劇場公開日 2019年9月6日

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「IMAX上映でこそ最高の名作を最高の映像と音響体験で観賞することができるのです」ブレードランナー ファイナル・カット あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0IMAX上映でこそ最高の名作を最高の映像と音響体験で観賞することができるのです

2019年9月7日
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鑑賞方法:映画館

不朽の名作の本作には幾つかのバージョン違いがありますが、このバージョンが題名通り最終的な決定版と言えるでしょう

もちろん初めて本作を観た最初の日本公開されたインターナショナル版が一番愛着が有ります
とんでもない異常な程の傑作を今観ている!とシートにへたりこんで起き上がれなくなった感激は心に刻み込まれていて忘れられないものです

それでも、このバージョンは観る価値と意義が明確にあります

何故なら過去のバージョンに更にCGなどの追加や幾つかの修正を加えた上に、特撮シーンをもともと撮られたのに使われていなかった幻と言われた超高画質のものに差し替えられたものを、4Kリマスターしたのがこのバージョンだからです

ですから、小さな差異でしかない他のバージョンはさておき、日本公開されたインターナショナル版とこのバージョンは絶対に観ておくべものです

それが2019年つまり、本作の舞台となったの同じ年にその記念としてIMAXで上映されたのです

このファイナル・カットの上映は2007年に2Kデジタルでしか公開されていません
それも東京大阪の2館で1週間だけの公開でした

今回の公開は2Kデジタルを上回るIMAXでの興行なのです
IMAXで観てこそ、このバージョンの真価を体験できるとおもいます

IMAXの巨大画面の明るいスクリーンに超高精細な映像でブレードランナーの世界が広がるのです

何度観たかわからないほど本作は繰り返し観ていますから、シーンごとの様々なものはどんな細かいことでも目に焼き付いていると自負しています
それでも今まで見えていなかったことが見えて来るのです

そしてその映像以上に音響の迫力が半端ないのです
音圧が全く違います
家のAVシアターシステムなぞお話になりません
映画館でもこんな音響は滅多に体験できないレベルです

しかも音の解像度も上がっており今まで聴こえて来なかった事が聴こえるのです
映像以上にクリアなのです

雑踏の中の様々な音をはじめ、分離が良く音像の輪郭がハッキリしており、さらに様々に定位してまさにブレードランナーの世界にいる感覚を味わえるのです
またスピナーの車中に聴こえる通信に日本語が混じっていたのにも初めて気付かされました

音像が映像と共に移動します
何を当たり前なことをと思われるでしょう
それが上映前のIMAXの宣伝以上に、ここまで動いたのは初めてだと驚きました
スピナーが前方から来て背後に本当に振り向きたくなる程のリアルさで去っていくのです

本作こそIMAXのポテンシャルをフルに活かしている数少ない作品なのです

この上映は今回は全国10館で1週間限定とのこと
間違いなく伝説となる興行になるでしょう
IMAX上映でこそ最高の名作を最高の映像と音響体験で観賞することができるのです

内容は、インターナショナル版では明確ではなかった最大の謎のことをハッキリと表現して主題となすもので、様々なバージョンで積み重ねられた延長線上にあります
よってデッカードの観るユニコーンの夢や、ロイ・バッティの神殺しの残虐シーンと磔刑の釘刺しシーンは踏襲されて、それに見合う形でラストの逃避行はカットされています
そして鳩は高く青空には飛ばず、色彩も緑が強めにされています
それにより全体に甘さ控えめのビターな印象に仕上がっています
つまり過去のバージョンの積み重ねの上に全編の印象を統一させたものとなっているのです
その意味でも過去の様々なバージョンの最終的な決定版と言えるでしょう

あき240