我等の生涯の最良の年のレビュー・感想・評価
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An Epic Drama on the Start of Post-War Suburbia
A reminder how thought-provoking classic films were on real-world societal phenomena. After WWII, three soldiers catch themselves on a flight back to the same hometown. They struggle to readjust to their daily lives and romances put on standby. There is tension in their communities regarding the justififcations and outcomes of the war. More dynamic than the usual news propaganda of the era.
職探しのシーンは自分のことのように感じた
終戦に伴い本国に帰還した軍人達が、家族との再開を喜びあい幸せを噛みしめる。だがその素敵な時間はすぐに終わり、就職難や身体の障害といった、復員兵としての苦悩にぶち当たる。特に、フレッドの爆撃機操作の経験が社会では全く評価されず、職探しに苦労する様に同情した。似たような状況に自分もなったので、自分のことのように感じるシーンだった。しかし、フレッドは最後には自分にとって納得のいく仕事に就けたのが良かった。このように、復員兵の苦悩とそこからの立ち直りがよく描けていた。 最後はハッピーエンドなので後味が良い。だが3時間近くある内容は長過ぎる。あと30分は削ってコンパクトにできたと思う。
アメリカの良心
アメリカ国立フィルム登録簿作品です。 20年ぶりの再見、初回はとても面白かったような印象でしたが、改めて見直すと結構平凡なアメリカ的な作品です。 確かに3時間近い長尺を飽きさせずに見せるワイラー師匠の手腕は出色ですが、主役三人三様の考え方や行動の必然性に力強さが感じられません。 やや教条主義的のきらいがあるので、もう少しリアリズムから離れてもドラマチックな展開を指向した方がよいでしょう。
きつい現実なのに温かい
巨匠の懐かなあ。戦勝国とはいえ厳しい現実はあった。それをほんのりとホームドラマ風に仕上げる。登場人物はほとんど優しく温かく帰還兵を迎える。平和と人々が営む新しいステージ、メッセージはきちんと伝わってくる。ひとつの演技やカット割りに妥協しない演出。
本筋と関係ないけど、早い段階でヒロシマのセリフ、日本刀や日の丸を息子へのみやげにするシーンが印象に残る。
爆弾ひとつで戦争が終わるセリフとか、反戦もしくは厭戦感、傷慰兵への差別や偏見、社会復帰しようともがく帰還兵。考えさせられることも多い。
【following様の鑑賞リストから選んで観てみた】 太平洋戦争...
【following様の鑑賞リストから選んで観てみた】 太平洋戦争が終わった直後のアメリカ。 3人の帰還兵におきた、新聞には載らない悲喜劇。 ホーマーは元海兵。 搭乗艦の撃沈で両腕先を失うも、義手を器用に使いこなし「マッチの着火からビールの栓抜きまで余裕だぜ♪」とにっこり。 しかし、それは戦友との間でのみ、見せられる余裕。 両親やフィアンセから奇異に見られることを怖れるあまり、どう振る舞って良いか分からず萎縮してしまう。周りが気を遣えば使うほど「憐れみはごめんだ」と距離を置いてしまう負のスパイラル。普通がわからず戸惑う双方がつらい。 アルは元歩兵軍曹。 帰還を妻や娘・息子に歓迎されるが、成長した長男からヒロシマに対するリベラルな見解をブツけられ、面食らう。 復職した銀行では副頭取に執り立てられるが、同じ境遇である復員兵への融資を"拒む"立場に着いたことに悩み、後ろめたさを抱くようになる。 フレッドは元空軍大尉。 従軍中は切れ者として名を挙げたが、爆弾落としのスキルを活かせる仕事などあるはずもなく職にあぶれ、かつてのバイト先で、かつての後輩の配下で働くハメに。プライドを殺し傷だらけで働くも、見栄っ張りで夜遊び好きな妻からロコツに見下され、虚無感を深める。 また、戦中の体験から悪夢に苛まれるも、その苦しみを打ち明けられず苦しむ。 遠征先の"非日常"に慣れ、心安らぐはずの故郷"日常"とのズレに戸惑い、悩み、蝕まれてゆく3人が、互いに励まし合い、周囲の人たちと馴染もうと足掻き、本作のタイトルが表す心情にまで到達するドラマは深い感動を呼ぶ。間違いなく。 しかし、見終えた後にホッとした溜め息が出ず、言葉に詰まるのは、幸福な物語の外側に流れる悲惨な物語たちを想像させられるから。 本土を丸焼けにされた当時の日本の方々にとっては、復員兵と故郷の家族との心的距離は、さらに埋めがたいほど離れていた。 それに、『ジョニーは戦場へ行った』のような境遇の人もいたはずで、もう私はほんとにああいうの、考え出すとダメです。 うぅ。 技術的な話に無理矢理引き離すと、印象的なシーンがたくさんあり深く没入できた。 寄ってもウエストショットまでの、一歩引いた画。 それでも、ホーマーの実家のシーンはどれも息をつめて見てしまう緊迫感だし、 ある問題を巡りフレッドとアルが一歩も引かず火花を散らす場面を、シンメトリーな画で見せきる技はシンプルながら効果的。 ホーマーが叔父ブッチとピアノを連弾するところは涙が出た。習得までに掛かった時間、居場所を作ってくれた叔父への感謝、大好きな人たちの前で打ち明けられない本心が、楽し気な音になって流れ出る。 そうそう、BGMによる心情表現も見事。悲しみから歓びから怒りから切なさへ、一連の音楽が導いてくれるので驚いた。ほんとスゴい。 半面、アルとフレッドが各自の問題にブチあたるまでが、冗長に感じた。 登場した時から問題を提示している傷痍軍人ホーマーと比較して、ですけど。 あと、彼らを取り巻く女性たちが演技過剰に感じられ、それが魅力的に映える時もあれば、オーバーに思えて冷める時もあった。こういう映画見慣れてないので、当時のスタンダードな演技がわかんなくって。 なので、私の所感としてマイナス☆1。 約3時間、ちょっと1日では見切れなかったので何日かに分けたけど、 それでも私なんかでは手に負えない、どう言っていいか分からない映画。 観て良かったことは確か。他に得難い映画体験。 そのうえで、何回も見直すのはキツいから、どこかで本作を鑑賞された方々に出会ったら、言葉を交わして理解を深めていきたい。 そのためにも、忘れない一本。 とりあえず「観ました」記録と、言葉をため込んでおくと寝られないので(^^;)、乱文投稿まで。失礼致しました。
「生涯で最良」とはそういうことか!
BSプレミアムの録画を1年ちょっと寝かせていましたが、ようやく鑑賞。
「生涯の最良」とは何?と思いながら見始めましたが、戦争から帰ってきた3人のことが明らかになるにつれ、それはどうでもよくなりました。たまたま帰郷するために乗った輸送機で出会った同郷の3人-年齢も境遇も異なる-が打ち解け合って友達になるところが、単純にいいものだなぁと思いました。その後もいろんな場面で会えば呼び合う仲でしたが、今の自分にはそういうことがないので、うらやましいような思いでした。
その対極にいるのが、フレッドの妻。華やかだが心が通っていない、見栄にまみれた上辺だけの世界にしか生きていない人物でした。フレッドの給料では「幸せになれない」と言うセリフが決定的でした。多分この考え方では一生幸せにはなれないでしょう。全く何も分かっていない、戦争も国のことも人の想いも何一つ。
そう思うと、「生涯で最良」とは、生涯を通して良い関係の続く人と出会えたことなのだということに思い至りました。
最近見た過去の名作映画
1947年のアカデミー賞作品賞受賞作品。同じ年に「素晴らしき哉、人生!」も候補に上がったが受賞できなかった。個人的には「素晴らしき哉、人生!」の方が良いと思うのだが・・・
いずれにしても気持ちの良いラストであった。割とよくある話なので、2人が最終的に結ばれるのは大体の人が予想できたと思う。ただ、一旦2人が別れて疎遠になったはずなのに、親友の結婚式で再会して、二人がただ見つめ合っただけでハッピーエンドとなるのは、かなり長い映画の割に、ちょっとあっさりしすぎで、やや安直な演出ではないか。もうちょっとひと捻りかふた捻りくらいあって、ハッピーエンドをもっと盛り上げて欲しかった。
あと、このタイトルに違和感あり。彼等にとって最良の年かもしれないが、そうなると翌年以降はそれ以上にはならないということになってしまうので。
「彼らは英国とソ連をぶちのめしたかっただけだ。 アメリカが邪魔しなきゃ、きっと勝ててただろう」
このセリフには驚きました。 あの戦争の真実を当時のアメリカ人は理解していたのです。 アメリカの参戦がなければ日独伊の枢軸国は間違いなく勝っていました。 アメリカ世論は戦争絶対反対。 ルーズベルトは戦争をしないことを公約に掲げ当選していました。 従って、アメリカが攻撃されない限り参戦は不可能だったのです。 ご存じの通り、山本五十六の真珠湾攻撃によってアメリカの参戦が可能になりました。 誰もが反対した真珠湾攻撃を強行した山本五十六。 国賊以外の何物でもない。 帝国陸海軍はアメリカとの戦争は避けるというのが基本方針でした。 当然です。 アメリカと戦って勝てるわけがない。 子供でも分かることが分からない男に連合艦隊司令長官を任せたのです。 帝国陸海軍の戦略は南進して石油を確保した後、インド洋を制圧。 これでイギリス、ソ連、中国の補給を絶つことが出来ます。 そして中東でドイツ軍と合流し、中東の石油を日独で山分けする。 この戦略が実現してれば、インパール作戦を待つことなくインドは独立していたでしょう。 大東亜戦争は無謀でも何でもなく、十分な勝算があった日本。 真珠湾攻撃さえなければ、歴史は変わっていました。
日本からしたら敵だった彼らにも、彼らの闘いがあった
恋愛模様もいいのだが、個人的には退役軍人のその後について もっと焦点を当てても良かったのではと感じた。 戦勝国アメリカでも、死んだ軍人は犬死だったというような 意見があったことは知らなかった。 軍から表彰を受けた元敏腕飛行士が、軍用機を廃棄する仕事に就く。 前に進むために、過去を自ら葬り去る。
勝ってもそれなりに辛かった戦後
WWIIで従軍し、同郷へ帰還する道中で仲良くなった米兵3人。
両義手の若き水兵Homerは、中流家庭と思しき邸宅へ、
元銀行マンの中年軍曹Alは、コンシェルジュやエレベーターボーイが居る超高級アパートメントへ、
そして戦地で英雄となった大尉Fredは、線路と高架橋に近いボロ家へ、
それぞれ帰宅する。
“Mrs. Miniver”では、開戦によって従来の社会的階級を超えた新たな価値観の到来を予感させましたが…、軍隊の階級は、戦前から引き継がれた社会格差を逆転させることはできないのだと、冒頭から冷ややかな現実を目の当たりにします。ひょっとすると焦土と化した惨敗国の方が、一発逆転のチャンスが転がっていたのかも知れません。
彼らが元の家庭に、そして戦後の社会にどう溶け込んでいくかを丁寧に描いており、その内容は教科書のように立派で分かりやすいです。まぁ少々綺麗事が過ぎるという気がしないでもありません。
しかし、撮影を開始した1946年に、これだけ冷静に大戦を分析し、映画として発表していることに驚きます。WWIIを美化せず、また勝利した国家や兵士を英雄視することなく、戦後のアメリカを国民目線で公平に描写していると思いました。戦争の意義、原爆の後遺症や日本兵の所持品、硫黄島の話題が軽く出て来ます。76年経ってもまだ民間人の苦しみが続くことを知っていたら、原爆投下を再考したでしょうか。
Alの娘Peggyは、まさにアメリカの良心の象徴として描かれています。帰還した父親に、国内戦線はしっかり守れたから心配しなくていいのよと、模範的国民のような発言をしたり、悪夢にうなされるFredを優しく介抱したり。その上、勤務先は病院(車には赤十字らしきマーク)という彼女。ドラッグストアで働くFredを憐れむように見つめるのは、命懸けで戦ってくれた復員兵に理想の職場を提供できない母国の不甲斐なさを嘆いているのであり、愛がなく苦しめるだけの家庭環境から、誰かが(Fredを)救わなきゃ!と意気込むのは、友の不幸を見て見ぬ振りしてはいけない、助けないとダメだ!という、アメリカらしい(建前の?)正義感なのです。略奪女ではなく、むしろ自由の女神です。
圧巻なのは、遥か彼方まで地上を埋め尽くした、解体待ちの無数の戦闘機。戦後は手の平を返すように用済みで邪魔となり、廃棄・再利用される機体の山。職も妻も失い、故郷に居場所を見出せなかったFredと重なります。
戦争は体験した者しか理解できない。
命を預けることになれば、自ずと人を見る目が直感的に養われる。融資を決めるAlやFredの新たな雇用主が、復員兵の気概や度胸を素早く見抜く辺りには、単なる仲間意識や共感以上のものを感じました。それは、Mr. Miltonが声高に述べた国家の理想に近付くために、最も大切なもののように思えました。
個人的なベストシーンは、機内で先に起きたHomer君が、雲上の朝陽に静かに感動する所ですね。直後不安に駆られるように表情が曇りますが、生きて帰れて良かったのだと、辛くなったら思い出して欲しい。。
なぜ ”the best years of our lives” なのか…、勝利の余韻と共に、愛と希望に溢れていた時代…ということでしょうか。
それにしてもあれだけの飛行機が余っていたなんて…、日本との国力の差を痛感します。
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◯ the Three on a Match superstition
ひとつのマッチで煙草に火を付けると、1人目で敵が気付き、2人目で狙いを定められ、3人目が撃たれるということから、不吉な行いとされたよう。
WWI 起源説が有名みたいですが、色々な説があるようです。
“I think they ought to put you in mass production.”
“….. in the army I've had to be with men when they were stripped of everything in the way of property except what they carried around with them and inside them. I saw them being tested. Now some of them stood up to it and some didn't. But you got so you could tell which ones you could count on. I tell you this man Novak is okay. His 'collateral' is in his hands, is in his heart and in his guts. It's in his right as a citizen.”
“Our country must stand today where it has always stood, the citadel of individual initiative, the land of unlimited opportunity for all.”
誰かに愛され受け入れられる幸せ
疑問に感じながらも遂行した戦地での任務の辛い記憶に苦しみ、周囲の人々の反応に更に苦悩する退役軍人の姿を丁寧に描いた作品。
両手を失った朗らかな青年ホーマー(ハロルド・ラッセル)が、フィアンセとの幸せな未来を望みながらも悩み苦しむ姿が切ない。
互いを思い率直に語り合う愛情深い家族の中心となり夫を支える美しく聡明な妻ミリー(マーナ・ロイ)、切ない恋に悩む純粋な心を持つ娘ペギー(テレサ・ライト)、二人の魅力が華を添える。
モノクロ映像が美しく、優しい気持ちになれる秀作。
ー日本人は家族の絆を大事にするんだね
ー原爆で生き残った人達に放射能の影響が出てた?
ー今更なかったことには出来ない
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
1946年ごろのアメリカ中流階級
フレッド、ホーマー、アルの三人の話。コメディではない。戦争場面はないので全体的には平和なストーリー。
一番若いホーマーの物語とも言える。
沖縄戦?帰りの三人の退役軍人。全員が沖縄にいたかまでは読み取れなかった。
アルは元銀行員。
ホーマーは、高卒の海兵隊。両手の先がない。鉤爪がついている。リアルに。あとで調べたところ、そういう人をキャスティングしたのだという。だから妙にリアルだったのだろう。
フレッドは、B-17のパイロットだった。しかし、元はドラッグストアの店員。このあと、建設業になる。
この映画が当時の退役軍人にどう受け取られたかまではわからない。私は、たまたま軽い気持ちで見てしまって、ラストどうなるかに引き寄せられてエンディングまで観た。
戦争が終わっても景気は悪いままなので、帰国できてもそんないいことばかりではないということ。新婚だったフレッドは、奥さんと気持ちは離れている。中年の銀行員だったアルは、もとの銀行に戻れたが、複雑な思いを抱えている。
おおまかなストーリーは、対日本戦から戻った海軍、陸軍、空軍の軍人が同じ町に戻って仲間になるという話だ。
生きて帰れた上に、恩給ももらい、誇らしい退役軍人というキャリアであるはずだったが、世間的にはそんなでもなかったということ。
自殺を考えるとか、トラウマになって苦しむ姿はあるにはあるが、そこまで暗い話には持っていっていない。
ここから朝鮮戦争、ベトナム戦争へ突入してゆく前の前の段階。
ちゃんと「反戦」になっている
陸海空、それぞれの復員兵たちの「戦後」を描いた、
人間ドラマ。
(順不同)
・スーツより軍服を着てほしいとゴネる派手好きな妻
・両手を失った婚約者を必死で支えようとする彼女
・戦時の悲劇を引きずった男に惹かれる軍人の娘
・傷痍軍人に対して「無駄な戦争だった」と言い放つ男
・元の職場に戻ると、尊大な上司に変貌していた元部下
・復員兵融資制度といいつつも審査に慎重な銀行
・戦地の記念品(日本刀など)に興味ゼロの息子
なんとか故郷に戻ってきた元兵士たちに、
現実の風は冷たいし、なじめない。
兵士の苦しみは、兵士にしか分からない。
ラストシーンが結婚式で終わるのが救いといえよう。
派手なアクションや、長台詞があるわけではないが、
だからこそ、心に沁みる良作に仕上がっている。
こんな良い映画を知らなかったなんて。。。
戦争は勝った方にも人生に大きな問題を残していく。三者三様の帰還兵を...
戦争は勝った方にも人生に大きな問題を残していく。三者三様の帰還兵を通じて何気ない日常の大切さと幸せが伝わってくる。 新春を迎える朝に相応しい素敵な映画だった。
良い映画に巡り会えました
長い単身赴任を終えて家庭に戻った日の頃を思いだし身につまされました 胸が震えました フレッドのお父さんが読む勲章の感状 書いたのは空軍中尉ドーリットルと字幕にありますが 正しくは空軍中将です 日本空襲を指揮し降伏に導いた米国からみたら超有名な英雄の将軍です
愛は障害を乗り越える?
ウィリアム・ワイラー監督の大傑作であると聞いていたので観てみた。今期大戦の3人の帰還兵が懐かしい故郷に戻って三者三様の道を歩む、というのが枠組みのようだ。空軍大尉でパリッとした軍服に身をつつむフレッド、中年の妻帯者で元銀行員のアル、両腕を失った傷痍軍人のホーマー。各人不安げに家族と再会するが、アル以外は無事帰還の喜びに本心から浸れないようだ。無節操で教養のないフレッドの妻は間男と出奔、両腕にフックを取りつけたホーマーはその家族と恋人に悲しみを与え、自らは引きこもりになる。アルは前の銀行に復職。フレッドは就活に追われる。やがてフレッドにアルの娘ペギーが恋心を寄せる。かような舞台設定で何を言わんとしているか、思うに、やはり真っ当な恋愛には多くの場合、障害物がはばかることだ。これは普遍的な現実だと思う。それを乗り越えて結ばれるまでの過程が俎上に乗ったときが物語として面白くなる。だから時代をさかのぼっても下っても重いテーマとして繰り返し扱われるのだ。その障害物として、たとえば身分の違い、貧富の差、病気など、挙げればきりがない。いつだったか「余命何ヶ月の花嫁」などという映画があった。アンドレ・モーロワは「美しいものはすべて自然でない」といった。だからこそ人々はこぞって鑑賞し涙するのである。この映画も定石通り、ホーマーは無事、結婚でき、 フレッドとペギーは永遠の愛の契りを交わすのである。
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