歓びを歌にのせて
劇場公開日:2005年12月17日
解説
世界的な指揮者の主人公が、心身共に疲弊した末に引退して戻った故郷の小さな村で、純朴な人々と音楽を通じて交流を深めるうちに、再び音楽の歓びを呼び覚していく姿を描く感動のドラマ。監督はケイ・ポラック。18年ぶりに映画界に戻り、絶賛をもって迎えられた。主演は名優ミカエル・ニュクビスト。スウェーデンを代表する人気歌手ヘレン・ヒョホルムが美声を披露している。2005年度アカデミー賞外国語映画部門ノミネート。
2004年製作/132分/スウェーデン
原題または英題:Sa Som I Himmelen
配給:エレファント・ピクチャー
劇場公開日:2005年12月17日
ストーリー
ダニエル・ダレウス(ミカエル・ニュクビスト)は、天才指揮者として誰もが羨むような世界的な成功を手にし、大きな名声を得ていた。しかし、命を削るかのような激しい表現や分刻みのスケジュール、そして絶えず注目を浴び続ける生活のせいで彼の心臓はボロボロになり、次第に孤独と惨めさを感じていった。あるとき、ついに舞台で倒れてしまい、肉体的・精神的に限界を感じたダニエルは、突然すべてを捨てて、幼少時代を過ごしたスウェーデン北部ノルランド地方の村ユースオーケル(架空の村)に一人戻った。唯一の肉親である最愛の母親は彼が幼い頃に事故で亡くなっていたし、音楽にすべてを懸けて生きてきたため、恋人と呼べる人もいなかった。ダニエルは、故郷の廃校になった母校の小学校を買い取り、そこに住むことにした。暖房設備もろくになく、とても人が住める環境ではない場所だったが、彼の胸は生まれて初めての穏やかな気持ちと期待でいっぱいだった。幼少時と名前を変えていたため、村人は彼がこの村の出身だとは気付かなかった。それどころか、あまりにも突然の有名人の登場に村人は好奇心を隠さなかった。彼は間もなく、牧師のスティッグ・バーゲン(ニコラス・ファルク)らに小さな協会のコーラス隊の指導を頼まれる。そのコーラス隊は毎週木曜日に教区のホールで練習を重ねていた。ダニエルは再び脚光を浴びることに抵抗を感じてはいたが、彼らの歌を聞き、自ら指導を引き受けたいと熱望する。コーラス隊の指導を始めて、心から音楽を愛する彼らの気持ちに触れ、ダニエルは再び音楽の素晴らしさを実感していく。コーラス隊のメンバーは、それぞれに様々な問題を抱えて生きていた。どんな人にも分け隔てなく天使のような母性を持って接するレナ(フリーダ・ハルグレン)は、愛する人に騙されたという過去の辛い恋を引きずっていたし、二人のかわいらしい子供と美しい歌声に恵まれたガブリエラ(ヘレン・ヒョホルム)は、夫の激しい暴力に日々耐えていた。おしどり夫婦と思われた牧師夫婦の妻インゲ(インゲラ・オールソン)でさえも、聖職者である夫スティッグとの夫婦生活に密かな不満を抱いていた。みんな今の生活を変える勇気をなかなか持てなかったが、ダニエルを通して音楽から勇気をもらい、人生の“一歩”を踏み出す自信を得る。もちろんそれを面白く思わない者もいた。牧師のスティッグは村人から信頼の厚いダニエルを脅威に感じて嫉妬心を露わにし、暴力で妻ガブリエラを支配していたコニー(ペア・モアベア)は妻を失うのではないかという不安を、暴力でダニエルにぶつけるのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ケイ・ポラック
- 脚本
- ケイ・ポラック
- 製作
- アンデシュ・ビルケランド
- ヨーラン・リンドスロム
- 撮影
- Harald Gunnar Paalgard
- 音楽
- ステファン・ニルソン
- 編集
- トマス・テン
- その他
- アンダース・ニューベア
- ウーラ・オルソン
- カリン・ポラック
- マーガレータ・ポラック
受賞歴
第77回 アカデミー賞(2005年)
ノミネート
外国語映画賞 |
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