「ディズニールネッサンスのさきがけ!手書きの作品の最高峰」リトル・マーメイド(1989) TAKEさんの映画レビュー(感想・評価)
ディズニールネッサンスのさきがけ!手書きの作品の最高峰
ディズニー映画で最も有名な作品の一つ
音楽
この作品を語るうえで避けては通れないのはやっぱり音楽。オープニングの人魚が登場するときに流れるBGMだけで泣きそうになるほど荘厳で、楽しい音楽も充実しているが、実はパートオブユアワールドは音程を上げて歌い海の“上”へのあこがれを表現していて、アンダーザシーは音程を下げて海の“下”へ引き留めようとする、という隠れたメッセージを知り、それを頭に入れて聞くと作品の味方が大きく変わって見れるのもすごい奥深い。いや、こんな堅苦しい考えを抜いて頭を空っぽにしてもとても魅力的な作品で、何度でも見たくさせるのはさすがとしか言いようがない。
親子愛
子供の時に見たときはアンダーザシーが楽しい、魚がたくさん、などという考えで深く考えずに見ていたが、特に印象が強かったのはアリエルの父トリトンへの恐怖だった。アリエルの大切なコレクションを次々に壊していく姿は子供の時はトラウマだった。しかし、大人になってからこの作品を見ると、トリトンが王という立場と父親としての立場に苦悩している姿がしっかり描かれているのに気づかされる。アリエルに厳しく言い聞かせた後もセバスチャンに自信なさげに自分のやったことが正しかったか聞いたり、アリエルが恋していると知ったときは娘の成長を喜んでいたり、当時トラウマだったアリエルのコレクションの破壊シーンも王として娘が間違った道に行かないように強行したのだと理解して見ると、泣いているアリエルに声をかけられない悲しそうな表情が確認できて、とても胸が苦しくなりました。
そしてアリエルの危機には王としてではなく父親として躊躇することなくアースらの要求を即呑む姿はさすがとしか言いようがない。すべてが終わった後、アリエルの愛が本物だと気づき、「娘がいなくなるのはとても寂しい。」は僕の中で名シーンのひとつと言いたい。アリエルを人間にして、最後に抱擁してお別れを言うシーンはトリトンの愛があそこにギュッと詰まっている。「愛してるわ、パパ。」わかっているけど改めて娘との絆を噛みしめているあの表情は反則である。