「会話劇と構成・展開が秀逸!」レザボア・ドッグス きーとろさんの映画レビュー(感想・評価)
会話劇と構成・展開が秀逸!
冒頭から本筋には全く関係のない、くだらない会話。それがなんだかおもしろい。タランティーノ節ですね。日常的な会話で登場人物のキャラクターや作品のノリをなんとなく鑑賞者に理解させるのが非常に上手い。
色のコードネームとか無条件でワクワクしてしまいます。誰が何色か決める時のごたごた感とかも凄く好き。
まずとにかくオープニングが格好良すぎる。あ、もう好き!ってなりますよ。音楽の使い方も良い。
その後のいきなり時間が飛んだ展開で引きつけられました。構成がとてもいい。芸人のコントで出てきそうな状況。登場人物を喋らせて、彼らと同調するように少しずつ鑑賞者に情報を与えていく展開の仕方が秀逸です。
回想以外は倉庫から全く移動しないのに、会話と状況展開だけでこんなにおもしろく感じられる作品はなかなかないと思います。急展開もあり、良い塩梅に緊迫感もあり、どうなるんだろう…とずっとワクワクして見れました。
立った人と寝そべった人で銃を向け合うあの有名なシーン、終盤にあるんだろうと思っていたら序盤でびっくり。格好良かった。
スティーヴブシェミとティムロスの演技が素晴らしかった。特にブシェミの表情と動き、声もとても魅力的。
タランティーノ監督の作品はどこかしらにエグいシーンが出てくるイメージです。それが苦手な私は身構えてしまうのですが、本作は比較的観やすい方だと思います。
本作で怖かったのはブロンドが小気味いい音楽かけながら警官を拷問するシーン。視覚的な怖さだけでなく精神的な怖さが…。
1人1人の回想で過去を描くやり方も好きです。宝石強盗時の状況がわかりやすい。エディの回想ではブロンドとの関係が描かれ、それがラストの展開の伏線になっているのも上手いですね。より説得力を感じました。
オレンジの回想内での小話中にいきなり警官が喋るところでちょっとびっくりしましたが、意図的なものなのかはわかりません…もしやびっくりしたの私だけ…?
現実でも裏稼業にああいう小話は必須なのでしょうか?タランティーノの小話は毎回おもしろいですよね。好きです。
ラスト前の緊迫感も良かった。ホワイトが情に厚くていい人なのがつらい。でも、ああいった状況ではピンクのように冷静、冷酷に立ち回った方がいいんでしょうね…。
冒頭でピンクのがめつさを目立たせていたのはラストに向けての伏線だったのでしょうか。
あの状況で誰か生き残ることはできたのか…最後の銃声は…。
ピンクには強かに逃げ延びていてほしい。