「サイバーパンクSF不朽の名作」ブレードランナー ファイナル・カット しずるさんの映画レビュー(感想・評価)
サイバーパンクSF不朽の名作
昔深夜のTVで本作を見て夢中になった。好きな映画を挙げろと言われれば、5つの内には必ず入るであろう作品。それが大スクリーンで見られるとは!
当時最先端のSFXも、大画面で見ると多少の古臭さは否めない。続編『2049』のCG凄かったもんな。それでも、暗く荒廃した世界のテクスチャーにはその粗さもマッチしているし、iMAXで臨場感たっぷりのサウンドはモブの台詞の隅々まで聞こえる。何より、サイバーバンクな世界観とビジュアルの素晴らしさは、今見直しても色褪せない。
『2049』が公開された時、設定がありきたりで然程面白くないと若者世代の反応イマイチと聞いて、馬鹿言え、甲殻機動隊も銃夢もコレが原点じゃ!と憤慨した年寄りですが(笑)
止まない雨、薄汚いスラム、人種文化混合のカオス都市。堪らん。
しかし、冒頭の『2019年』のテロップを見て仰天した。今年かよ!まあ第三新東京市もとっくに過ぎたしなぁ。
ところで、人生指折りのフェイバリット映画だが、ラストで台無し、アレさえ無ければ!!という作品が、過去2つありまして。
それが『ネパーエンディングストーリー』と今作。
TVで初めて見た劇場版。ラストシーン、あてもなく逃亡するデッカードとレイチェルの車に被さるナレーション。「レイチェルには4年の寿命が無い」。
いやいや、そりゃ無いよ!アカンだろう。そんなサラッと覆されたら、あれだけ苛烈なロイの絶望は?徹底してレプリカントの悲哀を見せつけておいて、最後一台詞で全てぶち壊しやん!!と憤慨を…。逆ギレ多いな今回(笑)それだけ大好きな作品なんです。ご容赦。
公開当時の一般受けを考慮して付け加えられた部分らしい。ファイナル・カット版はそのシーンが除かれている。
作り物としてのレプリカントの悲哀、人間としてのアイデンティティ。多分残された時間は僅か、今度は追われる側に回った二人。物語の完成度としても、こちらの方が断然いい。トラウマの払拭ありがとう!