「もはや手の届かない領域にぶっ飛んでいく」キューティ・ブロンド ハッピーMAX うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
もはや手の届かない領域にぶっ飛んでいく
前作では、彼女のアイデンティティーがうまく描けていたと思います。ブロンドで、自分を磨くのに全霊を傾け、完璧な女の子を目指す。そして完璧な男の子にプロポーズされることが彼女のゴール。
ところが、上院議員を目指すなら、「ブロンドの妻はイメージにそぐわない」という信じられない理由でフラれ、その彼を振り向かせたい一心で、ハーバードの法学部に入学し、えん罪の殺人事件の弁護士見習いとして、無罪を勝ち取るという、あまりにもぶっ飛んだストーリーで、それを天然っぽく、喜怒哀楽たっぷりに演じたリース・ウィザースプーンのはまり役だったと思います。
思うに、そもそも美人で、欲しいものは何でも持っていて、自分が必要と感じたもを手にするのにはあらゆる努力を惜しまない彼女は、究極の負けず嫌いで、その努力すらも、努力に見せないところがスマートで、女性の共感を呼んだのでしょう。その存在自体がぶっ飛んでいるところに、殺人の冤罪を晴らすという、ぶっ飛んだ設定をぶつけたことが、マイナスにマイナスを掛けたらプラスになった、思わぬ効果をもたらしたのでしょう。
さて、その続編の今作、レビュー的には評判を落としてしまったようで、パート3はさらに悲惨な出来栄えになってしまったようです。
でも、もともとぶっ飛んだ内容だった映画なので、何でもあり、前作が法廷を舞台にしたなら、今作は議会が舞台。しかも、その動機が「自分の結婚式に愛犬の親犬を招待したい」という、本当にくだらない理由。またまた彼女の負けず嫌いとマイペースぶりに周囲が翻弄され、次第に味方が増えていき、遂にペット虐待防止法案を通してしまう、という話の飛躍っぷり。
ぶっ飛びすぎていて、逆に地に足が付いた感じがするのは、前作と同じ。妙に安心してしまいます。
それから、今作では、脇役にテレビシリーズの「24」のクロエ役の女優さんとか、「ビッグバン★セオリー」にゲストで出ていた役者さんたちとか、妙に知った顔も出ていたので、うれしくなってしまいました。オスカー女優のオクタヴィア・スペンサーもちらっと端役で出演しています。
前作よりも、私はこの続編のほうが好きになりました。
2017.9.14