ノーカントリーのレビュー・感想・評価
全151件中、141~151件目を表示
話術と音響の恐怖
なるほど、噂通りに、いや噂以上にアントン・シガーという殺し屋は怖い。武器が怖い。話術が怖い。殺しのスキルが怖い。行動力が怖い。信条が怖い。髪型も怖い。ここまで観終わった後に心に残る余韻を残す悪役は久しぶりだ。間違いなく映画史に残る。
ついでにワンコの追跡も怖い。猟犬って泳いででも追ってくるんだ。知らんかった。
中盤までは恐ろしく密度の濃いサスペンス&アクションの世界。コーエン兄弟が今まで培ってきた映像術がフルに力を発揮している。ロジャー・ディーキンズの撮影と兄弟自身の編集術も相まって美しく完璧な世界だ。追うバルデムは当然のことながら、追われるブローリンもタフで良い。
で、やはり後半の締めが問題。この閉め方故に他のサスペンスと一線を画する作品になっていることは間違いないが、果たしてそれで良いのか?悪いのか?「役にも立たないトミー・リー・ジョーンズなんか見たくないし、言葉があり得ないくらい芝居臭い。カタルシスを!」と叫ぶ自分がどこかにいるが、果たしてベル保安官がシガーを倒すラストだと今自分が浸っている余韻はあるのか??DVDでじっくり見て結論を出す必要があるな~と思っておるのです。
うーん!実におもしろいぜ!!
近年ここまで ”抑制”の効いた画面を観るのって ブロークバック・マウンテン以来かもなー。”恐怖”とか言うと ”正体不明の”とか悪者がいてって なっちゃうけど、これは、そんな次元じゃないんだよ!もっと詩的にスリリングなんだ。これをみちゃうと 他の作品も みてみたいなー<^^>。
メイド喫茶で萌えていた方が幸せですね
この映画はとにかくシガー(ハビエル・バルデム)の不気味さが秀逸です。
てっきり彼が主演だと思っていたのですが、助演だったのですねw( ̄▽ ̄;)w
主演は保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)、、、、う〜ん、そうだったのかぁ、、、まぁ確かに最初と最後の語りは、彼だったけど、、、
手錠を使って保安官の首を絞めるバナナマンの日村、、、じゃなかったシガーの「フンフン」っていう顔が気持ち悪いです。
無表情で酸素ボンベを使って脳天一撃、ドアの鍵も一発で撃ち破る。
ドラッグストアーのオヤジに対してのジョークの不気味さ、、、声も気持ち悪いです。
もうとにかく不気味で恐ろしいです。
アメリカに居る時に、こんな奴に出会わなくて良かったぁ(´・ω・`)
全編に渡って、音楽が一切ありません。
不気味さを出す音は風の音くらいで、ひたすら演出による恐怖感は、とても恐ろしく見事です。
でも何だか最後は、良く解らない、、、
年寄りには住みにくい国になってしまった、、、って言われてもねぇ、、、
最後に保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)の語りで「今の時代の犯罪は理解できない…」とありましたが、私は「この映画が理解出来ない、、、」って感じでしょうか、、、(≧◯≦)ゞ
そんな危険なアメリカに嫌気がさしてトミー・リー・ジョーンズは、日本に来て演歌が好きになり、メイド喫茶で萌えているのでしょうか、、、、w( ̄▽ ̄;)w
恐いけど面白い!!!!
ハラハラドキドキします。
見終わったあとに「あれ?あれはどうなったんだ?」と疑問に思う箇所も
あり、ちょっとわかりずらいかも。でも、全体的な勢いはすごいです。
女性より、圧倒的に男性がみたら面白いと思います。
ビバ、コーエン兄弟!!
感動なんて無縁の作品だけれど、映画的な充実感に満ちた作品
興行重視のハリウッド映画の影響から、アカデミー作品賞も商業ベースでの評価が主流でした。ところが本作のようなかなり個性的な作品が受賞する背景には、大作主義に傾倒しどれも似たような企画が並ぶハリウッド映画の危機感があるのではないかと思いました。
まずはサービス精神のない作品です。なんとラストまでに話の筋の転結がないのです。どうも、それがコーエン兄弟監督の手法のようです。『バベル』の時の???を思い出してしまいました。
ラストに行き着くまで、凶悪残忍な殺し屋シュガーと彼に追われるルウェリンの台詞も少なめに、観客に息つく間も与えないほどの緊迫感たっぷりの仕掛けをこれでもかぁぁぁ~というくらいコーエン兄弟監督は繰り出していたのです。
サスペンスとして、無言の恐怖感を演出するところでは、アカデミー作品賞にふさわしいと思います。
その緊張が途切れて、ホッとしたところで突然ラストシーンを迎えます。まるでラストへの期待感にドキドキと舞い上がって気持ちから、突如としてハシゴを外された思いです。でもそれが映画の楽しみかもしれません。手傷を負った「ヤツ」はどうなるのか。老保安官ベルの最後の台詞の意味することは何か。今見てきたシーンを頭の中でプレイバックして、ああでもないこうでもないと思いめぐらし、マイミクさんと語り合えるネタが多いことは幸いなるかなですよ。
ある意味観客を突き放して、独自の世界観をもって、シュガーに人を殺させていく作品だけに、根性据えて見る覚悟は必要ですね。
ただ老保安官ベルさんには、そう簡単に人生を諦めないでくれ~。犯人逮捕に闘志を燃やせぇぇぇ~と言いたくなるのですが、『ランボー』みたいには行かないようでした。 保安官は自己保身に走り、悪は運びってしまうのでしょうか?
殺し屋シガーのインパクトは強烈そのもの。演じているハビエルは今後どんな作品に出ても殺し屋のイメージがついて回ることでしょう。感動なんて無縁の作品だけれど、映画的な充実感に満ちた作品としてお勧めしておきます。
追伸
当初保安官の言葉は、殺し屋シガーを追い詰めることが出来ない自分に対し、世の中思い通りには行かなくて無理なことは、さっさと諦めるものだと言い聞かせているものだと思っていました。
但し、コーエン兄弟監督は、もっとその台詞に深い意味を語らせたかったのではないかと思います。
この作品では、殺し屋シガーは不条理に人を殺します。彼には彼なりのルールがあるのですが、突き詰めると人の生死は、コインの裏表のように偶然に襲ってきて、逃れることができないものだ、俺がここで殺さなくても、あんた明日には死んでるぜというような死生観がつきまとっているのです。
死はシガーと出会うことで必然ほぼとなってしまいます。
そのようなキャラクターを立てることで、コーエン兄弟監督は、あがないきれない死というものを描いたのだと思います。つまりシガーにいのちを狙われているのは、登場人物だけでなく、観客全員になんだ、観客全員に登場人物
と同じ死の恐怖を、体験させているのだろうと思います
ということで、保安官は、シガーの恐るべき殺人鬼ぶりに触れて、どうもがいても、死から逃れることはできないのだということを悟ったのだと思います。だから生きているうちはジタバタせず、分不相応な夢よりも自分のやれることを悔いを残さないようやり遂げることが大事なんだと語らせているのでしょう。
そんなに凄い?
試写会で見ました。
「『ハンニバル』以来、最高の殺人者」とか、「コーエン兄弟の最高傑作」と言う宣伝文句を聞きますが、そんなに凄い作品かなぁ?と言うのが正直な感想です。
最終シーンに関しては、周囲の人々から「あれってどういう意味だったのかしら?」と言う声も聞こえていました。(私としては、そんなに悩むほどのことでもないのですが)
アカデミー賞受賞作だからと言って、そんなに期待するほどの作品でも無いと思います。
アカデミー賞的作品。最後はスッキリしません。
2008年アカデミー賞主要4部門(作品賞、監督賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、脚色賞)受賞作。ネタバレ注意。
摩訶不思議な、難解な作品。いきなり最初に、ハビエル・バルデム演じるアントン・シガーが、トミー・リー・ジョーンズ演じるエド・トム・ベル保安官に逮捕されるシーンがありますが、何故に逮捕されたのが不明。余りにも唐突なので、いきなり結末が出てきて、そこから過去の回想シーンにでもなるのかと思ったけど、そうでもありません。
最後は、トミー・リー・ジョーンズが出てくるシーンで終わるんですが、何とも唐突なカットアウトされた感じです。話が解決されないので、物凄く、すっきりしない感じがするのは私だけではないはず。でも、こう言う難解な感じの作品って、結構アカデミー賞を取ったりするんだよねぇ。
ハビエル・バルデムの、あの特徴的髪型に注目。ある意味、”オタク”風の髪型です。撮影中は、あの一種独特の髪型を続けていたので、それが一番辛かったとインタビューで語っていました。
はっきりとは語られていませんが、物語の時代は現代ではなく、20年ほど前の1980年代だったりしています。その物語の冒頭、「最近の犯罪は、判らない」とベル保安官は語っているシーンがあります。いま、全く理解不能な犯罪が繰り返されていますが、その頃で既に、犯罪は理解不能な段階に達していたんですね。
物語は、物凄くゆったりしたリズムで進みます。その割には、結構あっさりと人が死んだりします。また、アントン・シガーの不気味さもあり、スッキリする映画ではありません。物凄く、物語に富んでいるわけでもありません。本当に”観賞用”の映画と言う感じです。
血と砂
冷静に,冷酷に,執拗に獲物を追う殺し屋アントン・シガー,
ハンター魂を発揮して追跡をかわす男ルウェリン・モス,
悪徳警官じゃない事が救いの保安官エド・トム・ベル。
鬼気迫る演技を見せたハビエル・バルデムだけを突出させずに,
三人の男が揃って記憶に残る脚本が素晴らしい!
音楽で感情を煽らない全編が息詰る緊張に満ちて,
先が読めない展開,
編集で飾り立てないシンプルな構成と,
見せ過ぎない抜群の演出力で画面に引き込ませ,
エンドクレジットが始まると,
すぐに再鑑賞したくなりました。
サスペンスとしてはもちろん,
西部劇,
ハードボイルドとして観ても見応え。
秀作
思ったよりコーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」の原作に近い。それでもシガーを映像化するとやはり目立ってしまう。それに伴いベルの印象が薄まって、基本的には原作と同じ終わり方がやや唐突に感じられてしまうかもしれない。モスの悪あがきぶりはいい。映画として面白いのはシガーとモスはもちろんのこと、シガーとベル、ベルとモスを同じ画面に入れる場面があるところ。痛い場面を淡々と描くのもいい。
獲っちゃいましたか…。
いやあ、獲っちゃいましたか“第80回アカデミー賞最優秀作品賞”。重い、暗い、救いが無い…。アメリカは確実に病んでますな~。
吾輩は、この映画の監督であるコーエン兄弟(ジョエル&イーサン)の作品、そんなに好きではありません。しかも『はあ?何じゃそりゃあ~?ええ?それって結局どういうことやねん??』と言うのが、この映画を観終った後の第一声でしたので、“オスカー最有力!”って声を聞いても、『はあ?何でコレが…』てのが、正直な感想でございました。とにかく映画全体が観ていて重い!救いが無いくらいに重い!観終った後に『良かった』とか『凄い』って言う風に思えない(むしろ圧倒的に“不快感”が残ってました)し、ストーリーもラスト結局のところは何でああなるのか?あのシーンにはどういう意味があるのか?ってのが残ったまま(少なくとも吾輩はそう感じました)終わってしまうので、非常に消化不良でございました。然るにこの映画がオスカーを獲ってしまうだなんて…、『アカデミー賞は、映画界の良心』だと思っている吾輩にとっては、死体や殺人シーンがゴロゴロ出てくるこの映画が、オスカーを獲ってしまうなんぞ、理解し難いことでございました。
ただ、この映画がオスカーを受賞したということは『アメリカは、相当病んでいる』ということの証明に他ならないと思います。映画の冒頭、トミー・リー・ジョーンズ演じる古き良き時代を知るベル保安官のモノローグで『今の時代の犯罪は理解できない…』と語られるのですが、この映画の時代背景は1980年代なのです。この時代でさえ“病んでいた”アメリカは、それから20年近くが経過した現在、間違いなくそれ以上、深刻に“病んで”しまっています。この映画を通して、コーエン兄弟はそう言ったことを訴えたかったのだろうと思いますし、それをアメリカという国が受け入れた。その結果が、今回のオスカー受賞に繋がったんじゃないでしょうか?
ところで、“助演男優賞”を受賞したハビエル・バルデムですが、いやあ恐かったですね~おかっぱ頭の殺し屋!想像してみて下さいバナナマンの日村が、酸素ボンベ持って無言で人を殺していく姿を…。ね?強烈なインパクトでしょ?今晩、夢に出てきそうだ…(^^;。
あ!間違っても初めてのデートに、この映画は選ばないで下さいね!
全151件中、141~151件目を表示