綴り字のシーズンのレビュー・感想・評価
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やっぱり家族の崩壊と再生の物語だった。
<映画のことば>
「文字は人間の根源的なエネルギーの表現」とされている。文字を組み合わせた「言葉」には、宇宙の神秘が宿っている。
「APPLE」というスペルには、「りんご」のすべての歴史が秘められている。
スペリングを思い出すときのイライザの空想(瞑想?妄想?)も、言葉にまっわる彼女なりの「神秘」の表現だったのかも知れないと思いました。評論子は。
考えてみると、表意文字である漢字を使っている我々からみれば、文字それ自体には固有の意味はなく、その組合わせが初めて意味を持つという言語にとってみれば、正確なスペリングは、一画多いとか少ないとか、アタマが出るとか出ないとかを超えた意味があるのかも知れません。
本作で題材とされているようなスペリングのコンテストは実在すると聞きますが、そんな意味合いもあって、盛んに行われているのかとも思いました。
そして、イライザがこのコンテストに打ち込んで、卓抜な成績を残すことができたのは、実は、同じく言葉(概念)の世界で学究を重ねている父親ソール(リチャード・ギア)への畏敬・尊敬の念があってこそのことだった…といったら、それは評論子の深読みのし過ぎというものだったでしょうか。
同じ志向(価値観?)を持つが故に父親から別格の愛情を注がれーそれ故に父親の愛情(期待?)に応えようといっそうスペリング・コンテストに打ち込む娘と、そういう父親を見ていればこそ(?)、父親とはまた違った志向(価値観?)を持つが故に父親とは何かと反目しがちで、そしてその反目から知り合った彼女を通じて他の価値観いっそうを追い求めようとする息子、そして、そういう現実の軋轢ににいたたまれす、家族関係の現実から眼をそらすためにか、メンタルを病んでしまい、思いもよらない非行に走ってしまう妻…。
予告編によれば、ストーリー的には、家族の崩壊と再生の物語ということですけれども。
イライザが全国大会で犯した「謎の誤り」は、実は母親に向けた「間違っても、やり直せばいいじゃん」という彼女なりのメッセージだったと思えてなりません。
きっと、ナウマン一家は、イライザのそういう家族愛に支えられて、きっと家族の絆を取り戻したことと、評論子は信じて疑いません。
秀作であったと思います。
映画作品としての本作という観点に切り替えると、父親役としてのリチャード・ギアは、大物俳優として堂に入った演技で申し分ないことは別格として、娘・イライザ役を演じたフローラ・クロスが醸し出す一種独特な雰囲気(特にスペリングをアタマの中で構想するとき)が、本作を盛り立てていたことは、疑いがありません。
その点て、彼女の演技あっての一本だったと思いますが、本作のあとには、彼女には女優としての活動歴はなさそうです。
本作を観る限りでは、活動を続けるうちに、さぞや素敵な女優さんになったことと思うので、残念にも思います。
実は、本作は、レンタル落ちのDVDを、買ってはいたものの、久しく「お蔵入り」となっていたものでした。(汗)
こうして改めて観てみると、素晴らしい作品だったのではないかと思います。
あまり多くの作品を世に問うている監督さんではなさそうですが、他の作品も観てみたいと思える監督さんになりました。
世上「馬には乗ってみよ。人には添うてみよ。」と言われますが、そういう言い方をするならば、やっぱり「映画は観てみよ。」だろうなぁと、改めて実感した一本にもでもありました。評論子には。
完璧は窮屈
細かい所まで気が回り、何かいいことあれば料理も作ってくれる完璧主義な感じのリチャード・ギア。子供たちは逆らうことなく勉強とか励んでる。
大学講師に、検査技師か研究員かわからなかったけど、住んでる街を含め「勝ち組」て感じの上品な映画。
「綴りのコンテスト」で娘が勝ち進むと、母は悩みが深くなるのは何となく感じる。「はぁ~。今日も練習かぁ...」て態度があったり、お兄ちゃんは何となく嫌気がしている。教育熱心で細かい性格だから窮屈に感じるのだろうか、それ以外に何が不満なのか理解しにくく観ててダルイ。
これは勝ち組ならではの苦悩?あくまで優しく描き「何となく」感じる程度。いざこざって程ではないですね。淡々としててメリハリ無しでした。
R.ギアの演じた役は、どこにでも居ると思うけどなぁ。一言で言うとマメ。それが窮屈に感じるのかな。言うとおりにしてれば間違いないけど支配されてるようでストレスだ。だから宗教や万引きに繋がるのか・・・
わからない。
だって、意見を言わせてくれないキツイ性格なら理解できますが、そうじゃないし、むしろ気配りもあるし、うーん・・・80分が過ぎてしまった。
時にはミスした方が人間味があり、返って落ち着く時がある。やり遂げなくても(ミスしても)いいのでは...お兄ちゃんと私はこれでいいと思ったんだ、これでまた頑張れるよ!--- そんな印象でした。
-完璧は窮屈-
年の離れた兄妹はいいね。「兄ちゃんやママみたいに疲れちゃうぞ」
--- こんなにいい場面があったからこそ、R.ギアはもっとギスギス・ツンツン張り詰めた役だったら良かったと思う。職場にそういう人いるのを思い出してしまったけど(苦笑)
「綴り」がわからなくなったとき娘だけに見える「鳥」などSFぽい映像があったけど、優しい演出のせいで刺激は薄めでした。
スペリングビーという文化に親しみがない私にとっては、父親がのめり込...
映像や音に不思議な温もり
映像や音もキレイ。不思議な温もりがあっていいですね。
「家族の再生」以外にも、宗教観などのやや難しいテーマが内包されてるような気もしたので、深読みすればより面白いかも。お母さんの過去とか結局、あまり明確にはされないけど、想像の余地があっていいのではと。
イライザ役のフローラ・クロスは、パッと見でお母さん役のジュリエット・ビノシュ似。当初この役にはダコタ・ファニングの名も挙がっていただけど、フローラ・クロスがジュリエット・ビノシュに似ているから選ばれたんだとか。でも、顔だけじゃなくて演技も○。お兄さん役のマックス・ミンゲラがアンソニー・ミンゲラの息子で、脚本家のナオミ・フォナーは、マギー&ジェイク・ギレンホール姉弟の母という映画です。はい。
予告編に使われていた音楽がとてもよかったんだけど、本編にはないのか…。
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