クジラの島の少女のレビュー・感想・評価
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Hakaは地響き Hakaは海鳴り 生命をもたらすものに幸あれ
2024年の1月のことだ、
ニュージーランドの国会議事堂で、最年少の国会議員、マオリ族の21歳!ハナ・ラフィティ・マイピ・クラークが、議会初登壇の日に強烈なハカ=Hakaを披露した。
そのYouTubeをご存じだろうか。
白いスーツに真赤なシャツ。そして褐色の肌に輝く黒髪。
とんでもない迫力に押されて、僕はその動画を擦り減るほどに観た。
あれは「海の彼方からやって来た我が民マオリの歴史を誇ろう」というHakaの内容だった。
検索してみたら2025年の今年の彼女のHakaも凄いし!
この動画も映画と合わせてぜひ見るべき。
今回、配信のお薦めで、中身も知らずに覗いてみた本作だったが、いい目っけもんをした。
「クジラの島の少女」、
原題は 「Whale Rider」。
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かつてマオリも、アボリジニも、そして北米のネイティブたちも、
白人政府による強制隔離と民族同化政策の嵐で、彼らの言葉と伝統文化が瀕死の状態にまで追いやられた歴史がある。
(⇒欧米文化の授与、すなわち母語を捨てさせて英語を使わせ、祖霊信仰を否定してキリスト教を信じさせること。親から引き離して子供を白人コミュニティで育てること。
それが侵略白人に対する原住民の抵抗を骨抜きにし、“野蛮人”を幸せにする道だと植民地政府は考えたわけだ)。
劇中、働かずに酒浸りになってしまった若者たちの姿や、観光客相手のお土産品作りしかやることのない落ちぶれた姿が、映画にはほのめかされている。
死にかかったクジラに自らを重ね、
精霊パイケアの力を受けて、マオリの復活を祈念するための映画なのだろう。
しかし今やニュージーランドは、国会議員の50%が女性で占められ、3年前には女性議員が過半数を超えた世界で6番目の国となった。
そしてついに外務大臣もマオリの女性だ。
男系の男児の跡継ぎしか求めない特殊な生き方をするのは人間だけ。人間以外の生きものたちは、そんな不自然な生き方はしない。
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【メモ】
僕の母が待望の初子として産まれたとき、おじいちゃんは『女か』とだけ言って部屋を出て行ってしまったのだそうだ。
だれもしらないはずのその一言なのに、祖母は母に、そして母は僕に「この言葉」を伝えた。
そんなことを口にしてしまう必要があったのだろうか。
でもどうしても積年の思いを吐き出して腹いせをしたい。またたとえどれだけ年月が経とうとも収まらぬ怒りを表したい必然が、彼女 =僕の祖母にはあったのだと思う。
祖母は母に伝え、母は僕に打ち明けたわけだ。
祖母と母の実家は、紀伊半島の南端。クジラの港の 隣町だ。
映画を観ながらそれを思い出した。
最年少でオスカーノミネートを確認したかった。まあ、なるほどね(笑)...
途中までは見るに堪えない
前半から、もうエンディングギリギリまで、「これ20年前の映画やけど、今やったら製作も上映もできんのちゃうかぁ~?」と思うくらい女性蔑視、女性差別、そしてモラルハラスメントのシーンが多く、男性である自分でさえも気分が悪くなるほどだった。
しかし最後の最後のシーンで、それが杞憂である事が分かる。
そして現代でも、いや、現代だからこそ理解できる「女性の強さ、リーダーシップ」と言うものが上手く表現されているように思う。
かつて、男性より下に見られ虐げられていた時代を耐え抜き、対等、時にはポジション的に上に立つ時もある女性の姿。
その成長過程を、この映画の幼いヒロインを通して観る事が出来た。
(まるで人間の歴史みたく)
ただ、こんな風に古い風習を維持し続ける事こそが、自分の使命、と思い込んでる頑固オヤジは、地球上の未開の地域にはまだいるんやろうなぁ~、という思いも一方である。
この映画の舞台も、そんな未開の地域の割に、登場人物たちは聞きやすい英語を話していた。
あれは、ニュージーランドのなのね。
前述の通り、もう20年も前の映画だが、今でも十分鑑賞に堪えうる内容。
テレビで放送があったら、再度観てみたい。
(多分機会は少ないだろう。その頃には女性差別よりも、LGBTの問題の方が大きくなっていることだろう)
いきなりオスカーにノミネートされた感
誰のせいでもない
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