黒猫
劇場公開日:1934年9月13日
解説
「フランケンシュタイン(1931)」「ミイラ再生」のボリス・カーロフと「モルグ街の殺人」「恐怖の夜」のベラ・ルゴシが共演する怪奇劇で、美術監督から昇進したエドガー・G・ウルマーが第1回作品として監督にあたった者である。エドガー・アラン・ポーの名作からヒントを得て監督者ウルマーがピーター・ルーリックと共同して書き下ろした脚本であるから原作とは甚だ相違がある。助演者は「ミイラ再生」のデイヴィッド・マナース、「国境隊」のジャクソン・ウェルズ、「土曜日の大観衆」のルシル・ランド、「最後の一人まで(1933)」のエゴン・ブレッチャー、「戦線の嵐」のハリー・コーディング等で、撮影は「摩天楼の悲劇」のジョン・J・メスコールが担当している。
1934年製作/65分/アメリカ
原題または英題:The Black Cat
劇場公開日:1934年9月13日
ストーリー
ブダペスト、ビゼグラード間の急行列車が新婚のアリスン夫婦を乗せて一路暴走している最中、その車室を明けて1人の男が入ってきた。車掌の手違いから同室となったものでビタス・ワーデガストという精神病学の泰斗でオーストリア人である。彼は世界大戦に出征し、奮戦を重ねたが、指揮官のヒジャマール・ポールジッグなる男に欺かれ、バイカル湖付近のクルガール牢獄へ15年の長きに渡って投じられ、あまつさえ娘と妻をポールジッグに奪われたのであった。そして今復讐の一念に燃えて、かつての古戦場マルマロス要塞に居を構えているポールジッグのもとを訪問する途上なのである。丁度新婚旅行の2人と同じ方向なので列車を降りて更にバスを共にしたのであった。豪雨は沛然と降頻り、崖は崩れてバスは谷間に墜落した。ピーター・アルスンの妻ジョーンは傷を負ったのでワーデガストは2人をポールジッグの邸宅へと導いた。ワーデガストの手当てにより彼女の傷も癒えたのが、彼女の美しさにはワーデガストもポールジッグも共に心あやしく戦くのであった。ワーデガストは妻と娘を返せと迫ったがポールジッグは2人共肺炎で死んだと言って取り合わなかった。そしてポールジッグは悪魔拝教を奉信し、黒猫を用いてワーデガストを苦しめた。ジョーンはワーデガストの娘カーレンが生きていてポールジッグの妻となっているのを発見した。ワーデガストは新婚の夫婦を帰してやれとポールジッグに勧めたが彼は肯ぜず、将棋で争うこととなりワーデガストは負けて、ポールジッグは従僕に命じピーターを倒しジョーンを幽閉した。その時ワーデガストはジョーンの口から娘カーレンのいることを告げられ怒りに激してポールジッグに迫りなぶり殺しにした。この情景を見てピーターは妻を救わんものとワーデガストをピストルで射った。死なば諸共とワーデガストは死のスイッチをひねったのでこの大邸宅はたちまち火焔に包まれたがアリスン夫婦は辛うじて脱出することができた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エドガー・G・ウルマー
- 脚本
- エドガー・G・ウルマー
- ピーター・ルーリック
- 原作
- エドガー・アラン・ポー
- 撮影
- ジョン・J・メスコール
- 美術
- チャールズ・ホール