「大いなるレッドフォード。」大いなる陰謀 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
大いなるレッドフォード。
R・レッドフォードという偉大なる民主権力によるお説教と
とるか、米国の裏戦術が分かる素晴らしいサスペンスだと
とるか、観る人によって様々な反応が期待できる映画ですが、
…地味です。かなり、地味^^;
戦闘機ビュンビュ~ンの内容は期待していませんでしたが、
予告を観る限りでは、ちょっと違う内容を予想していました。
でも従来の彼の作品が好きなら、これも大丈夫かな。
舞台は三場面から構成されており、
T・クルーズ演じる共和党の次期リーダー(巧い!)と、
テレビジャーナリスト役のM・ストリープとの緊迫の対話。
次に、頭がいいのに怠惰な学生と大学教授との対話。
そして対話の中で登場する優秀な二人の学生が、
やがて軍に志願し、現地で起こる実際の戦いを描きます。
どこをとっても、これでもかこれでもかと機知に富んだ
台詞が飛び交い、さすがレッドフォード!という感じです。
今回の「攻撃」そのものは「台詞の応酬」かもしれません。
特に、野心に満ちて人間性を失いつつある政治家を、
自信満々の表情で演じたT・クルーズは良かった。彼の言う
(政治的な表現はよく分からないけど^^;)米国の未来とは、
真の平和とは言い難く、が、そうしなければどうするんだ?
誰がテロを終わらせるんだ!?なんていう、まるで自分が
使命を帯びたかのように朗々と捲くし立てるその態度をみて、
かつて彼を「若手のホープだ!」と絶賛していた自分を
振り返る記者。あの頃の彼には違う理想が見えたのに…。
次に描かれる学生X大学教授との対話においても、
昔と今の政治に対する興味の差、無関心をあげ連ねて、
未来を担うはずだった優秀な学生たちが戦場へ旅立ち、
残った優秀な頭脳は、考えることさえ放棄している現状。
それを憂いている自分をみた学生に、逆ツッコミされる。
「じゃあ先生は、有意義な人生を歩んでいるのか?」
あー。なんだかまるで自分に言われているようでした。
これは誰しも当てはまることなんだな、と。
平和や安全からかけ離れた現実を「否」と分かっても
何かを懸けて闘おうとまでは思わない。どうせムダだ。
そういう無関心がいけないのは分かっていても、
アツくなれない世代が疲れてしまった自分なのかなと。
でも、もちろん「戦争」に加担するのは由とは思いません!
レッドフォード節、健在でした^^;
(トム、こういう役もお似合いね。昔のアイスマンみたい^^;)