「手持ちカメラの上下左右に揺れる映像に慣れるまでキツイが」息子のまなざし ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)
手持ちカメラの上下左右に揺れる映像に慣れるまでキツイが
非行少年の職業訓練学校の講師をしているオリビエは、息子を殺害した少年が、自分の学校に入った事を知り、それと対峙するドラマ
全編通して主人公のオリビエに、密着した手持ちカメラで、撮影した映像は、彼の生活と心情を近い視線から、観客に見せるのにひと役かっているのだが、間近で画角が狭くて被写界深度の浅い映像が、上下左右に揺れる映像には、慣れるまでキツイくて閉口するが、オリビエと少年の距離感が少しずつ変化してゆく過程を、スリリングに見せる術だと分かると、ジリジリと緊張感が増して映画に釘付けになる。
音楽もほとんど無くて、台詞も最小限だが、映像が互いの感情をそれとなく感じさせる演出と演技は、素晴らしく凄い。
後半に、二人で選木に行く過程でのロードムービー的シークエンスや無人の製材所でのやり取りも、何とも緊張感があり、深い余韻を残すラストも見事。
分かりやすい感動も泣きも無いが、ソリッドな、これぞ映画。
そういえば、二人が製材所に行く途中で寄ったカフェにアナログのサッカーゲームがあり、二人でプレイするけど、古今東西のヨーロッパ映画を見てると、カフェや酒場に大抵置いてあって熱心にプレイしている光景を見るが、日本でいえば野球盤みたいな物なのかな。
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