シベリヤ物語のレビュー・感想・評価
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ロシア音楽を楽しむべきソビエト連邦の国策映画
戦争から帰還した音楽学生が、手の怪我でピアニストを断念、恋人の前から姿を消し、独り厳寒のシベリアに身を置き、結局は作曲家として自立していく姿を、時のソビエト連邦の国家的価値観で纏めた国策映画。ただ、その面の厭らしさを除けば、戦前の西ヨーロッパ映画に見られた男女の通俗的メロドラマの面白さがある。主人公に恋心を抱く村の娘と、彼女に片想いする運転手など人物の絡みも適度に処理されている。音楽映画としての楽しさもあり、特に酒場の場面などいい雰囲気を醸し出していていい。鉱山資源が豊かなシベリアをプロパガンダするソビエト国家の内情に、そこまで映画に組み込まないと制作できない裏側が何とも幼稚で可笑しい。それら含めて、ロシア音楽をメインに楽しめば退屈しない出来である。
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