークシーカーに報復しますが、あれは完全に自殺行為です。家に潜伏するのと比べ生き残る保証が何もありません。そこまでの彼の行動から考えて、もしサムがいれば何があってもあんなことは絶対にしません。サムが死んだことで生きる希望を完全に失ったのでしょう。心中のつもりだったと思います。
それをアナに助けられた。だからネビルが死に、アナが生き残ることは不条理ではありません。
その他に気になる意見として、
・ラストでネビルは感染していたために自爆を選んだ?→感染してません。ネビルは接触感染にも免疫を持っています。(サムは空気感染にしか持っていなかった)
・無人の街なのにライフラインが生きている→死んでます。発電機を使っているし、ガスボンベを撃つシーンがあります。水は外でタンクにくんでるんでしょう。
・自爆する必要はなかった→リーダーを確実に仕留めるにはあの方法しかなかったのでしょう。
・生存者の村は近くにあった→夜明けに出発すれば日没前に着く、と言っているので近くはないです。
あえてつっこむ所を探すとすれば、アナが使った紫外線照射装置?はネビルの家では使えなかったのか?とか、ダークシーカーのリーダーといえどネビルのトラップを見様見真似で再現できるものか?とかでしょう。
あまり集中せずボーッと観た人や、泣ける大きな感動を求めて観た人にとっては、拍子抜けのつまらない映画となるかもしれません。しかし、普段から目的意識や理想が低くボーッと生きている人には特に、人生の規範を示し成長を促してくれるいい映画だと思います。