劇場公開日 2008年3月8日

  • 予告編を見る

バンテージ・ポイント : 特集

2008年2月25日更新

異なる8つの視点から大統領狙撃という衝撃的な事件の真相を暴く「バンテージ・ポイント」が間もなく公開。折りしもアメリカでは大統領選挙が熱く盛り上がっているいま、その米大統領を守るために欠かせない存在であり、本作でも主人公にすえられている“シークレットサービス(SS)”という職業に注目。現場の不穏な空気を敏感に読み取り要人を警護る彼らは“KY”ではいられないが、しかし、昨今の彼らはジャック・バウアー並に忙しい。過去の代表的なSSたちと共に、彼らの“JB(ジャック・バウアー)度”を分析してみよう。また、本作でSSに扮したマシュー・フォックスのインタビューもお届けする。(文:佐藤睦雄)

“KY”じゃ務まらない!シークレットサービスは、とっても“JB”!

バンテージ・ポイント」は、スペイン・サラマンカで開催されていた対テロ組織の国際サミットに出席していた、アシュトン米大統領(ウィリアム・ハート)の警護に当たっていたシークレットサービス、トーマス・バーンズ(デニス・クエイド)の活躍を描くアクション・サスペンスだ。だが、大統領は、白昼の大広場で大観衆を前に演説を始めようと壇上に立った瞬間、バーンズの目の前で、何者かに狙撃されてしまう……!

様々な人物の視点から見ることで、真相が浮かび上がってくる
様々な人物の視点から見ることで、真相が浮かび上がってくる

映画は、大統領暗殺事件の1発の凶弾のナゾをめぐり、8人の視点──TV中継する番組プロデューサー(シガニー・ウィーバー)、バーンズの同僚シークレットサービス(マシュー・フォックス)、スペインの地元刑事、アメリカ人ツーリスト(フォレスト・ウィテカー)、アシュトン大統領、テロリスト3人──をバーンズが追いかけ真実に迫るサスペンスなのだ。何度もRWD(リワインド)ボタンを押したように巻き戻しされ、「羅生門」形式で違った観点から事件が検証されるわけだ。クライマックスにはヨーロッパ独特の狭い路地で繰り広げられるカーチェイスもあり、アクションスリラーとしての見せ場もある。

興味深いのは主人公がシークレットサービス(SS)という職業だからだろうか。ダークスーツを着て、私用のサングラスと無線のチューブ(透明のコイル型イヤホン)を着け、無表情で要人に寄り添っているSSである。その出で立ちは「マトリックス」のエージェント・スミスに似ている。

大統領をガッチリとガード!
大統領をガッチリとガード!

今回は、「エニイ・ギブン・サンデー」「デイ・アフター・トゥモロー」のデニス・クエイドはもちろん、「LOST」のマシュー・フォックスがダークスーツをカチッと着こんでいる。

今ではアメリカで大統領など要人警護を行うUSSSは、19世紀の設立当初は偽造通貨の取締りが主な仕事だったが、1901年に第25代マッキンリー大統領が暗殺され、財務省管轄のまま要人警護の仕事に就いた。まだ、FBI(連邦捜査局)も、CIA(米中央情報局)も、DEA(麻薬取締局)もなかった時代だ。

01年9月11日の同時多発テロを受けて、03年に国土安全保障省(DHS)が設立されると、その管轄下になって「テロとの戦い」も業務に加わった。

日本のTVドラマ「SP」で岡田准一と堤真一が同様の役回りのセキュリティポリスを演じているが、今ではテロ対策は要人警護とイコールなのだ。全米の人気ドラマ「24」に登場する連邦機関CTU(テロ対策ユニット)は架空の組織だが、「バンテージ・ポイント」のSSたちは、ジャック・バウアー捜査官(キーファー・サザーランド)の仕事に近づいており、かなり骨を折れる仕事のようだ。

過去の映画作品の中に登場したSSの苦闘ぶりを、ジャック・バウアー度(JB度)で比較してみよう。

■トーマス・バーンズ(デニス・クエイド)/「バンテージ・ポイント」

画像3

アシュトン米大統領警護中、大統領の楯となって銃弾を受け負傷した過去がある。自身もそれがトラウマとなっていたが、スペイン・サラマンカでのサミットから復帰。だが、大統領が大広場で銃弾を受け、身体を張って狙撃犯を突き止めていく。

【JB度】★★★★★★★ 7.0/10

■ケント・テイラー(マシュー・フォックス)/「バンテージ・ポイント」

画像4

トーマス・バーンズの同僚で、彼を現場に復帰させた良き理解者。スペイン・サラマンカでの国際サミットでアシュトン大統領を警護するが、バーンズの隣で見守っている目の前で大統領が狙撃されてしまう。

【JB度】★★★ 3.0/10

■ピート・ギャリソン(マイケル・ダグラス)/「ザ・センチネル/陰謀の星条旗」

画像5

かつてレーガン米大統領暗殺を阻止した伝説的な英雄だが、ファーストレディ(キム・ベイシンガー)とも逢瀬を重ねるなど下半身は奔放だ。 SS内部に大統領暗殺計画の内通者がいることが発覚すると、内部調査を陣頭指揮する教え子のブレッキンリッジから疑いの目を向けられる。

【JB度】★★★★★ 5.0/10

■ベビッド・ブレッキンリッジ(キーファー・サザーランド)/「ザ・センチネル/陰謀の星条旗」

画像6

シークレットサービスとして師匠にあたるギャリソンを尊敬しているが、自分の妻を寝取られ、今では2人の間に深い溝ができている。激情型のエージェントで、何かあるとすぐく銃口を向けてしまう、“そのまんま”バウアー・タイプ。大統領暗殺計画に内通者がいることが発覚すると、同僚のギャリソンに疑い出す。

【JB度】★★★★★★☆ 6.5/10

■フランク・ホリガン(クリント・イーストウッド)/「ザ・シークレット・サービス」

画像7

かつてジョン・F・ケネディ米大統領の暗殺を阻止できなかったことがトラウマになっている老エージェントだが、再選キャンペーンで全国を遊説中の米大統領を暗殺予告が届き、ホリガンは、変身術を身につけ、神出鬼没に大統領の身辺に現れる元CIAエージェントの暗殺者(ジョン・マルコビッチ)からの挑戦状を受け、全面対決する。普段はジャズを愛する孤独な男。

【JB度】★★★★★★★★★☆ 9.5/10

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む
「バンテージ・ポイント」の作品トップへ