私は告白する

劇場公開日:

解説

「見知らぬ乗客」のアルフレッド・ヒッチコックが1953年に監督た作品で、ポール・アンセルムの戯曲の映画化。脚本はジョージ・タボリとウィリアム・アーチボルドの共同執筆。撮影は「見知らぬ乗客」のロバート・バークス、音楽の作曲指揮は「吹き荒ぶ風」のディミトリ・ティオムキンのの担当。主演は「終着駅」のモンゴメリー・クリフトと「人生模様」のアン・バクスターで、カール・マルデン(「欲望という名の電車」)、ブライアン・エイハーン(「大地は怒る」)、O・E・ハッセ、ロジャー・ダンらが助演する。

1953年製作/95分/アメリカ
原題または英題:I Confess
配給:ワーナー・ブラザース映画日本支社
劇場公開日:1954年4月15日

ストーリー

カナダの都市ケベックの教会。ここの神父館で働くオットー・ケラー(O・E・ハッセ)は、ある夜、神父マイケル・ローガン(モンゴメリー・クリフト)に重大な告白をした。ケラーは生活苦の末、強盗を働いて弁護士ヴィレットを殺害したのだ。この事件はラルー警視(カール・マルデン)が捜査に乗り出した。ケラーは犯行のとき僧衣をまとっていたので、マイケルに疑いがかかって来た。だが聖職にある彼は、告白の内容を洩らそうとはしなかった。そのうえ、兇行の夜、マイケルが国会議員グランドフォードの妻ルース(アン・バクスター)と逢っていたこともわかって、彼への心証は益々悪くなった。ルースは無実を明かすために良人、検事、警視、マイケルらの前で、マイケルとの過ぎし日の恋を打ちあけた。2人の仲は大戦勃発で割かれ、出征したマイケルは、牧師志望の弟が戦死したので、その志をついで神父になる決心をした。そのためルースは恋をあきらめ、グランドフォードと結婚したのだが、想いはマイケルにあった。マイケルの帰還後、ルースと彼は郊外の小島へ遊びに出かけ、お互に2人の過去を清く水に流そうとしたが、折悪しく突然の嵐のため、空家で一夜を明かさねばならなくなった。翌朝、2人の前にあらわれたのは、その家の持主ヴィレット弁護士で、彼はこの逢曳き現場をネタに、以来2人を脅喝しつづけた。マイケルとルースは堪りかねて、丁度ヴィレットが殺害された晩に、その対策を相談していたのである。ーだがルースの真実の陳述も却ってマイケルを不利にした。死体を調べた結果、ヴィレット殺害の時刻は、マイケルがルースとわかれて30分後だった。マイケルは起訴され公判に附されたが、確証がないため無罪の判決を受けた。だが大衆は承知せず、マイケルにあらゆる罵声をあびせかけた。事件の真実を知るケラーの妻は、この様に堪りかねて、真相を曝露しようとしたが、ケラーに殺された。ラルー警視はケラーがこの事件に関係していることを悟り、マイケルらとともにケラーの逃げ込んだホテルへ向った。マイケルはケラーを説得しようとしたが、逆上したケラーは自らの罪をラルーの前でぶちまけ、マイケルに拳銃を射ちかけて来た。だが、ラルーの命令で、ケラーは包囲する警官の銃弾に倒れた。

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映画レビュー

4.0賛否あるでしょう

2024年4月16日
PCから投稿

倒叙的内容でサスペンスを際立たせるヒッチ一流の緊迫感は感じられますが、宗教的な要素が絡んでいるのでシリアスでユーモアが感じられません。

また、カトリックの戒律の厳しさがカトリック以外の人間には到底理解できない、即ち非現実的でバカバカしいと受け取られる点も当時からかなり指摘されてきたようです。

ただ、ヒッチの場合はテーマを設定してからストーリーを作るのではなく、ストーリーを重ねれば自然にテーマが生まれてくる、という手法をとるらしいので、カトリックの宗教性は単なるプロットとして利用したまでで、テーマ性を持たせるつもりはなかったそうです。

ヒッチ自身も、撮影地であるカナダの雰囲気とドイツ系移民を重要人物に配したチグハグさと脚本の弱さに起因してひどく重苦しい作品になってしまった、と認めています。

クリフト選手は撮影中常に酩酊状態で、且つ信奉する演技コーチを横に置いて中断を繰り返すなど、相当なトラブルメーカーだったそうです。

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越後屋

3.5そうか、神父は懺悔の告白を漏らしてはならないのか。目のつけどころが...

2024年2月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

そうか、神父は懺悔の告白を漏らしてはならないのか。目のつけどころがいいですね。
犯人、めっちゃ悪いやつやん、あんなん庇うことないのに(笑)
にしてもヒッチコックは面白い。

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はむひろみ

4.0男と女と男と女

2023年10月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

何故かあまりヒッチコックという感じがしませんでしたが、とても面白かったです。「第三の男」(49)を彷彿とさせるような光と影の映像も美しかったのですが、見所はやはり表には見えない人間の心理描写でしょうか。最初から犯人がわかってるパターンですが、周囲の人々や陪審員や裁判官、そして世間は、この神父(モンゴメリー・クリフト)の行為をどう見るのか、固唾を飲んで魅入ってしまいました。退役軍人が神に仕える身となっているという設定が物語に深みをもたらし、単純そうに見えた事件が思わぬ方向に広がっていくところも面白かったです。理詰めで追い込んでいくラルー警視(カール・マルデン)もなかなか魅力的でしたが、今作でもヒッチコック監督のブロンド美女を美しく撮る審美眼は大いに発揮されていましたね!二組の男女が織りなす哀しいドラマでもありました。

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赤ヒゲ

2.5さて、ドイツからの亡命者と告発するが、ナチスドイツなのか?ユダヤ系...

2023年6月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ