劇場公開日 2019年3月17日

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「「万物流転の世」」山猫 everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「万物流転の世」

2018年9月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

イタリア統一運動の最中、没落を予感するシチリア貴族や、時代の波に乗る若者達を描いた作品。

映像が大変美しいです。

威厳に溢れ、家柄、しきたり、体裁、マナーを重んじる貴族の鑑のようなSalina公爵と、彼の甥で金遣いの荒いopportunistの美男子Tancrediが共に目を奪われるのは、成金で野暮なSedaraの娘Angelicaの美貌。品格も教養もない彼女ですが、魔性の魅力で貴族の心を鷲掴みし、封建主義を根底から覆す新しい時代の象徴のようでした。

「山猫や獅子が支配する時代は去り、ジャッカルや羊が取って代わる」

山猫というとピンと来ないのですが、ocelotやleopardということなら、確かに優雅で美しい生き物です。絶滅危惧種もいますね。

山猫は貴族、獅子は王族?
ジャッカルはSedaraやAngelicaといったブルジョワジー、羊はその他大勢のただ盲目的に従う民衆… を指すのでしょう。
山猫も獅子もジャッカルも羊も、みんな平等になる未来が来ると…。

紀元前よりあちらこちらから攻め込まれ、落ち着く暇のなかったシチリア。永い眠りと忘却への渇望、官能なる停滞すなわち死への憧れというのは、そういう歴史的背景から来るのだと知りました。

「現状を維持したければ変わらねばならない」
「体制全体を保つために一部の変化が必要なのだ」
「人を導きたい者に必須の己を欺く能力」

本作に惹かれる政治家が少なくないようですが、こういった政治思想的要素と作品の時代背景に魅了されるのでしょうか。

自分は行かざるを得なくて行ったことしかないのですが、訪伊の度に、苦手意識がどんどん増します🥲。勿論良い人はいるのですが…、時折直面する非合理性に絶句してしまいます。正直個人的には、芸術や美的センスへの尊敬だけで克服出来るものではないです。
この伊(&仏)映画で意外にも自分の気持ちに近い台詞があって衝撃でした。
「シチリアの人間は改善を望まない。自分自身を完璧だと思っているからだ。貧困よりも虚栄心にこだわる。」
"They never want to improve. They think themselves perfect. Their vanity is greater than their misery."
そう、これ!
(高慢と見栄っ張りは同義ではないけど、シチリアに限らず)プライドの高さに見合う、生活水準と教養が伴っていない!… 人に当たる確率が異様に高い… 気がする…。
彼らの完璧って何なんだろ。

「公爵様のお通〜り〜」的描写が江戸時代のようでした。砂埃にまみれながらも儀式的接待に耐える公爵家御一行。馬車よりエッサホイサの籠のほうが、遅い分?汚れなさそうです。

Burt Lancasterの憂いを帯びた気品ある公爵姿が素敵でした。Tancrediの包帯の位置が毎回適当なのは残念。公爵夫人に続いて欠伸する大きなワンちゃんが良かった。

追記:
RIP
Alain Delon
Mes sincères condoléances😭

everglaze
こころさんのコメント
2021年11月4日

everglazeさん
コメントへの返信有難うございます。
大型犬がアラン・ドロンの袖を甘噛みしながらまとわりつくシーンも有り、つい大型犬に目線が👀 名演技でした(^^)

こころ
こころさんのコメント
2021年11月4日

everglazeさん
イタリア人気質…フムフムでした👀
自由に歩き戯れる大型犬、優雅さが更に⤴︎でした。

こころ