「ある年寄りが思う友人とはしゃいだ昔の思い出はどこまでも甘美で懐かしいのだが、もう1人の想いは?」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ある年寄りが思う友人とはしゃいだ昔の思い出はどこまでも甘美で懐かしいのだが、もう1人の想いは?
セルジオ・レオーネ 監督による1984年製作のアメリカ映画。原題:Once Upon a Time in America、配給:東宝東和
1回目視聴ではサッパリ理解出来ず。2回目視聴で初めて、とても良い映画と認識できた。とは言え、最後のところは監督が観客に謎かけを仕掛けてきてる様にも感じた。
少年時代、成人時代、老年時代と、時代が順序無関係に混ぜられて描かれる構成が上手く、深い感動に結びつく。こうして昔の少年時代を描かれると、やっていることはチンピラ集団で酷いことや滑稽なことだが、どこかノスタルジックで甘美な思い出に思えてくる。主人公ヌードルスが覗き見をするジェニファー・コネリー演ずる少女デボラの美しさ・可憐さが、その思いに拍車をかける。
そして、ヌードルスから見たマックスのカッコ良さや少し大人びたリーダーシップも印象づけられる。近所のヤラセ娘との初体験もマックス主導で出来た。2人の出会いと友情のきっかけになったのは懐中時計。それがラストシーンにも意味ありげに再登場する。ヌードルスはジェニファー・コネリーとキスをするが、それをマックスは覗き見していたことも本人弁で明かされる。キスが下手とか言うので、マックスの視線はヌードルス側にあった様にも思える。マックスのヌードルスへの気持ちは、友情の次元を超えている様にも思えてしまう。そして、マックスが水中に消えた様に見せてヌードルスを慌てさせるエピソードは、将来の出来事を予言していて見事である。
大人になったロバート・デ・ニーロによるヌードルスは悪い奴だがとても魅力的だ。だが、憧れの女性に対しての行動は不器用と言うか、いただけない。ハリウッドで女優を目指すと言うエリザベス・マクガバン演ずるデボラを車中でレイプしてしまう。年齢を重ねた彼女、死体偽装で過去を消し政治家として力を得た愛人マックス(ジェームズ・ウッズが好演)の力も借りて、長年の夢であった主演女優として成功し、マックスそっくりの息子も得た様であるが、必ずしも幸せそうに見えなかった。それが、厳しい映画界の現実ということだろうか。
ラスト、老年となった2人は再び対峙する。ヌードルスに銃を渡し、撃てと言うマックス。お前の全てを奪ったと言う彼。仲間を見殺しにして、稼いだお金を我が物とし、ヌードルス憧れのデボラを愛人としたマックス。しかし、仲間の墓を立派なものとし、苦労してヌードルスを探し出し大金を与え、パーティに誘い出し、35年の悔恨を話すのもマックス。モリコーネの甘美な主題メロディと共に楽しい懐かしい思い出しかマックスに関して浮かばないヌードルス。殺人依頼を断り、部屋を出て行くヌードルスのデ・ニーロ。大切に持っていた思い出の懐中時計を握りしめるマックスのウッズ。もう一回、ヌードルスへの長年の羨ましさ・憧れ愛憎を噛み締めたのだろうか。
ヌードルスが外に出た際、強力な歯車で物を砕くゴミ収集車が稼働する。その影に消えたマックス類似の人影。異論もある様だが、彼は自殺した様に自分には思えた。そして、その車と入れ替わりにやってくる若者を乗せた車。遠からずの死を見据えていたレオーネ監督自身(次作構想もあった様だが、遺作となってしまった)の世代交代を暗示した様にも思えた。
最後の最後のデ・ニーロの笑顔、大きな謎とされているが、きっと楽しかった若き日のことを思い出しているのだろうと自分は理解。そして、あの笑顔を愛したマックス、即ち監督の分身の想いが込められているのではと。結局、この映画は男同士の長年の友情、否それ以上の羨望や愛憎、それを超えたプラトニック・ラブを描いているという気がしている。レオーネ監督と作曲家モリコーネは小学校の同級生で、監督はモリコーネが他の監督と組むことは邪魔したとのエピソードを知ると、穿ち過ぎかもしれないが、映画の中の2人の関係性と重なるのかもしれないと。
監督セルジオ・レオーネ、製作アーノン・ミルチャン、製作総指揮クラウディオ・マンシーニ、原作ハリー・グレイ、脚本セルジオ・レオーネ 、レオ・ベンベヌーティ 、ピエロ・デ・ベルナルディ 、エンリコ・メディオーリ 、フランコ・アルカッリ 、フランコ・フェリーニ、撮影トニーノ・デリ・コリ、美術カルロ・シーミ、衣装ガブリエラ・ペスクッチ、編集
ニーノ・バラリ、音楽エンニオ・モリコーネ。
出演 ロバート・デ・ニーロ: ヌードルス、ジェームズ・ウッズ:マックス、エリザベス・マクガバン: デボラ、ジョー・ペシ:フランキー、バート・ヤング:ジョー、トリート・ウィリアムズ、チューズデイ・ウェルド:キャロル、ウィリアム・フォーサイス:コックアイ、ジェームズ・ヘイデン: パッツィ、ラリー・ラップ、ダーラン・フリューゲル、ジェニファー・コネリー:デボラ(少女時代)、スコット・ティラー:少年時代のヌードルス、ラスティ・ジェイコブズ: 少年時代のマックス。
こんばんは🍒
たくさん共感いただきましてありがとうございました😊
本作長いですね。2回観ていますが、レビュー下書き中です💦
背景の建物が時代にあわせてあり、だんだんとビル群になっていくのも楽しめました。
なぜエリザベス•マクガバン?になってしまったのでしょう。
ラストとデニーロの笑顔、謎です