「世界は2人のために、王道の恋愛映画」フローズン・タイム みじんコさんの映画レビュー(感想・評価)
世界は2人のために、王道の恋愛映画
主人公が時を止める能力を持った青年
映画のキャッチコピー
『時間が止まった世界僕の恋は加速する。』
ポスターイメージ
スーパーマーケットで上半身を裸に剥かれている女性
上記の3点をセットを見たら
ポールヴァーホーベンの『インビジブル』みたいなエロコメディ?サスペンス?映画だと普通思うよね?
そんなトラップに引っかかったアホが一匹登場~(涙
まあ、スーパーマーケットで時間を止めて女性を裸にするシーンはあるんですけれども
することがまぁ<<デッサン>>というね…
頭の中にエロスと欲望が詰まった健全な青年ならばもっと他にする事があるだろうと思う訳ですガガガガ(それこそ「インビジブル」になってしまう! )
~閑話休題~
まぁ、この映画はそういった青年のほとばしる熱いパトスをぶつける たぐいの映画ではありませんでして
僕なりに真面目にこの作品を解釈すると、人は恋愛でも死別とか『辛い悲しい別れ』を体験すると『時間が止まってしまう』という感情に襲われる事がありますよね。
好きな人と一緒に過ごしていた時は輝いていた時間、場所、思い出…
それらが一気に色を無くしてしまい、砂を噛むような、ただ気力も無く、人と交わることも無く、生きている『だけ』のデク人形になってしまう瞬間…
そんな失恋時の空虚な精神状況をこの映画ではどストレートに『時を止める』という表現で表したのかなと、
だって時が止まっていれば、他者と関わる事も、他者に心を動かされる事も、自分が他者から傷つけられる事も無いわけですから…
この映画の主人公は少年時代のトラウマ体験から
『女体こそ心を動かす芸術である』を信条に数多くの女性のヌードデッサンを繰り返します、
つまり彼にとっての女性の肉体は『オブジェ』でしか無いわけで、彼はその内面への興味を失ってしまってしまっている…
男性ならばその気持ちよ~くわかると思います、失恋していればなおの事、異性との心を通わせて傷つくことを自ら避けようとしますよね…
しかし、ある出会いを機に彼の世界は再び『色』を取り戻します、それは恋する女性の出現…
そして彼の描く絵にも変化が現れます、描く対象が女性の『肉体』から『表情』への変化、それは彼が女性の『外見』ではなく『内面』を見るように成長したという事、つまりそれは『愛』ですよね。
そして『愛』に溢れた彼の作品は他者からも評価を受ける事になり、彼の世界は再び動き出し始めます。
奇をてらっているようですがこの映画、すごく王道の恋愛を描いた作品なんだと思います。
個人的には世界を取り戻した主人公は『時を止める能力』を失って終わるのかと思っていましたが
あのラストとはね…
きっと『世界は2人のために』って事ですよね
ご馳走様でしたっっ!!