劇場公開日 2024年4月5日

「いくつかの作品の原点を見た気がする」フォロウィング kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0いくつかの作品の原点を見た気がする

2024年4月11日
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鑑賞方法:映画館

クリストファー・ノーランって「メメント」が初監督作だと思っていた。世に出てきたのが「メメント」ってだけで誤ったイメージを持っていたのだろう。それでも、ノーランの初監督となったら観ておくべきと思ってしまった。
誰かを尾けるようになった主人公が、尾行していた一人の男に話しかけられるという設定。時系列をいじった物語だが、それぞれ髪型、顔の傷でわかりやすく区別しているから、どの時の話なのかをわかりやすくしている。このあたりの時系列のいじり方が次の「メメント」につながったのかなと推測してみる。
正体不明のバディの存在とか、実は…という結論を提示する手法は「TENET」を思わせる。全編モノクロだからもっと昔の映画に思えてしまうのもわざとか。予算をかけずに面白い脚本で映画を撮るという、監督デビュー作として正しいあり方を見た。当時観たら斬新だ!となったかもしれない。それなりに面白かったけど、粗も目立ってしまうのも仕方ない。だって25年くらい前に作られたんだもの。
高校時代の友人に、1stアルバム好きのやつがいた。1stアルバムはバンド・アーティストのやりたいことや本質がつまっていると。もちろん例外もあるが、そうかもしれないと思う1stアルバムはたしかに多い。音楽の話ではあったが、この映画を観てそんなことを思い出した。音楽の世界では1stアルバムを超えられないバンドはたくさんいるが、クリストファー・ノーランはデビュー作を超えまくった。素晴らしい映画監督の原点を観たという意味で意義のある鑑賞だった。

kenshuchu