「退屈さもコーエン兄弟の確信犯的意匠かな」ノーカントリー あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
退屈さもコーエン兄弟の確信犯的意匠かな
言わずと知れたコーエン兄弟のアカデミー賞作でございます。わたくしは生涯No1作品を彼らの「ミラーズ・クロッシング」に挙げているほど、高校生時代からのファンです。というわけで本作のオスカー受賞には、なにやら感慨がありました。
原題とストーリー設定のかけかたはうまいし、コーエン兄弟特有の精巧なメカニズムを感じさせる映像も変わらぬ「らしさ」が出てて、ファンとしてはご満悦。また、彼ら特有の脱力系ブラックユーモアも時折あり、緊迫感あふれる展開の中にも、それを自分で嘲るかのようで二重にも三重にも含み笑いをしてしまう。
でも、映画全体の三分の二と残り三分の一が、かなり趣が変わってしまうので、そこでいささか集中力が落ちました。ていうかラスト三分の一は、はっきりいって詩的要素が強すぎて、一回でくみ取るのは難しいです。
思い返してみれば「ミラーズ・クロッシング」も一回目は寝てしまったっけ。彼らの映画は、見れば見るほど味が出るのだと思います。そう考えると、大衆向けのオスカーでよく賞が取れたものです。
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