「個人と大衆心理」ヴェルクマイスター・ハーモニー shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
個人と大衆心理
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素晴らしい作品だ。ワンカットが長尺なタル・ベーラだが、この長さは必然的な長さである。主人公は無垢で美しい魂を持つ心優しい青年。その対極に大衆心理で流され、暴動を起こし破壊し尽くす大人たちが居る。張りぼてのクジラが個人と大衆を翻弄する鍵となる。印象に残るクジラの目は虚空を見詰めつつも、全てを見通しているようでもある。エンディングのワンシーンが一つの世界が終わった後の空虚感を見事に捉えている。全く唯一無二とはこの監督のためにある言葉ではないだろうか?
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