劇場公開日 2004年6月12日

「ダイアン・レインがトスカーナに溶け込む」トスカーナの休日 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ダイアン・レインがトスカーナに溶け込む

2020年5月3日
PCから投稿

離婚の痛手を忘れるために訪れたイタリアのトスカーナ地方の家を購入し、新しい生活を始めるアメリカ女性の人生の再生を描く。女流作家のアメリカンライフスタイルとイタリアの片田舎の牧歌的スタイルの対比には、成功から安らぎへの人生観の変化があり、都会の喧騒に疲れた者の理想に違いない。資金に余裕があれば、言語や食べ物の障害を乗り越え、新たな恋愛を見つける機会もあるだろう。そんな夢の実現を、ダイアン・レインは充実した表情と演技で見せてくれる。ラストの結婚式で装うドレス姿が美しい。
演出にフェデリコ・フェリーニへのオマージュが幾つかあった。「甘い生活」の噴水シーン、「アマルコルド」のニーノ・ロータ風音楽にタバコ屋の豊満女性と、台詞にもカビリアが出てくる。監督の趣味は解るが、一寸遣り過ぎではないか。ポーランドからの出稼ぎは、この時代を象徴する。
「リトル・ロマンス」でヴェネチアを訪れた少女期のダイアン・レインは、大人の女性になってトスカーナの豊かな自然の景色に溶け込んでいる。

Gustav