劇場公開日 2019年9月6日

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「オタク文化が作り上げたまさに映画な傑作」ブレードランナー ファイナル・カット オレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0オタク文化が作り上げたまさに映画な傑作

2017年12月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

酸性雨の降り続く近未来のロサンゼルス。
環境汚染によって多くの人々が地球を離れたものの、遺伝子工学の最先端技術を駆使して製造されたレプリカントと呼ばれる人造人間を労働力として酷使して人々は過酷な環境ながらも暮らしていた。
しかしそのレプリカントが暴走し、人間を殺害し地球に潜伏したとの報を受け、対レプリカント専門の警察官、ブレードランナーが動き出す。
そのベテランで凄腕のリックデッカードとレプリカントの死闘を描いたSF映画の歴史的金字塔。

個人的レビューを書きにくいランキングトップクラスの作品笑。
カルト的な人気が強すぎる為、余白が多すぎる為、初見時ちょっと寝た為といろいろと敷居が高すぎる印象が強い。
公開当時は生まれてないし、2017年公開の続編を観るミーハーとして今作に触れたのが初だった為、尚更のやりづらさはあった笑。

今作の何がそこまですごいのか。正直理解できている気はしないが思ったことをポツポツあげていきたい。

まず今作、ものすごく語りたくなる要素が多い。
地球に潜伏した6人のレプリカントの内1人正体が明かされていない人物がいたり、デッカード自体がレプリカントではないのかなどの考察がネットのあらゆるところで見受けられる。
実際のところ6人目のレプリカントは予算の関係で出演が不可能になってしまい、それに伴う冒頭のセリフの修正が公開に間に合わなかった為、矛盾が生じてしまっているらしいのだが、この考察を長いことファンの中でああでもないこうでもないと論争を続けている。
おそらくほぼ全員が上記の事実を知っていながら作品としての謎を各々の想像力を駆使して妄想している、ファンメイド的な要素が非常に多いのが大きな特徴かなと感じた。

また圧倒的な世界観も大きな特徴。
当時の主流のSF映画の世界観であったクリーンで美しさを感じる街並みとは大きく異なった退廃的で憂鬱な未来都市を表現している。
大きな液晶型看板には舞子の格好をした女性が強力わかもとを手にした映像、酸性雨の降りしきる地上には多種多様な人々が陰惨な雰囲気の中食事をしていて、よくみるとそれが日本食だったりと、リドリースコットが気に入ったという歌舞伎町の街並みや日本文化を感じさせるシーンがあったりと日本人のオタクが大喜びするようなシーンがたくさんある笑。
観ながら何か違和感あったけどそれが歴史的な洋画から普通に日本語が聞こえてくることたと気付くまでに少し時間がかかった笑。
二つで充分ですよ!なんてセリフが名言扱いされる辺りからもカルト的人気を感じさせる。

また何と言ってもやはりハリソンフォードが死ぬほどかっこいい。坊主に近い髪型なのにどこかセクシーにも見える笑。
当時の彼は今作でリックデッカード、その1年前にインディジョーンズ、そのさらに3年前にハンソロと間違いなく人気とキャリア絶頂期の俳優だったんだろうな。

ただ今作の公開当初はあまり評価的興行的にあまり反応が良くなかったようで中には駄作と切り捨てる観客や評論家たちが後を絶たなかったらしい。
傑作エイリアン後の作品として大きな注目を集めていたリドリースコットの当時最新作として満を持して公開されたが理解が出来ないよくわからないという感想が多かったらしい。

自分が1番今作で1番すごいなと思うのが公開後から今日に至るまでの過程だと思う。
意図的か製作上の都合か不明だが今作余りにも余白の部分が多い。それはつまり観客が自分たちで妄想し、議論することに繋がっている。さらにはその中で出てきたあるアイディアをリドリースコット自身が気に入り、バージョン違いでリリースした本作に追加シーンを加え、また新たな論争や妄想を引き起こしている。
こんな作品は類を見ない。まるで映画が歳月を通して成長しているかのようだ。
ファンにも製作陣にも愛された傑作といっていい作品だと思う。

ただもちろん自分は余白を理解できていないし、多くのバージョン違いも観ていない笑。
この作品は何度も何度も観たいと思わせてくれる作品だ。時間をかけて理解して行きたいと思う。

オレ