至福のときのレビュー・感想・評価
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やはり、ドン・ジエは可愛いな。
中国でも失業者が出るんだぁ~と、この頃は不思議だった。それでもストーリーには引き込まれました。実の父親が金を持ち逃げして、継母の下に残された盲目の少女などという設定自体で読めてきそうなものであるが、チャオのホラ吹きぶりに大笑いしてしまうのだ。原作は知らないが、巧い脚色をほどこしてあるなぁと感心してしまいます。そして、ドン・ジェの笑顔が素顔との落差が大きくて輝いて見えるのです。
しかし、そういう感動するシーンよりもチャオ・ベンシャンの行き当たりばったりの嘘が絶妙なので「そう来るか、じゃ、今度はどうだ?」などと観る者との駆け引きが生まれるのです。「ついていい嘘とついてはいけない嘘」という説教くさいとも取れる点はあるのだが、失業者仲間の暖かい嘘が癒してくれました。
【2004年視聴】
もうちょっとで良い作品になったのに
コミカルなストーリー展開と、盲目の少女との出会いは、チャップリンの「街の灯」のオマージュと思い、最後は手術代ができて、 深圳の病院で 手術をして、目が見えるようになるラストを想像した。
特に少女が主人公の頭や顔を触るシーンを見た時は、かなりそのラストを確信したのだったが、実際にはやや消化不良気味のラストであった。
明るく、元気な姿で歩く姿は自立した大人の女性のようで、将来への明るい展望を予感させる印象的なものであったものの、現実的にはたった一人になった盲目の彼女は一体どうやって暮らすのか?あの時点では泊まるところもなかったはずだ。それに、交通事故に遭った主人公も生死の境にあって、死ぬのか、助かるのかもわからない状態で、スッキリしないし、彼にお世話になった彼女自身がこの事実を知らないと言うのは、なんとも切ない。
そもそも、この映画の雰囲気として、主人公が交通事故に遭う事自体ありえないだろう。あと、主人公が本当の父親に代わって書いた手紙は、主人公が直接盲目の少女に読むべきであろう。そのほうが感動的であったはず。
全体的にB級テイストの映画であったが、ヒューマンドラマとして良い雰囲気だったので、最後をもうちょっと工夫すれば、かなり良い作品になっていたと思うので、残念である。
純心
うつくしい盲目の少女。お金もなく身よりもない。
しょうじきなところ、そこにドラマを想像するなら、かのじょが身も心も男に略取される悲劇である。日本映画がもっとも好きなやつだ。
そんな想像をすることが、低俗であるなら、日本の映画監督たちは、ほとんど低俗になってしまう。
かれらは、年端もいかない女性が、男たちの欲望に翻弄され搾取される話を、むしろ好んで描くからだ。
じっさい低俗なのだろう──と個人的に思っている。
つまり、この映画、チャンイーモウの至福のときが見たこともないほど純粋に見えるのは、わたしたちが、いやというほど、日本の退屈なAbused Womanの方法論を見せられてきたからに他ならない。
断言してもいいが、日本映画の鬼才(エアクオート)たちに、盲目の貧しい少女という材料を与えたら、かれらは、ぜったいに少女をいじめる──はずである。
鬼才とは、そういう単細胞を意味する、代替語とみていい。
ひるがえって、この映画がどんなに新鮮に見えたことだろう。
少女をとりまく大人たちは、ひとりとして、ペドフィリアの気配がない。気配がないというより、その病気そのものを知らない。
おとなたちが雁首そろえて、大仰な偽装工作をうち、なんとか少女に生きるしるべを見い出してもらおうとする。──のである。
人のゆがみではなく、人の健全にペーソスを見いだす──その初動の違いと、演出によってもたらされた結果は、すさまじい。あの子を探してや初恋のきた道やこの映画には、わたしたちが忘れていた純粋があった。
どれだけ女性を過酷な目に遭わせてもこれらの映画の衝撃にはかなわない。
いうなれば日本映画とチャンイーモウは北風と太陽の相対にあり、単騎あたりまでの作風は世界的に見ても絶対の牧歌性があった。さながら西のケネスローチ東のチャンイーモウだったが、次第に商業色を濃くしている。とはいえ大作主義の大家となっても演出を失っていないのはさすがだと思う。
温かい嘘と受け入れるその気持ち
脳腫瘍の為に目が見えない少女と彼女の義母と結婚したいばかりに目の見えない少女の面倒をみることになった無職の中年男の話。義母の家で虐げられてきた少女にとっていつか手術代を稼いで向かいに来てくれる父が唯一の支えであり、なにも受け入れない頑なな少女がいつしか周りの人の温かさに魅かれ・・という話。ストーリーのテーマはいいのですが脚本はいまいちです。もっと義母の悪辣や父との思い出や手紙のシーンもひとひねりあった方がいいと思う。特にあの最後はない、唐突に男が交通事故に遭い、意識不明。少女はみんなの心遣いを胸に家を出るって・・・男はどうなるの?少女は目が見えないでお金もないまま出て行ってどうなるの?って・・。これが中国映画か、恐るべし。でも流石中国中から選ばれた少女。演技力抜群です。彼女の今後に注目です。おもったよりいい映画でした。本当は4あげたいけどラストで-0.5です。
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