恋愛小説家のレビュー・感想・評価
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不器用な大人の恋
男も女も重ねてきた年の重さ分、身に鎧をつけていた。たぶん、今まで通りの生活でもこの先も生きては行けたはず。でも、我が道をちょこっとだけ、誰かと歩いてみたくなり、歩幅を合わせてみても良いと思えるようになってきていた。そんな時に目の前にいた人。形成された重い鎧はなかなか上手に脱げない。紆余曲折しながら、それぞれが勇気とパワーを以て、成就した恋。
ジャック・ニコルソンのラブ・スト―リ―は『恋愛適齢期』についで2作目でしたが、こちらの方が好きです。本当にはまり役だと思いました。噛めば噛むほどに味わいのある俳優さんだと思います。相手役のカレン・ハントさん、半ヌードの後姿の美しさが目に焼き付いています。
そして、忘れてはならないのが隣人のゲイとわんちゃん。あのわんちゃんにも演技賞あげたいくらい!逐一動作が可愛かったですし、体は小さくてもとても存在感ありました。お散歩シーンは名場面といえます(笑)
素敵だけでは終われない、味わいある大人のラブ・ストーリーでした。
いいね
数少ない登場人物の演技力と存在感
総合:70点
ストーリー: 60
キャスト: 80
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 70
物語は平凡なのだが、登場人物の存在感が強い。社会性がないために独りよがりで毒舌でそれゆえに恋愛経験どころか友人もいない変人のニコルソンと、シングル・マザーでその日その日を病気の子供のために精一杯生きるハント。また隣に住むキニアの存在も面白い。
素直にものが言えなくて人付き合い能力のないニコルソンの不器用な恋愛映画なのだが、それとは別にこの三人の演技力がなかなか楽しい。
自分が好きになっちゃった。
見終わった感想を一言で言うと、『自分が好きになっちゃった。』
誰しも、主人公のような不器用さがあって、
本当に言いたいことがいいタイミングで言えなかったり、
不意に人を傷つけてしまったり、
今になって思うと『なんであの時・・・』というようなことがたくさんあるもの。
そんなことをこの主人公は繰り返します。
それがとっても、もどかしくて、かわいくも思えてしまった自分に気づきました。
まるでスクリーンの中に自分を見ているような気分に。
また、
こだわっている部分があったとしても、
それを打ち破ってでも進まねばならないときもあるし、
打ち破ることで世界が開け、
幸せな日々が待っていることもある、
ということも教えられた映画でした。
「出会い」から始まる美しい化学反応
見ると、大人になったことを実感する映画
前に観たのは大学生の頃だった気がする。
評判が素晴らしくよかったので、楽しみに見たのに、あんまり良さがわからず、がっかりしたのを覚えている。
でも、今回、何の気なしに見てみたら、とてもよかった。
セリフが素晴らしい。
素敵なセリフってどきっとするものだけれど、この映画にはそんな素敵なセリフが満ち溢れている。
セリフって陳腐な言葉だとげんなりする。
でも、恋愛小説家では、予測していたやりとりとは違う方へ会話が流れ、聞いているとうなってしまうような素敵なセリフがたくさん出てくる。
主人公が実際は偏屈なのに恋愛小説家だっていう設定がおかしい。
この人は、こんな性格でどうやって恋愛小説なんて書くのだろうかと、映画を見ている人は思ってしまう。
でも、ヘレン・ハントやグレッグ・キニアに向けられる言葉や姿の一つ一つから、偏屈に見せるその奥にロマンチストな面が隠れているのだと納得させられる。
ヘレン・ハントに怒られてしゅんとなる姿がとても愛おしい。
そして、自分と同じように道路の継ぎ目をまたぐ犬を満面の笑みでほめる姿が愛くるしい。
映画が終わる頃には、主人公の完全なる味方になっているのだ。
生き方が不器用な友人を応援するような気分になっている自分に気づく。
そして、最後のセリフに拍手喝さいを送りたくなってしまう。
ヘレン・ハントは素朴できれい。
相手に惹かれつつ、偏屈さにとまどって、一歩踏み出せないとか、気持はとてもよくわかる。
たぶん大学生の頃には、あんなおじさんに惹かれる理由がわからなかったんだと思うんだけど、今は、なんとなくわかってしまうのだ。
いっぱいいっぱいに生きているときに、不器用ながらも一生懸命愛してくれる人が現れたら、惹かれるよね。
それが一回りとか違う人でもありだなぁと自分の恋愛観が変わっていることを感じる。
あーそうか、私が大人になってるんだなぁ・・・と思った。
観終わった後の余韻に浸りながら、自分が過ごしてきた時の流れにも思いをはせてしまうというまれな体験ができた。
秀逸な作品ですね。
観てびっくり!
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