「【”薬草、そして”悪魔のしもべ達”が行った事。”今作は、ロマン・ポランスキー監督が幸せだった筈の新婦を襲った出来事を描くサタニズムスリラーである。】」ローズマリーの赤ちゃん NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”薬草、そして”悪魔のしもべ達”が行った事。”今作は、ロマン・ポランスキー監督が幸せだった筈の新婦を襲った出来事を描くサタニズムスリラーである。】
■不吉な噂が絶えない古いアパートに越してきた若夫婦・ガイ・ウッドハウス(ジョン・カサヴェテス)とローズマリー夫婦。
ある時、隣家カスタベット夫妻が引き取っていたローズマリー(ミア・ファロー)と地下の洗濯室で親しくなった娘テリーが7階から飛び降り亡くなり、ローズマリーは彼女の形見のタニー草が入ったペンダントを受け取る。
その後、ガイとローズマリーは日付を決めて子供を作ろうとするが、ローズマリーは徐々に痩せて行き失神してしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・スプラッターホラーが横溢する現代に今作を観ると、視覚的には余り怖さを感じない人も多いかと思う作品である。
・だが、私は今作はホラーではなく、サタニズムスリラーと言う観点及び妊婦が抱く茫漠とした不安の描き方が秀逸だと思う。
・それは、冒頭から始まる”悪魔の胡椒”と言われるタニー草が入ったペンダントを、義理の両親、カスタベット夫妻から贈られたテリーが謎の墜死をするシーンから始まり(因みに、このシーンでカスタベット夫妻は、涙一つ流さない)、じわじわじわじわと”薄い壁を通して聞こえてくる”カスタベット夫妻の会話であり、執拗なほどローズマリー家を訪れるミニー・カスタベットの姿が、実に嫌である。
・そして、ローズマリーが頻繁に観る悪夢。そして、彼女を気遣う初老の童話作家ハッチは急死する。そして、彼が生前ローズマリーに贈っていた”悪魔のしもべ達”と言う本に映っていた人たちの写真。
・序に言えば、ローズマリーの夫の俳優であるガイは、当初役を得ていたドナルド・バウムガルドの突然の失明で、役を得ている。そして、二人は直前にネクタイを交換していた。
<後半序盤まで、観る側は”全てローズマリーの妄想ではないか”、と思いながら見ているのだが、彼女が引っ越したばかりの時に大きな箪笥が置かれていた後ろに有った納屋を開けると、そこには”悪魔のしもべ達”が集い、死産したと聞かされていた彼女の子が、エドリアンと名付けられていたのである。
今作は、現代観ると物足りないともう人も居るかもしれないが、今作の音楽やカメラアングルやローズマリーの悪夢の映し方は、ナカナカではないかと、私は思うのである。>
■「ワンス・アポン・ア・タイム」で、タランティーノ監督が怒りを持って描いた出来事には、敢えて言及しない。