迷子の警察音楽隊のレビュー・感想・評価
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アラビア語とヘブライ語
1979年にようやく友好条約が結ばれたというエジプトとイスラエル。今でも宗教の対立はパレスチナ問題を見ればわかるとおり。彼らは本来なら相容れない存在なのだ。アラビア語とヘブライ語。そして彼らの間には英語という意思の疎通のための言語がある。字幕もわかりやすく、カッコで示されていた。
団長とディナの間にほのかな恋愛感情が生まれたのは言うまでもない。ただ、団長は3年前に亡くなった妻のことが忘れられないでいるのだ。なんとか一晩の相手にと、誘いをかけるディナ・・・彼女もすでに40を超えていそうだ・・・だったが、明日のコンサートに向けて早く眠りたい。そして、このまま恋してしまったら面倒だ・・・などと思っていたのかもしれない。しかし、残酷なことに、楽団で最も若く、才能があり、ナンパなカーレド(バクリ)がディナとセックスしてしまうのだ・・・だが団長は見て見ぬふり。彼女を満足させられないという気おくれもあった。
警察音楽隊だというから、軍隊調の曲を演奏するのかと思えば、これがまたマッタリとしたアラブの伝統音楽。ほのぼのさせてくれる音楽だった。副団長のエピソードも気になり、コンチェルトを作曲できるのだろうか・・・
ホッコリするな〜
エジプトからイスラエルに来た警察音楽隊。空港での出迎えがなくバスで現地に向かうが、行き先を間違えて、ホテルすらない過疎地へ。帰りのバスが無く、道を聞いた食堂の人達の好意で一夜を過ごす事に。
異国の地で迷子になる不安感、刺激の無い街の住人の反応。関わる両者の距離感がとても面白く描かれていて、海外の人に距離を置く感覚は万国共通かと、ホッコリ出来る。楽団のイケメン男が、現地の女性経験の無いブ男に指南するシーンは抜群に面白い!
アラブ人とイスラエルの国家間事情が分からないとね・・・
迷子になった国家間の風土の違いに戸惑うエジプトの警察音楽隊を描いた作品でちょっと変わった内容で、物珍しさもあり、まずまずの評価です。
実はイスラム国家間の事情が分かれば、もっと面白さが伝わるのですが
日本人だと多分、意味が分かんないんだろうなと思う。
ちなみに俳優も画像も面白い。
イスラエルの風景の映画なんてなかなか見ないので。
国際映画祭では評価が高いのもそんな背景がすべて。
勉強して観るべし!
アラビア語で何か言って?音楽のように聴くから
映画「迷子の警察音楽隊」(エラン・コリリン監督)から。
エジプトの警察音楽隊が、イスラエルに招かれ演奏会に行き、
現地で迷子になるというストーリー。
予告では、面白いシーン満載だったけれど、
実際は、笑えるシーンは最初の数分だけで、
宗教とか、エジプトとイスラエルの関係は
よくわからないけれど、けっこう重たい映画だったと思う。
外国人と言葉が通じない時のあのどんよりした雰囲気、
それを一晩中、続けるとなると、気が滅入る。
わかるだろうか・・そんな映画なのである。
それでも、その雰囲気を打破するために、片言の英語で話す。
それが、今回の気になる一言。
「アラビア語で何か言って?音楽のように聴くから」だった。
正直、アラビア語は全然わからない。
でも、音楽のように聴くから、ずっとアラビア語を話して・・。
彼らに、ストレスが貯まらないようにしてあげたのかな。
にっ(O^^O)てかんじ☆
久しぶりにこんなスローペースな映画を観ました。
すごくスロー。
たった一晩の音楽隊の迷子の様子を描く。
ただそれだけ。
私はさえない男の子がさえない女の子を慰めるシーンが
好きです。
3人並んでたんたんと進むやりとりのなかに
すごく微笑ましい要素がたくさん盛り込まれてるというか。
ほんといい。
世の中に逆行してるような映画だけど、観る価値はあると思います。
迷子たちの誇り。
実は、どうしても、どうしても、観たい作品だった。
まさかと思ったけど!?それが地元のシネコンにやってきた。
うっそー。でも嬉しくて仕方なかった。。早速!!と思いきや、
二週間の限定上映。頑張ってスケジュールを錬るも時間が合わず
もうダメか??と思った最終日に、ついにその願いが叶った♪
…やっぱり映画の神が味方になってくれた!と感じた瞬間。(爆)
カンヌ映画祭「ある視点」部門で“一目惚れ”賞を、
昨年度東京国際映画祭で最優秀のサクラグランプリを受賞した作品。
長年、敵対関係にあったというエジプト人とイスラエル人の
たった一夜の夢のような物語ではあるけど、いたってシンプルな話。
取り立てて説明もなければ、もちろん仰々しい演出もない。
エジプトの警察音楽隊が、招かれてイスラエルに演奏に来たものの、
降りる街を間違えて迷子に。そこで一晩だけ親切な食堂の女主人の
世話になるという話。本当にそれだけなのだ。(爆)
ところがこれが素晴らしく素敵で、私も一目惚れしてしまった^m^
なにはともあれ、誇り高き団長役・サッソン・ガーベイである。
彼以外にこんな役は出来ないだろう~♪ピタリとハマっている。
こんな奴について行きたくない!と誰もが思う頑固親父だけど、
彼にもいろんなドラマがあったのだ。
それをサラリと女主人に語らせ、ほのかな感情を芽生えさせるも、
彼はやっぱり団長だった^^;親父には団員を引率する責任がある。
どこまでも頑固で意気地のない彼が、小さく小さく手を振る姿が
なんとチャーミングなことか♪
彼と何かと対立するイケメン団員・サーレフ・バクリも素晴らしい。
ナンパ師の彼が、迷い込んだイスラエルでは誰一人モノにできず^^;
ひいては知り合いになった男の子の恋愛指南をするハメに!?
他の団員達も、どんな難事に巻き込まれてもジーっとして動かない。
呆気にとられ吹き出してしまうような「間」がとにかく絶妙なのだ。
どんなにトホホ…な状況でも、常に温かく彼らを見守る視線が
最初から最後まで徹底しているのに、泣かせようとする演出はない。
彼らのいた両国のバックグラウンドを知れば知るほど、この作品が
興味深くなり、冒頭の語り「過去にエジプトの音楽隊が来たが、
それほど大したことではなかった。」の真意が分かってジーンとする。
やっとのことで、彼らの演奏が聴けるラストまで(爆)
彼らと一緒にジーっと身構えながら、心はどんどん温まっていく。
名優オマー・シャリフやファテン・ハママの名を聞けたのも、
名曲“サマー・タイム”“マイ・ファニー・バレンタイン”が
口ずさめたのも、人の心には何の国境もないことを教えてくれる。
(今もアラブ系イスラエル人は苦労しているそうだ。希望を開こう!)
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