ロアン・リンユィ 阮玲玉

劇場公開日:1993年8月28日

解説

中国映画史上第一の黄金時代とされる一九三〇年代の上海映画界のトップ・スターとして活躍した実在の女優、阮玲玉の生涯を描く伝記ドラマ。劇中実際に彼女と親交のあった当時の映画人たちのインタビューや、この映画自体の創作過程でのスタッフ、キャストのディスカッションが阮玲玉最後の六年間のドラマと共に重層的に描かれていくユニークな構成になっている。監督は「フルムーンインニューヨーク」の關錦鵬。製作は「ポリス・ストーリー 香港国際警察」の陳自強と「天山回廊 ザ・シルクロード」の監督徐小明。エグゼクティヴ・プロデューサーは何冠昌と「新ポリス・ストーリー」の成龍。焦雄屏の原案をもとに、脚本を「望郷(1982)」の邱戴安平が執筆。撮影は「北京オペラブルース」(V)の潘恒生。音楽は小蟲が担当。主演は「ポリス・ストーリー3」の張曼玉。他に「愛人 ラマン」の梁家輝、「風の輝く朝に」の葉童らが共演。

1991年製作/154分/香港
原題または英題:Actress 阮玲玉
配給:東宝東和
劇場公開日:1993年8月28日

あらすじ

一九二九年上海聨華撮影所。監督の孫瑜(スウ・トンコン)は「故都春夢」で阮玲玉を主役に抜擢。そして「野草閑花」(30)でも起用し、彼女は母娘の二役を演じ、期待に応えた。その頃、阮玲玉は資産家の息子張達民(ローレンス・ウン)と親密な関係にあったが、彼の両親の反対で結婚まで至らなかった。……一九三一年“九・一八事件”が起こった。翌年、日本軍は中国軍と交戦し、空襲に遭った人々は上海を離れた。上海で待つ母親と養女の身を案じる阮玲玉を慰めたのが茶で富を築いた唐李珊(シン・ハン)だった。当時の政府は反日的な映画の製作を禁止したが、心ある映画人は製作態度を曲げなかった。そうしたひとりの監督蔡楚生(レオン・カーフェイ)との出会いが阮玲玉の運命を左右することになる。張達民は毎月百元を彼女が支払うことを条件に、別れることに同意。唐は達民に侮辱の言葉を浴びせ阮玲玉のために新居を用意した。そのころ女優で脚本家でもあった艾アイ霞シヤが自殺した。進取の気性に富む彼女は三流新聞の中傷の的にされて、社会的に抹殺されたのだ。蔡楚生は、彼女をモデルにした新作「新女性」を玲玉主演で製作することを決意する。完成した「新女性」は新聞記者の間に反発を招き、非難が集中した。さらには玲玉を告訴した。阮玲玉が達民のアパートを訪ねると、新聞記者がつめかけていた。彼女は上海から離れようと蔡に相談するが、彼の態度は意外にも冷やかだった。裁判を控えて強がりながらも、夫人と別れないと告白する唐を見て、阮玲玉はある決意をする……。アメリカ人音響専門家の送別の宴に出席した阮玲玉は、出席者の一人一人と挨拶をかわし、まるで思い出を懐かしむようだった……。そして人々に様々な思い出を残し、阮玲玉は自ら命を絶ったのだった。

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映画レビュー

4.5 多角的視点による「伝記」映画

2025年12月28日
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鑑賞方法:DVD/BD、その他

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1920~30年代に上海で活躍した中国の映画女優・阮玲玉(ロアン・リンユィ)の半生を描いた1991年の香港の伝記映画で、1929年に阮玲玉が映画初主演する頃から1935年に25歳の若さで自ら命を断つまでが描かれている。主演のマギー・チャンがベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)を受賞した。なお、デジタルリマスター版DVDや4Kリマスター版公開時には邦題が『ロアン・リンユイ 阮玲玉』と「イ」が大文字になっており、検索で引っかからない可能性があるので注意が必要。

マギーが阮玲玉を演じる一般的な再現パートを中心としながら、現存する阮玲玉の出演映画の映像も使用され、さらに阮玲玉と親交があり撮影当時存命していた女優・黎莉莉(劇中ではカリーナ・ラウが演じている)ら映画人へのインタビューや、映画製作過程でのマギーやレオン・カーフェイ(映画監督・蔡楚生役)、カリーナら出演俳優とスタッフによる登場人物や時代背景についてのディスカッションも挿入されるなど、多方面から光を当てることによって実在の人物を立体的に浮かび上がらせるという特殊な構成となっている。映画の舞台裏まで見せることによって「これはあくまで映画だ」ということを表明しつつ、実際に残る映像や証言さえも絶対的に確かなものではないことも暗に示し、さらに現代を生きる出演俳優たちの素の意見を映し出すことによって、事実や史実というものの不確かさや不安定さ、実在の人物を題材とする作品の虚構性と真実性をあぶり出していくスタンリー・クワン監督の手腕が素晴らしい。そういう意味で「歴史」や「伝記」というものに対する示唆的な映画となっているとも言えるだろう。

阮玲玉がその犠牲者の1人となった芸能人のプライベートを標的にするイエロー・ジャーナリズムによるスキャンダリズムという古くて新しい問題も大きなテーマとなっており、また満州事変とそれに続く第一次上海事変の際に中国国民党政府が反日的な映画の製作を禁止し、日本軍の空襲から避難した阮玲玉ら心ある映画人たちがそれに憤るという描写もあった。

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