グレート・ワルツ

解説

「望郷」「舞踏会の手帳」に次いでジュリアン・デヴィヴィエが渡米しての監督作品で、「大都会」「大地」のルイゼ・ライナー、「薔薇のワルツ」のフェルナン・グラヴェ、ウイーンから来た歌姫ミリッツァ・コリウスが主演するもの。ストーリーは「私の行状記」のゴットフリード・ラインハルトが書卸し、「真珠の首飾」「恋の凱歌」のサミュエル・ホッフェンシュタインと「女ひとり」「男は神に非ず」のウォルター・ライシュが協力して脚本を書いている。キャメラは「激怒(1936)」「大都会」のジョゼフ・ルッテンバークが当っている。ヨハン・シュトラウスの音楽を「わが家の楽園」「北海の子」のディミトリ・ティオムキンが編曲し、歌詞はオスカー・ハマースタイン2世2世が新たに書き、音楽指揮にはウイーンから来たアルツール・グットマンが当っている。舞踏、アンサンブルはアルバーチン・ラッシュが振りつけた。助演は「ハリウッドホテル」のヒュー・ハーバート及びカート・ボイス、「スペイン協奏曲」のライオネル・アトウィル、「将軍暁に死す」のレオニード・キンスキー、「忘れじの歌」のジョージ・ヒューストン、「サンフランシスコ」のアル・シーン、「君若き頃」のハーマン・ビング及びシグ・ルーマン、「アヴェ・マリア」のクリスチャン・ラブ、バート・ローチ、グレタ・マイヤー等である。

1938年製作/アメリカ
原題または英題:The Great Waltz

ストーリー

若きヨハン・シュトラウスはウィーンの銀行に勤めていたが、仕事はそっちのけで作曲に没頭していたのでとうとうくびになってしまった。彼は意気揚々と銀行を出ると、恋人であるパン屋の娘ボルディの心配をよそに、近所の音楽愛好者たちを集めて管弦楽団を組織し、自分の作曲したワルツをカフェーで演奏した。それは始め客に喜ばれなかったけれどもそこへ帝室オペラ劇場の歌姫カーラと歌手シラーが現われて称賛したことから、町行く人々まで楽の音に聞きとれるのだった。カーラはこの若い作曲家に興味を感じて、彼女のパトロンであるホーヘンフリード伯の夜会に招待した。そしてその席で、彼女はシュトラウスの作曲になるワルツを歌った。当時ウィーンの上流社会では、ワルツは野卑名曲として軽蔑されていたが、その場に居た紳士淑女はことごとくそれに魅惑された。翌日シュトラウスの許を訪れた出版屋は彼の楽譜出版を契約し、一躍にして彼は楽壇に乗り出した。シュトラウスの胸にも何時かカーラの妖艶な姿が焼着けられたが、彼女が伯爵の愛人であることを知ってきっぱりと諦め、彼を心から愛するボルディと結婚することになった。その頃ウィーンでは貴族政治に反対する民衆運動が行われ、ある日シュトラウスは先頭に立って示威行進をしてホーヘンフリード伯の屋敷へ押しかけ、そこに居たフランル・ヨセフに誰とも知らず無礼な振る舞いをした。ちょうどそこへ来合わせたカーラがこの騒ぎに巻込まれたので、シュトラウスは彼女を助けて馬車に乗り、一夜をウィーンの森に明かしたが、それ以来2人の間には断ち難い愛情が生まれた。次の日シュトラウスは民衆運動が勝利を得てフランツ・ヨセフが王位についたことを知ったが彼が昨日無礼を働いた士官が他ならぬ王であるのに驚くのだった。間もなくカーラの勧めで彼のオペラが上演されるようになった頃には、シュトラウスは貞淑なボルディを愛しながら、カーラとの恋は断ち難いものに進んでいた。オペラは連日好評をつづけたが、家庭を守るボルディは毎日淋しく家にいるのだった。いよいよ最終日の夜に彼女を訪れたのは意外にもホーヘンフリード伯であった。彼はカーラへの愛を訴え、ボルデュの力で2人の間を割いてくれというのだった。ボルデュは堅い決心をして家を出て劇場へ向った。シュトラウスとカーラはその夜一緒に旅に出るのである。しかし劇場で2人の顔を見ると、彼女はただオペラの成功した祝いを述べただけで外へ出ると、そのままよよと泣き伏した。シュトラウスとカーラはダニューブ河岸へ馬車を走らせたが、2人の間にはボルディの姿が消えなかった。そして川を舟が離れる場所で2人は永久に別れた。それから歳月が流れて何十年か後に、国民的作曲家として老いたるシュトラウスはフランツ・ヨセフに拝謁を仰せつけられた。うれしげにほほえむホルディの顔。歓呼の声をあげる群衆の中から、かつてのカーラの歌声が聞こえる気がするのであった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

映画レビュー

4.0ミリザ・コルジャス

2021年12月25日
Androidアプリから投稿

デュヴィヴィエ監督の最初の米映画(MGM/1938年) ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世の伝記映画 《名曲の誕生》に焦点を当てているが 映画はかなり脚色されている 誕生と普及に貢献する 歌姫カーラ(ミリザ・コルジャス)の存在が 名曲と映像を華やかにする ウィーンの森での〈ウィーンの森の物語〉の誕生など 今観ると可愛らしすぎるが 公開当時の観客は胸キュンだったのかも 最高潮の盛り上がりを見せる帝国劇場での成功 舞台上のコルジャスの歌声、演出は素敵でした そして指揮するシュトラウスを間に対峙する 劇場全体を味方にした舞台上の挑戦的な歌姫と 舞台下、客席後方で興奮の渦に包まれた観衆を 見渡す妻(ライナー)という構図も盛り上がります (彼女の複雑な心情がわかる… ) 音楽劇と言ってよく 単純に楽しめました シュトラウスは〈幸せな男〉というのが感想でしょうか

コメントする (0件)
共感した! 0件)
jarinkochie

他のユーザーは「グレート・ワルツ」以外にこんな作品をCheck-inしています。