「ハチャメチャな動きと、軽口付きの飛び出す絵本。」80デイズ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
ハチャメチャな動きと、軽口付きの飛び出す絵本。
映像は怪しげな国へと誘ってくれる。幼いころ、ダ―クファンタジー系の飛び出す絵本をワクワクしながら開いた感じ。
でも、実在の国名が出てくると、いくら ひと昔の国が舞台だと思おうと思っても、あまりにもへんちくりんに作ってあるので興ざめしてしまう。原作が発表された頃なんて、異国は今の月か火星かと言う位夢の話だった。異国自体がファンタジーの国だったから、どんな荒唐無稽でも楽しめたんだろうけど…。
しかも、この『80デイズ』は製作者たちは気がつかないかもしれないけど、軽いアジア蔑視もあって、どこか素直に楽しめない。
これ、この作品に出てくる国の方々が観たらどう思うんだろう?ディズニー制作で、その国の方も観るのだから、その国の方も納得するような作りにしてほしかった。そういう風にしたってコメディ・ギャグ作れるはずだし。どうせ、原作の設定だけ頂いて、物語はかなり変えているんだから配慮が欲しかったな。
それでも、役者は凄い。
ジャッキー氏目当てで観たけれど、拾いもの。
スティーブ・ク―ガン氏。凄い役者です。最初の登場は、世間知らずの中二病的な線の弱い、従者なしでは生きられないただのお坊ちゃんだったけど、旅の終わりころには、ああなんてたくましく…。そんな姿を演じ分けられるなんて、なんて芸達者な役者だろう。著名な方なんですね。拾いものでした。
その後、『あなたを抱きしめる日まで』でさらにその才能にしびれました。
セシル・ドゥ・フランスさんも綺麗。笑顔がすてき。ただのお転婆娘から人情味あるレディへの転身。素敵だなあ。
前半の物語はちょっと間のび。シュワちゃんのギャグで笑えたけど…でも後味悪い。
中盤、中国の場面から面白くなってくる。って、カンフーのシーンだけですが。
NYのシーンはなんだこりゃ?自由の女神出したかったんだろうけど。
世界旅行の話と、ジャッキーを活かそうとした?話をつなげたけれど、うまく練れていない。無理くり設定に見えてしまって、今一つ話の整合性が…。シーンごとの羅列で、これってあのパロディ?みたいな、どこかで見た話のつなぎ合わせ…。
かつ、
ハリウッド制作だから?中国の描き方、どうにかならないもんですかね。そこも不満。
ジャッキー氏の扱いもねぇ。どうにかならないもんですかねぇ。実は実力者で目的の為に己を隠しているけど、いつも従者扱い。場面によっては卑屈に見える。おんなじ従者でも、西洋系なら違うだろうに。
と不満もあるけど、子ども向け映画としては、適当に馬鹿馬鹿しくて、適当に夢があって、楽しめる映画です。
でも製作費120億ってどこにかけているのやら。各地ロケというけど、スタジオで撮った?みたいな場面が多いです。
ギャラがはる役者を集めたから? サモ・ハン・キンポー氏、キャシー・ベイツさん、ジム・ブロードベント氏他、なじみの顔がちらほら。しっかり子ども向けのお約束コメディーを決めてくれます。マギーQさんまでコメディに見えてくる。
脚本とか演出にはとくに目星しいことないけど、ちゃんとプロの演技者、カンフーができる役者でもっている映画です。
原作未読。1956年版映画未鑑賞。