離愁のレビュー・感想・評価
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ロミーシュナイダーを楽しむ展開
ドイツ軍が進軍する中、ジャンルイトランティニャン扮するジュリアンは、身重な妻ら家族と何処へ逃げたらいいのか分からなかった。ジュリアンは、非難のため家族とともに列車にのったところ後ろの貨車に隣通しでロミーシュナイダー扮するアンナが乗っていた。 視線が鋭いロミーシュナイダーはやっぱり目立つよね。しかし同じ貨車に乗ったからといって前の方には家族がいるのに気を惹かれるかな。まあロミーシュナイダーを楽しむ展開だったな。
美しい映像と切ない結末
実査に当時は似たような話がずいぶんあったのだろう。死と隣り合わせた中で出会った男女は思った以上にお互いの存在が心の奥底に刺さっていく。誰よりも求めるはずの平和を勝ち得た後でもそこで出会った男女の心根は強く深く絆を結ぶ・・切ない映画であった。
最後のシーンが良かったです
あまり期待せずに見たのですが良かったです。 中弛みもあったけど、最後のシーンに心打たれました。 トランティニャンは真面目そうに見えて軽薄な気がして。。 でも一途で、やっぱ素敵だと思ってしまう。
過酷な運命の列車の終着駅
第二次大戦中のフランスが舞台のメロドラマで、演出、脚本、カメラ、音楽、主役の演技、全てが完璧でとても見応えがありました。戦時下の時代感や市民の生活感がよく出ていて、ドラマに引き込まれます。さらに、避難列車の貨車に乗り合わせた人々の人間模様や細かいエピソードを生々とかつ淡々と描き、停車駅ごとののどかなあるいは悲惨な風景など、列車のドラマのポイントをしっかり押さえながら緩急つけた演出が見事です。非常時の列車で出会った男女が徐々に距離感を縮めていく主演二人の演技の呼吸が抜群で、抑圧された状況で求め合うシーンは鮮烈です。一瞬だけ人生の線路が交わった二人の終着駅に待ち受ける余韻のある幕切れも素晴らしく、個人的なフランス映画ベスト10に入る作品でした。主演のロミー・シュナイダー、ジャン=ルイ・トランティニャン、二人とも素晴らしいパフォーマンス、紛れもないお二人の代表作だと思います。
許されぬ愛の痛ましさを演じるロミー・シュナイダーの美しさの極み
美しく悲しい愛の物語。“離愁”とは、別れの悲しみの意味だが、映画のラストはそれとは違って出会いの悲しみであった。再会することによって、かつての心の繋がりに全てを投げ捨てた男と女の、愛ゆえのどんな敵にも立ち向かう情念の強さが、痛ましくも美しい。フランス映画は、このような愛の物語でその実力を発揮する。ラストシーンにおけるアンナ役のロミー・シュナイダーの何とも知れぬ思いと心のこもった表情の美しさが、この映画のすべてを物語る。
この映画の魅力は、このシュナイダーの演技に負うところが大きい。ユダヤの血を引くアンナは、独りフランスに逃れ、避難する人々を乗せた列車で偶然出会った妻子ある男性を愛してしまった。この抜き差しならぬ状況で唯一の救いの愛に縋った運命的な悲劇が、鮮烈な印象として残った。この女性像と比較して、ラジオ修理工のジュリアンの描き方が曖昧なのが少し引っ掛かる。ジャン=ルイ・トランティニャンが渋い味で好演しているが、脚本にその原因があるようだ。妻子と一緒に列車に乗っていたにも関わらず、見知らぬ女性に深い感情を抱く事になったのか。浮気癖があるようには見えないし、それだけアンナの魅力の虜になってしまったというのか。確かにアンナの神秘的で品の良い感性豊かな美しさには、どんな男性でも魅了されるであろう。それを後押しするように、別の車両にいた妻子の列車は途中で切り離されてしまう。この脚本の作為が、ジュリアンの本気度を薄めている様に感じてしまった。
しかし、後半の展開は説得力がある。ジュリアンが二人目の出産の為入院していた妻を訪ねる間に、アンナは姿を消す。ふたりが別れて数年後にドラマが展開する。フランスはナチスドイツの占領下に置かれて、ジュリアンはナチスの秘密警察から呼び出しを受ける。レジスタンスとして活動していたアンナが、ジュリアンの妻と偽った証明をしていたからだ。このラストの見つめ合う二人のシーンは、傍観していても心苦しいし、切ない。とても映画的な表現であり、戦時下の愛の姿を切実に表現した名ラストシーンになっていた。
ロミー・シュナイダーの美しさが絶頂期の代表作の一本に挙げられるフランス映画らしい作品。
1976年 10月30日 池袋文芸坐
命懸けで人を愛するということ
①邦題では何のことかわからない。原題の『Le Train(列車)』の方が良い。②その(難民)列車がナチの飛行機に襲撃されるシーンは凄い。③ロミー・シュナイダーはこの映画を含め70年代前半が一番輝いていたなァ。
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