浮き雲のレビュー・感想・評価
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あるご夫婦。不況のあおりで、それぞれ同時期に失業し、職探しに難航す...
あるご夫婦。不況のあおりで、それぞれ同時期に失業し、職探しに難航する様子。
家具やら財産やら次々失い、苦しいはずなのに
いたって飄々とした様子を演じられて。
カウリスマキ監督の作品で描かれる労働者は、そういう飄々とした見せ方が多いですが。
苦しく、次々に失うものも多いのですが
ラストは、救いの手や明るい兆しも見えてくる
悪い事ばかりでもないよと、後味の良い物語でした。
後味が良い
ヘルシンキの市電運転士ラウリと、レストランの給仕長のイロナの夫婦。不況のため同時期に失職してしまい、二人は再就職に奔走する。ラウリはバスの運転手とし て雇われるところ、健康診断に引っ掛かり免許も失う。イロナは厨房の職を得て、はりきるも給料が。
不況にあえぐ人々を、アキ・カウリスマキ監督がいつものとぼけた感じで描いています。レストランの最後の盃に、ジュースが一つあるのが大笑い。今回は幅広いジャンルの音楽が使われています。そしてラストの後味が良い。
やはり万事塞翁が馬❣️
夫はリストラ、
妻の勤めていたレストランはオーナー変わって
失業。
妻役をマッチ工場の少女がちょっと成長されて演じてられます。前作と違い本作の役柄だと普通の女性、給仕長だったのでプライドがあります。
喜怒哀楽を出さない静かな中で大変な状況に陥って行く悲哀が描かれています。
フィンランドのお国事情がわかりませんが、
なかなか厳しいようです。
給仕長の仕事が無く、皿洗いでも働くと決心したのですが、この職業紹介所、有料だったのです.。ビックリ👀⁉️その代金支払いの為に当分働く感じ😱
さらに悪いことにそのオーナー、賃金を踏み倒そうとしてる輩みたいで、夫が催促しに行ったら、ボコボコにされました。
妻が就職できないかと行った美容院で、前に勤めていたお店の支配人に偶然会いお茶するうちに、資金援助するから店を出しなさいと妻に言われます。
(それなら、なぜオーナー変わる時にこうしてあげたら余計な苦労しなくて済んだのに、とツッコミたくなりますが。)
妻やる気満々、お店の内装など支配人が驚くぐらい美しく整え前の同僚も呼び集めて開店を待ちます。
最初客足が振るわなく心配していましたが、徐々に増えて団体の予約まで❣️
監督が皮肉たっぷり込められたらしいですが、
再度観る時に注目します。
2度目はさらに感動
「枯れ葉」を見てから見ると
惚れ惚れするfilmでした…
1度目はカウリスマキにハマって
代表作を見あさっていた2018年頃
「浮き雲」が一番好きだった
なんか淡々と不幸をいなす感じが救われる
色合いといい、間といい、物語の運びも
カティ・オウティネンも犬もみんないい
観るまでずっとドキドキしていた。 初めてのアキ・カウリスマキ。 自...
観るまでずっとドキドキしていた。
初めてのアキ・カウリスマキ。
自分が好きかどうか、良さがわかる人間なのか。
観客の年齢層が高く、
ちらほらいる若者はみな
癖強めのビームスの店員さんみたいで
いつもと違う感じなのも余計に不安を煽られた。
ちなみにビームスは好きです。
結果から言うと、またひとつ世界が広がった。
本人が面白さを狙わずに発した言葉が面白い
という状況が大好きなわたしにはピッタリだった。
漫画、"女の園の星"に近いものを感じます。
始まっていちばん最初に思ったことは
色の使い方がとても好きだということ。
真紅とブルーって喧嘩しないんですね。
イロナのコートと、鮮やかな家の壁紙で
学びました。
ぜひともテーブルクロスと壁紙を
真似っこしたい。
先行上映の枯れ葉でカウリスマキデビューを
飾るつもりだったけれど、
浮き雲を先に観ることができて本当によかった。
今週末は枯れ葉を観に行こう。
期間中に他の作品も観られる限り観たい。
滑り続ける人生
時代設定は制作当時なのだろうか、不況に喘ぐヘルシンキが舞台になっている。
かつての名門レストランで給仕長を務めるイロナと市電の運転手ラウリの夫婦は、決して豊かではないが慎ましく暮らしていた。
ただラウリは見えっ張りな男なのだろう、ローンで効果な家具や家電を買い揃えて、イロナに一抹の不安を感じさせている。
ある日、ラウリは突如会社からリストラを言い渡される。
しかもカードによるくじ引きでクビが決まるという何ともお粗末な方法で。
そしてイロナもまた突如職を失ってしまう。
彼女が勤めるレストランが、大手チェーン店に買収されたからだ。
レストランで働いていた従業員は、誰一人として新しいチェーン店には必要とされなかった。
とにかく不況のせいもあるのだろうが、全編通して労働者に対する社会の冷たさを感じさせる作品だ。
尤もこれはどこにいても同じ話なのかもしれない。
一度歯車が狂うと、人間はズブズブと沼にはまりこんでしまう。
そしてこれは誰にでも起こり得る話でもあるのだ。
再起を目指す二人だが、ラウリはプライドだけはやたらと高いので失業保険も受け取ろうとはしない。
イロナも給仕長まで上り詰めたプライドがあるのだろうが、いつだって人生で障害になるのは不必要な意地とプライドだ。
ラウリはようやく観光バスの運転手の職を得るが、健康診査に引っ掛かってしまい、新しい職だけでなく運転免許も失ってしまう。
イロナも非正規の職安に安くない金を支払ってみすぼらしいレストランの仕事を紹介されるが、オーナーがどうしようもないクズ男で給料も支払われない。
給料を支払うようオーナーのもとに乗り込んだラウリは逆に返り討ちに合ってしまう。
そして彼がアパートに戻ると、家具や家電が運び出されるところだった。
イロナはかつてレストランでクローク係を務めていた男に、新しく店を始めようと提案されるが、銀行はまったく融資をしてくれない。
ラウリは車を売った金をギャンブルに注ぎ込み資金を集めようとするが、失敗して文無しになってしまう。
どこまで行っても底の見えない滑り続きの人生。
底までたどり着いたら後は上がるだけなのだが、どこが底だか分からないのが人生の難しさだ。
とにかくこの物語の中でイロナとラウリは堕ち続ける。
しかし敗者のまま終わる物語など誰も観たくはないだろう。
どれだけ絶望を味わっても、諦めなければきっと希望の光は差してくる。
イロナは経験もないのに美容師の仕事にまで申し込みをしようとする。
そこでかつてのレストランのオーナー、スヨホルムと偶然出くわす。
スヨホルムは彼女に資金を提供して、新しい店を始めるように促す。
ラウリと共にかつての仲間を集め、ついに彼女は新しい店をオープンさせる。
しかし初日は誰も客が来ない。
二日目、一人の客が店先のメニューに目を止める。
そして次から次へと客が雪崩れ込んでくる。
ようやく手に入れた成功だが、これもまた浮き雲のようにふとしたはずみで消えてしまうものかもしれない。
それでもラストのイロナとラウリが店の外から空を見上げるショットに心が温かくなった。
ラストは思わず応援してしまった
アキ・カウリスマキ、名前は知ってたけど、敷居が高そうで中々、見る機会がなく。初めて見ました。
正直、最初は退屈しそうでしたが、突出したエピソードもなく、淡々と進む、セリフを抑えた独特の雰囲気、キライじゃないです。
共稼ぎの中年夫婦が、ほぼ同時期に失業して、運の悪いことが重なる話。どん底のはずなのに、主人公イロナは無表情で突き進んでいき、面倒くさい夫をしっかりサポート。車売ったお金をギャンブルですったのに腹も立てず、夫の手を引いていくとこが印象的。ワンコは映画館にも同伴とは。切羽詰まっているのに、夫はクロスワードして妻に答えを求めるし。さりげなく、優しさを匂わしています。
ラストは、レストランがお客でいっぱいになり、感激!
今は貧乏な日本。他人事じゃないです。自分も楽な生活じゃなし。ちょっと元気出てきたかも。
見てよかった!
白物がB●SCHでテレビがS●NY♥
ここでも悲愴が使われている。
最初に飛び込みてBARIを探すがそのBARIの番地が6番つまり、悲愴って事?
居抜き物件だと思うが、日本の映画の『か●め食堂』ってあった。リスペクト?
オフ・ビートで表情も豊かでなく、演技の良し悪しなんかどうでも良く、それでいて、人生の色々な事件が見えてくる。
良かったのは、映画後のクレジットに二曲目がなかった事。こんなあっさり終わるとは。
二人の愛がなんとなく感じる。負け組じゃないけどね。
追記 因みに一方的な解雇はフィンランドの様な民主的な国ではあり得ないし、片耳聞こえない位では運転手の免許を剥奪される事は無い。何故なら、運転手をやっていた今は亡き我が父親は片耳が全く聞こえ無かった。もっとも、途中で電車の検査係に転属したが。
約25年後に観た人生初のカウリスマキ。
彼の作品を初めて観たのが、この作品。TSUTAYAで借りてきたビデオだったように思う。当時はこの独特の世界観に戸惑ったのを覚えている。ポーカーフェイス、定点カメラ、そして書割かのような奥行きのなさ。ただ、年月と経験のおかげで落ち着いて観返すことができた。島倉千代子式「人生いろいろ」に、ほのかな希望を感じる。
とにかく仏頂面しか出てこないけどカラフル
無愛想で不幸そうな顔した中年男女がさらに不幸になっていく様子がずっと続くわけだけど、どうしてかこれが見れてしまう画の力があるのが不思議だ。
画の色彩がとにかく美しく心地よいからなのか、画角の気持ちよさなのか。
話の構造としては「北の国から」なのだけど、登場人物たちがとにかく無口でモノクロームもないけど心情がわかるのはとにかく映画の力を感じました。
マジ最高。
レストラン再建物語
アキ・カウリスマキの独特な色みたいなモノが作品内の外観というよりも室内やレストランの内装など寂れているようで鮮やかに感じる色彩感覚に惹かれてしまう。
リアクションは薄めで無感情に思える登場人物、淡々と描かれる物語に悉く打ち砕かれる社会の厳しさ、今を生きている人々、誰にでも起こり得る問題を悲観的には映らない何処か和やかに感じる不思議な世界観にハマってしまう。
悪いことの連続にバッドエンドを想像しながらも単純に解決されてしまうハッピーエンドが、そこまでの過程が辛く厳しいモノである事は理解しながらホッと一安心。
【不況で職を失った夫婦が、厳しい現実の中”ど根性”で自分達のレストランテをオープンする物語。我が愛する「かもめ食堂」は絶対に今作品に影響を与えれらていると思った作品でもある。】
■不況のフィンランドのヘルシンキが舞台。
市電の運転手のラウリとレストランで給仕長をする妻・イロナ(カティ・オースティン:常連さんですね。)はある日、リストラに遭い、同時期に失業する。
ラウリはロシアへ行くバス運転手へ転職しようとするが健康診断で異常が見つかり、職も免許も失ってしまう。その後も2人にさらなる不運や災難が訪れ…。
◆感想
・アキ・カウリスマキ監督の、当時の手法である、各シーンを短カットで繋ぎながら破綻なく物語を見せる手法が素晴しい。
ー そこで、描かれているイロナとバス運転手の夫の突然の馘首に、戸惑いつつ必死に生きようとする姿の描き方が、”無表情”な二人の姿から確かに伝わって来るのである。-
・イロナとバス運転手の夫が、困惑しながらも、職を必死に求める姿を抑制したトーンで描く巧さ。
・どん底の中、イロナが幼き男の子の写真が収められた写真立ての傍で、涙するシーン。
ー 何も語られないが、鑑賞側にはイロナ夫婦の哀しみが伝わるシーンである。-
・そして、且つてイロナが働いていたレトランテの問題児コック、ラユネン(マルク・ベルトラ:かもめ食堂を愛する人には直ぐに分かる”コピ・ルアック”オジサンである。)が、漸く皿洗いの食を得た安食堂にやって来るシーン。
”少し、ノンビリしようと思っていたら、職が無い・・。”
<今作は、アキ・カウリスマキ監督の中期の秀作である。
不況だったフィンランドで、職を失っていった人々がど根性で、新たな食堂”レストラン・クック”を彼等を雇っていた元レストランテのオーナーの出資の元、オープンし、最初は全然お客さんが来なかったのに、ラストでは、満員になっているシーンは心に沁みるし、これは”「かもめ食堂」のラストシーンと同じだよなあ、と思った多幸感溢れる作品である。>
成瀬巳喜男のほうは『浮雲』
けっきょくはまってしまったアキ・カウリスマキ
色合いと音楽が最高にいい
おなじみの俳優陣がいい
無駄な台詞がないのがいい
どん底の過ごし方がいい
なんかすべてが粋だ~
タチアナは★★★
内容がなさすぎ・・・(^^;)
カウリスマキ文法
名監督って、独自の映画文法を持っているような気がしますけど、このカウリスマキ監督も、明瞭にそれを持っている監督のひとりですね。ひと目でカウリスマキ監督だと分かる個性が画面から伝わってきます。
特に印象的なのは、照明の使い方ですね。夜の室内シーンでは、影がくっきり壁に映るほどに強い照明を当てているような気がします。そしてそれが人物を不思議な感触で浮き上がらせて、彼らが運命のただ中に存在し続けていることを分からせてくれているような気がします。
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