劇場公開日 2024年1月5日

「『パルプ・フィクション』の垢ぬけないプロトタイプ」レザボア・ドッグス 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5『パルプ・フィクション』の垢ぬけないプロトタイプ

2023年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

タランティーノと言えば『パルプ・フィクション』だが、本作はその垢ぬけないプロトタイプだろう。

冒頭、ギャングたちがマドンナの曲の意味や、TVドラマ、チップを出すかどうかについて、延々と議論し続ける。ギャングらしからぬ下らない話題を夢中で話すという設定が新しい。これは豚肉を食べるかどうかで延々と議論する『パルプ』と同じ。

それと関連して、登場人物の『パルプ』流キャラクター設定が、ここでほぼ完成されている。ハーベイ・カイテル、ティム・ロスはそのまま『パルプ』にも起用されているが、警官を拷問するのを無上の喜びとするマイケル・マドセンとか、チップを払わない主義のスティーブ・ブシェミとか、みなギャングのイメージから意図的にズラしている。

宝石強盗の後、倉庫に戻ってきたギャングたちが、このヤマに首を突っ込んだ経緯がフラッシュバックで描かれる。その時間的順序が前後に行ったり来たりするところも、『パルプ』と同じ。ただし、『パルプ』の方がより巧みに計算されているが。つまり、映画の進行もズラしてある。

こうしたキャラクター、会話、進行といった重要な点で、従来の映画からズラされた新しさが、ユーモラスで見通し不能の展開に観客をひきつける。
ただ、『パルプ』の場合、全編がポップな軽いタッチで統一されたのに対し、本作はまだフィルムノワールの重苦しさとか残忍さとか拳銃でドンパチのイメージを引きずっているし、テンポもいま一つ。その点がプロトタイプの所以かなと感じさせる。

徒然草枕
トミーさんのコメント
2024年3月9日

訳分からんサイドストーリー? を取りあえず回収出来るようなストーリーラインに乗せて、解り易いようにチャプター立てにして・・今作の眠たくなる要素に必死に対処して次作ヘ繋げたんだと思いました。

トミー