ラストデイズのレビュー・感想・評価
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【人気絶頂のなか、命を絶ったニルヴァーナのカート・コバーンをモチーフにした彼の死の前二日間を描いた陰鬱な映画。ニルヴァーナのファン(過去形ではない!)であれば、響くモノがある作品だと思う。】
■深い森の中を独り言をブツブツつぶやきながら、当てどなく散歩する若者。
彼は麻薬の矯正施設を抜け出した、若者の間でカリスマ視されるミュージシャン・ブレイク(マイケル・ピット)。
彼は現役の頃の自分を慕う人々がたむろする家に戻るが、時はゆっくりと終結に向かっていた。
◆感想
・名匠の粋にあるガス・ヴァン・サント監督は高校銃乱射事件を描いた「エレファント」を20年以上前に公開しているが、作品の幅がとても広い。
・今作もどこからみてもカート・コバーンにしか見えないブレイク(マイケル・ピット)の麻薬に侵された姿を只管に追っている。
■印象的なシーン
・森の中をブツブツと独り言を言いながら彷徨う様は、何とも陰鬱だが印象深い。
・後半、彼が歌う”ヴェルヴェットアンダーグラウンド”の”毛皮のビーナス”のシーンも彼の晩年の破滅的な人生を象徴するようである。
<〇坊の時代に、ニルヴァーナを聞き、一発で惹き込まれた者としては何とも陰鬱で、切ない映画である。
美しいメロディの中、ヴァーブを利かせた名曲”Smells Like Teen Spirit"が収められた駄曲なしの超名盤”Nevermind"からの”IN UTERO"を聞いた時は、勿論名盤なのだが、カート・コバーン病んでいるんじゃないか、と思ったもんな・・。
あの悲しき衝撃は今でも覚えている。>
退廃的なものに魅かれる心理ってなんなのだろう
夭折した天才ミュージシャン・カート・コバーンをモデルに、彼がショットガンで自殺するまでを描く。
ガス・ヴァン・サントらしく、余計な科白、説明、演出効果を排除した、情景と役者の演技主体の映像と音楽だけで描ききる。大胆かつ勇気ある映画作りは称賛に値する。
退廃的なものに魅かれる心理ってなんなのだろうと考える。劇中のブレイク(コバーン)の所作はいちいち危うい。椅子に座るだけの動作で数十秒を要し、なおかつ座らず、床にへたり込む。女性ものの下着を身に付け、ショットガン片手に屋敷をうろつき、ワークブーツの靴ひもが通っていないくせに、コーンフレークにミルクの量を細部にまでこだわりながら注ぎ、突然、死んだように寝る。
全世界を熱狂の渦に巻き込んだニルバーナの作品群は、こうした彼自身ののもつ、如何ともしがたい退廃・狂気と社会との「間」を埋めようと試みられた営為の副産物。
その創造をもってしてもなお、彼を社会に生かしむには至らなかった。ただ、それは悲劇なのかといえば、そうとも思えない。
非常に重要なシーンである宅録デモの場面で演奏される曲名は「Birth to Death」ではなく「Death to Birth」。ここに象徴されるように、僕らとは死生観が根底から真逆なのだからこそ、そうやって生きるべくして生きたのであろう。
タイトルもLast Day(最後の日)ではなく、Last Days(末路)。彼は最期に何を視たのだろうか。印象的な演技だった。
ファンじゃないと、正直、つらい。
カート・コバーンの最後の2日間を描いた映画。
つらいというのは、同じようなシーンが延々と続くというつらさ。
そして、物語としてのつらさ。
どこまで事実なのかは知らないが、
一緒に過ごす取り巻きが違っていたら、こういう
エンディングにならなかったんじゃないかな。
考えてみると、ファンにとっても、
とてもつらい作品なのかもしれませんね。
グッと入り込んでしまうだろうし、
自分が好きなミュージシャンがこんな最後を
迎えていたとしたら………。
ミュージシャンのエンディングをここまで
深く掘り下げた作品は、他にないかもしれません。
ガス・バン・サント監督らしい作品だとも思いました。
「エレファント」のあの重苦しい感じを
思い出すなあw
アナタは神を信じま~すか~?
人気絶頂のバンド、ニルヴァーナのカート・コバーンが突如自ら命を絶ったことをヒントに作った映画らしい。正直言って、ニルヴァーナはよく知らない・・・観客がいつもより多く若い人が中心だったことからも、よほど人気があったに違いない。と感じたくらいです。よって、以下は何も知らないで観た普通のおっさんの戯言と受け取ってください。
ミュージシャンの死に様というのはショッキングなものが多い。特にロックやジャズの世界では、ヤク中になってボロボロになり若死にするパターンばかりだ。この映画でも麻薬のリハビリ施設を抜け出したという設定なので、そう珍しい死に様ではないような気がします。そんな有り触れた内容よりも、感電死したとか、殺虫剤で死んだとか、ロシアンルーレットで死んだとかいった伝説的ミュージシャンを扱ったほうが興味深いのに・・・
この映画の主人公ブレイクは麻薬は断ち切れたようにも思えたのですが、躁鬱状態は深刻でした。彼の心までは推し量れるものではなかったけれど、別荘に住みついた彼の取り巻き達は全くの放置状態であり、「クローゼットに銃がある」とメモまで残す酷さ。孤独感から徘徊を繰り返し、突如ドラムを叩き出したりする症状の彼に対しても普段通りの接し方。「悲痛な叫び」も「普通の叫び」と捉えてしまったのかもしれません。
しかし、そうした心情に訴える映画であっても、前半の電話帳セールスマンやモルモン教の勧誘などの描写によってゆるいギャグとしか思えない演出があり、メッセージ性も薄れてしまったのではないでしょうか。さすがはガス・ヴァン・サント監督。全てを丸投げ状態です。せめてもう少し音楽映画風にしてくれれば・・・
【2006年7月映画館にて】
淡々としている
カート・コバーンの持つ空気感と、ガスの世界観は似ていると思っていたので、マッチングはしていたと思います。
ただ淡々としすぎていたので、もう少しエンタメ性があった方が、映画として楽しめると思いました。
安易に見ちゃいけなかった(汗)
これほどまでに、自分がこの映画に巻き込まれるとは… うっすらと避けてきたこの映画だったが、迂闊にも観てしまった… カート・コバーンがもういないという現実を、改めて突き付けられたですよ。彼がいないことも忘れて生きている現代と自分の退屈さを突き付けられた感じですよ。この画面で表現されている感覚すべてを感じたいと求めていた自分を思い出すですよ。うーん、いかんよ、この映画は…
ボロボロのジーンズ、ジャックパーセル、ネルシャツ、そしてベルベッツ…
忘れてはいけないよ、カート・コバーンのこと…
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