ライフ・オブ・デビッド・ゲイルのレビュー・感想・評価
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死刑制度の是非
特筆すべきはストーリーテリングの巧みさ。
「何か裏がある」感を漂わせつつ、観客を飽きさせないように
しかも核心の衝撃は弱めないように、謎を少しずつ明らかにしていく。
ここのさじ加減が非常に良くって、最後までハラハラしながら楽しめた。
とは言ってもテーマ的には「死刑制度の是非」。
何が善で、何が悪なのか。複雑で、しかも答えがない問題。
ラストシーンで提示されるメッセージは極めて強烈で、
改めて死刑の是非について、あるいは
「ちょっとした悪意や無理解」の重さについて考えさせられる。
しかしケヴィン・スペイシーが独白をすると
「何か裏がある」と感じてしまうのは僕だけだろうか。
重い。
なるほど、まんまと手の平で転がされていたわけだ。
どこかで、「そうじゃないか」とは思いつつも、「なぜ」、なのかが考えきれなかった。
でもそらそうだよね。すでに何年も服役してるんだもん、本当に純粋に冤罪を暴いてもらって生きたかったらもっと早くするよね。
ポンコツの弁護士によって「手違い」で終身刑が死刑になったところでおや?と思うべきだった。
そもそもド素人に調査させてるのにその素人ですら次々と新事実を掴んで、随時ヒントが転がり込む。計画して、協力者がいないと成り立たないよね。
いや~、最後までハラハラ。途中では涙したり。楽しめました。
一番心奪われた作品
映画が大好きな友人が教えてくれた作品。
最初は横になって観ていたが、気付いたら正座して泣いてた。
テレビの前で、1人ただクライマックスのシーンに開いた口が塞がらず涙が止まりませんでした。
ここで話が終わりと思いきや、最大の衝撃のシーンはラストシーン。
エンドロールが流れても、頭がついていかないというか受け入れられない。
真の結末に2度目の涙。
これが本当のどんでん返し。
私が人生で観た映画の中で一番心奪われた作品です。
そして誰かに勧めたくなる作品。
アラン・パーカー監督の実力
いやぁ、見応えのある映画でした。感心につぐ感心であります。この演出力の確かさったらないですね、実際。こういう水準の映画を次々と撮れてしまうところが、職人監督と呼ばれる所以ですかね。
ここまで『ミシシッピ・バーニング』、『ミッドナイト・エクスプレス』、そして本作『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』と観てきたわけですが、印象としては社会派のデビッド・フィンチャーって感じですかね。このストーリーテリングの上手さったらないですよ、ほんと。
このコメントでは内容については触れませんよ。これはもう、観てもらうしかないですよ、実際。まだ未見の方へのお勧めは、もう一切の前情報なしでご覧いただくってことですかね。「ふーん、デビッド・ゲイルって人の生涯が描かれるんだろうなぁ、どんな生涯だろうなぁ」、それぐらいの感じで観ていただくことがお勧めですね。
よーし、今後もアラン・パーカー監督作を観ていくぞぉ!
こうやって思わせてくれる監督って、私にとってなかなか少ないんだぞぉ、ホンと! こうやって思えることは、幸せだぞぉ!
映像かっこいい!!
死刑制度ということをテーマに置いた社会派サスペンス。しかしこの映画は重すぎないところがいい。社会派だと重くて見てられない場合も多いがあるこの映画は重すぎずエンターテイメント性がある。脚本もよく練られててラストはやられた。流石に予想外だった。あと映像がめちゃくちゃかっこいい。カメラワークや映像の切り替え方など僕が見てきた映像のなかでトップに入るくらいかっこよかった。サスペンス映画なので謎が多くて整理しづらいがラストの謎が全て解けた時の恐怖は深く余韻に残る。評価も高いので期待して見てたらいいと思う。
殉職⁉︎ 頭良い人は考えることが違う。 ボクには絶対できない。 ど...
殉職⁉︎
頭良い人は考えることが違う。
ボクには絶対できない。
どのタイミングで思いついたんだろう…
それが知りたい。
ホラーです。
凄いです。
面白かった。
真の活動家
何度観てもズシリと来る。殺人を犯したのだから死刑というのは、あまりにも安易過ぎるなと思う。
しかし、真の活動家だと思って振り返ってみると、人生に絶望した男が、このまま生きるのなら死刑制度に命を捧げた自死ではないのかとも思った。それも含めて観る人に考えさせるのが監督の意図なのだと思う。とにかくストーリーが練られててあっと言う間の2時間だった。
浮気心がある人はこの映画ほど抑止力になる物はないだろうな。
さすがケビンスペイシー。
これはこれは初めてです。最後のどんでん返しがこんなに凄いとは。よくDVDジャケットや映画のプロモーションで最後の結末予測出来ません的な打たれ文句があるがほとんどが予測出来まくりですよね?(笑)けどこの映画は予測出来なかったし人間って色んな情報で真実を見逃すんだな~とサスペンスでもあり社会派映画でもあるかなと思う。あまり洋画に興味のない人にも観せたら絶賛してました。
色んな思いが重なった深いため息が出る
またまたお気に入りが一本増えてしまいました。
重厚なテーマを重厚なトーンで描いたがっしりした洋画はすごく久しぶり。こういう、ハリウッドらしくないけどアメリカならではのアメリカ映画も大好きです。
社会派作品としてもサスペンス作品としても上等な、先が気になり続ける緊張感のある無駄のない脚本に緊迫感のある演出、そして実力派揃いの役者さん達の演技に魅せられてすぐ見返したくなるようなお話です。
たしか大どんでん返し物と聞いて興味を持った記憶があるんですが、その記憶が曖昧になった頃に観られて本当によかった!最近予備知識に悩まされてたからすごく嬉しいですw でもそうじゃなくてもきっと大満足してた気がします。
というのはその大どんでん返しというのも、全く予想が立たずに騙されたー!!というカタルシスがあるとより、「はっ」とするけど淡々(でもないけど適当な言葉が浮かばない。。)と受け入れられるような、解釈を上書き保存するようなことが続いてラストに少し大きく「はっ」とするけどすぐに納得できて「はー」っと唸るという新鮮な感覚で、それがまたすごく良くて。
重いテーマの中全てに意味のある演出、伏線回収がすごく小気味よく、「???」状態だった最初のシーンへの繋がりにしかり、デビッド体液がコンスタントの体内に残っていた愛のある種明かしにしかり、要所要所でちょっとずつひっかかる「?」が二転三転を経て最後に太い一本の線になっててその脚本と演出の秀逸さには感動するばかり。
伏線だろうなとは思ってはいつつ、話が進むに連れて頭の隅の方に移動してた何気ない一コマ(教壇の言葉とか息子の欲張りなリクエストとか)も最高の形で後になって活きてきたり、
シーンが変わる毎に単語が何枚か一瞬だけ映る映像もずっと色味が明る過ぎてこの映画には蛇足な演出なように思ってたけど、最後の賛成派と反対派が交差するシーンで“社会”(その他大勢、部外者)とのトーンとか温度の対比としてあえてそうしてたことに気付いたり本当にたまらない演出の数々。
カメラワークというか視点の切り替わりもすごく面白くて、物語のキーになるビデオテープの最初のシーンは戦慄が走ったほど。映画であんなに生々しい殺人(もとい…)って初めて見たかも。ローラ・リニー本人の体だというから更に驚きです。
そしてそれを仕上げる素晴らしい俳優陣。
ケビン・スペイシーのお芝居はホントにいいなあ。。 彼が話すとその目を見入ってしまいます。
教壇に立ってた頃のデビッドとアル中の時期のデビッドと檻の向こうのデビッドはまるで別人に見えることもあるのに、その中にある一本の芯みたいなものを感じさせてくれててホントに凄いと思っていたところにあのオチなので余計凄みが増します。
ローラ・リニーはコンスタンスが抱える葛藤を本当によく表現していて、そんな経験もないのに気持ちが手に取るようにわかって切なくなるほどでした。
葛藤してたのはビッツィーも同じで、テープを見た後や最後の面会の時に女性として、ジャーナリストとして、そして“人間”として複雑な思いになる様と、そんな頭と心のアンバランスをふっきった後のピッツィーの行動力をケイト・ウィンスレットがパーフェクトに演じていて、『タイタニック』のローズ見えないほどでした。
あるラインを越えたがゆえのデビッドの“静”とビッツィーの“動”。死刑執行までのタイムリミットが限られている中この対比が本当に効いていました。
「人は日々死を遠ざけようとする。そのために食べ、工夫し、愛し、祈り、闘い、殺す。」
すごく印象深い言葉です。
そして
「失った物が多いほど死は希望になる。」
「私の命はどうでもいい。息子の記憶に父親としてどう残るかだけだ。」
と言うデビッド。
普通に生活してたらきっと一生立てない境地を目の当たりにし、人間くさく体当たりで真相に迫るビッツィー。
ビッツィーの「彼女自分でやったのよ!」には鳥肌が立ったし、テープを見つけてから刑が執行された(描写しないであっさり“その後”なのが逆に時間の残酷さ際立たせてて素晴らしい演出)と聞き号泣するところまでの人間の心理描写が本当に素晴らしい。
ハプニングは映画的ではあるけど緊急事態にならないとわからない通常運転のありがたさや、普段なら頑なにNOな事が後々考えると自分でびっくりするほど簡単にできるような、ルール無用の頭より体が動くあの感じがこれでもかというくらい伝わってきました。
そして死刑制度に対する問題提起。誰かが自分の考えを言うだけで誰かの人生に深い傷を与えてしまう本当に難しくて重い問題です。
監督は自分の意見を押し付けたりせず全部見終わった観客に「で、あなたは死刑についてどう思う?」と改めて聞いているように感じました。
でも死刑については実際に身内を失うか、もしくは自分や身内が死刑囚になってみない限り、私が賛成だとか反対だとかを口にしていいのかもわからないくらいの考えなのは変わらず、答えがだせなくてきっとそういう議論にはこれまでもこの先も参加できないままだと思います。だけどもっと考えてみようとも思いました。
死刑と並んで考えさせられたのは人それぞれの考え方、そして“旅立ち方”。
他人に理解できなくても本人が納得してるならきっとそれこそがハッピーエンド。
この作品にハッピーエンドという言葉は似合わないけどデビッドたちの計画がフォローまで徹底していたお陰で息子の未来も“利用された”ピッツィーにも救いがあって、こんな話なのに後味がいい。それは絶望を知ってるデビッドの希望と優しさに満ちた幕引きがそうさせてるのでなんだか感慨深いです。
当事者たちの気も知らずに周りは好き勝手に言うものだけど、私たちは常に“当事者”でもあるし“周り”でもあるということを改めて考えました。
印象の項目で[興奮][知的][難しい]の3つを選んだの多分初めてなのですが、普段選択肢がピンとこないことが多いけど色んな意味でまさにそんな感じの映画でした。ずっと泣きそうになりながら過ごす2時間というのも珍しい体験でした。
とにかくデビッドの人生を見られて本当に良かった!
死を賭けて臨む、信念と生きざま
死刑廃止論が全編を通じてテーマとして映画の雰囲気を重厚なものにしています。自分は今のところ、死刑廃止論に対して賛成でも反対でもない。それは自分の愛する人の命が奪われた時や自分が家族が死刑になるような場面に出くわさない限り、多分避けて通ると思う。つまりは賛成にも反対にも回るってことだ。この映画は反対に死を賭して訴える方法を取った男が主人公で、まんまとそれに乗せられた雑誌記者をケイト・ウィンスレットが演じています。彼女「タイタニック」で見せた演技よりこちらの方がより役者っぽくなったかな。それに対し主人公演じるケビン・スペイシー流石です、重厚で存在感。その演技力+シナリオ。謎解き的なストーリーでもあるのでみんな、最後の展開にはなるほど!ってなるはずです。そこで初めてこのテーマが浮かび上がってくるのです。こういう映画は観て爽快感はないのだけど、うーんと唸って考える、そんなことも映画の魅力の一つであるわけで・・・。と自分を納得させています。
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