「ラストシーンで始まるための映画」ブレードランナー ファイナル・カット kpさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストシーンで始まるための映画
折り鶴を手に取りエレベーターに乗り込むシーンで幕切れするのが印象的であった。ここを引き立たせるために
仕事へのためらい、不快感を思わせる都会のシーンによって腐敗した人間の社会が延々と描写されているのではないかと思うくらい。
それによって、見ているこちらも、鬱々とする時間を過ごし、腐ったものを見せられている気分であった。敵であるはずのレプリカントに触発され、ここから抜け出そうとする意志を1人の人間が獲得したというところで終わる。直接的な訓示がない分、映像表現を通じて、社会への批判的な姿勢がどのように生じるか感覚的に伝える上質な映画だと思った。
ただ日本人として、やはりアメリカ的な日本の描写が生理的に無理でもあった。
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