ランボーのレビュー・感想・評価
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ランボー者と見せかけて
主演シルベスター・スタローン。
【ストーリー】
西部ワシントン州、ロッキー山脈の麓の集落。
ベトナム帰還兵のランボーが、部隊仲間バリーに会いにはるばるおとずれる。
だが、戦友は枯葉剤原因によるガンで、すでに亡くなっていた。
ホープという田舎町にたどりつき、大通りをあてどなく歩くランボー。
貧乏な身なりの若者をあやぶんだパトロール中の保安官ティーズルは、ランボーを追いだそうとするが、ランボーは頑としてしたがわない。
言いがかりをふっかけて強引に逮捕し、事務所内では公務執行と称し虐待。
ランボーはかつて捕虜として北ベトナム軍にとらわれ、拷問をうけた心理的トラウマを刺激され、補佐官たちにはげしく抵抗、そのまま逃亡する。
追いかけるティーズルたちだが、峻険な山岳地帯にもぐりこんだランボーによって撃退されてしまう。
州軍や州警察を巻きこんでの、大規模な山狩りがおこなわれる。
マスコミも取材にくるさわぎになり、ティーズルは毒づく。
「神はなんだって、ランボーみたいなのをお作りになったんだ」
「ランボーを作ったのは神ではない。この私だ」
そこに、合衆国陸軍大佐トラウトマンと名乗る男が姿をあらわす。
「私はランボーを助けに来たんじゃない。君らを彼から守りに来た」
スキマ時間に久しぶりに鑑賞しましたが、あーやっぱいい映画だなあと、しみじみ味わいました。
冒頭の湖畔のシーンで、繊細な若者ジョン・ランボーが、部隊の仲間を次々と喪って、戦後のアメリカ社会で自分の居場所がどんどんなくなってゆくさまを、わかりやすく提示。
田舎町をうろついていると、保安官に目をつけられて、いわれなき虐待をうける。
ベトナムで受けた拷問のトラウマから大爆発。
無駄なシーンなくストーリーが進行してゆくドキドキと、警察に軍隊まで動員される大事件に発展するハラハラ。
そして、そこに現れる謎の軍人トラウトマン大佐。
ランボーの特異な能力を、沈着かつ冷静な人物とわかる存在感で強調。
ここからはずっとアクション。
スピード感とスペクタクルで、こちらの気持ちをどんどん引きずり回してくれます。
アクションも危険で、今では撮れないような、とても緊迫感のあるものとなっています。
ランボーにトラックからつき落とされた兵士、けっこう危ない落ち方してたなあ。ケガしてそうで怖い。
しかしこの頃のスタローン、カッコいい。
あんな繊細そうな顔して、首から下はめっちゃマッチョ。
しゃべりも朴訥で、人柄あらわれてます。吹き替えもしごく佳き。
おバカ全力の小学生の時に見ちゃったもんで、ランボーの私物のコンバットナイフ、ぼくらみんな欲しがったもんです。
作中、悪徳保安官が州警察や州兵をどなりつけるシーンがいくつも見られます。
こんなことが本当に許されるかどうかは分かりませんが、実はアメリカの保安官という職業、警察や軍隊とは命令系統が異なります。
西部劇を好んで見る方々はご存知でしょうが、保安官は住民投票で決まる、おらが町の守り人なんですね。
政治家をめざすための、ステップにもなるお仕事。
そう考えたら、ティーズルの傲慢も、なんとなく理解できそう。
警察との一番のちがいは、保安官のシンボルでもある、左胸の星形バッジですね。
そしてつば広のカウボーイハット。
ちなみに警察だと、シンボルは盾型になります。
そう言えば合気道アクションで有名なスティーブン・セガールも、俳優の仕事をしながら保安官やってたりしてました。
さてこのランボーが所属していた、グリーンベレーという特殊部隊の説明をさせてもらいます。
陸軍創設の部隊で、おもに敵地への長期潜入や、現地人をゲリラ戦士として教化する任務に従事してました。
部隊のモットーは「抑圧からの解放」
これ、映画の内容まんまで興味ぶかいです。
同じ陸軍特殊部隊系のデルタフォースの方が、より活動がランボーちっくなのはご愛嬌。
任務内容から、多くの戦闘技能を備えておかなければならず、その上で現地語をしゃべれるレベルの言語力も求められる部隊です。
スタローン演じるジョン・ランボーは、マッチョな戦闘マシーンという今現在のパブリックなイメージをみごとに体現。
大自然を縦横無尽に駆けまわり、保安官、警察、そして軍隊を翻弄します。
ジョン・ウェインの『グリーンベレー』よりも、このジョン・ランボーこそが今の特殊部隊イメージの元祖と思います。
アクション自体は今風じゃないですが、内容は濃く展開もスピーディー。
哀切が胸に迫るラストシーンまでを、97分に収めた編集はえらい。
その後長くつづいたシリーズの中でも、随一の傑作ですよ。
彼の中にある怒りと失意
テッド・コッチェフ 監督を偲んで
テッド・コッチェフ監督
2025年4月10日心不全によりメキシコのヌエボ・バジャルタにて94歳で他界
1982年公開作品
名作なのに初鑑賞
監督は『おかしな泥棒 ディック&ジェーン』『料理長殿、ご用心』『地獄の7人』のテッド・コッチェフ
脚本は『ハード・ウェイ』原案のマイケル・コゾルと『ハード・ウェイ』制作のウィリアム・サックハイムと主演のシルベスター・スタローン
粗筋
ベトナム帰還兵のジョン・ランボーは生き残った戦友に会うため彼の実家に訪れたが友は化学兵器の後遺症による癌で亡くなっていた
余所者を快く思わない保安官ティーズルといざこざを起こし逮捕されてしまう
取り調べを担当した保安官のガルトは執拗にランボーを虐待
不当な扱いにベトナム時代のトラウマも重なりブチギレたランボーは逃亡し山に潜伏
地元警察側と戦うランボー
単純明快なアクション映画
カーチェイスや爆発の迫力は西部警察のよう
1番の見せ場は大佐にぶちまけたランボーの帰国後の不平不満とベトナムでの恐怖体験
配役
グリーンベレーの隊員として活躍したベトナム帰還兵で今現在は無職のジョン・ランボーにシルヴェスター・スタローン
ランボーの元上官として捜査に加わる大佐のサミュエル・トラウトマンにリチャード・クレンナ
揉め事を嫌い流れ者のランボーを敵視する保安官のティーズルにブライアン・デネヒー
州警察長のカーンにビル・マッキニー
州兵の中尉のクリント・モーガンにパトリック・スタック
ティーズルの親友でランボーを虐待する保安官のガルトにジャック・スターレット
保安官のミッチにデヴィッド・カルーソ
保安官のオーヴァルにジョン・マクリアム
ティーズルの部下のウォードにクリス・マルケイ
ティーズルの部下のバルフォードにマイケル・タルボット
ティーズルの部下のレスターにアルフ・ハンフリーズ
ティーズルの部下のシングルトンにデヴィッド・L・クローリー
ティーズルの部下のプレストンにドン・マッケイ
ヘリのパイロットにチャールズ・A・タンブロ
州兵のブルースにブルース・グリーンウッド
何も終わっちゃいないんだ!
スタローンの脚本家としての非凡な才能を本作品でも感じましたね!
新文芸坐さんにて『明けましておめでとうございます!ランボーです!』と題した特集上映。公開から40年、4Kレストアに生れ変わった『ランボー』(1982)を鑑賞。
『ランボー(First Blood)』(1982)
幼少期に第2作『怒りの脱出』(1985)から先に観てしまったため、ゴリゴリマッチョなスーパーアクション映画の印象が残っておりますが、今回は完全に以後のシリーズのことを白紙に返し、初見の気持ちで何度目かの鑑賞。
事前に下調べしてみると原作は『一人だけの軍隊』。
原作小説が発表されると評判で、当初はクリント・イーストウッド、ジェームズ・ガーナ―、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、ニック・ノルティ、ジョン・トラボルタ、スティーブン・マックイーンなどに打診、マックーンは体調不良でなければ本人も意欲的だったようです。誰が演じてもワクワクしますが、個人的にはパチーノの『スカーフェイス』のトニー・モンタナみたいなキレッキレのジョン・J・ランボーを見てみたかったですね。
第2弾以降がなく単独作品として鑑賞してみると色々と発見がありました。
ひとつはサミュエル・トラウトマン大佐(演:リチャード・クレンナ)との関係性。
育ての親のようにお互いに固い絆と愛情で結ばれているとすっかり思っていましたが、第1作を見る限りではランボーからの電話にも折り返さず、帰還後の部下の訃報にも疎く、積極的に当時の部下たちと関わろうとしていないことは明白でしたね。
原作では敵役保安官との対決後に自殺を図るが果たせないランボーを大佐が射殺するラストらしく、シーン自体も撮影されたらしいのですが、続編想定もあったので不採用になったらしいです。
確かに大佐を演じるリチャード・クレンナはジョン=ピエール・メルヴィル監督の遺作、アラン・ドロンと共演した『リスボン特急』(1972)でも表向きはパリのナイトクラブ経営者、裏の顔は仲間思いだが沈着冷静で計画のためなら仲間を殺すギャング(シモン)を演じており、同作ではアラン・ドロンを完全に食ってしまうほどの名演でしたが、キャスティングの際や大佐を演じる上での演技プランの参考にしたかも知れませんね。
もうひとつは最初にランボーに絡んだ不運なティーズル保安官(演:ブライアン・デネヒー)。
彼はランボーが「ベトナム帰還兵」だから町から排除したわけでなく、単純に身なりと顔つきだけで判断、劇中では語られてないのですが保安官自身も「朝鮮戦争帰還兵」で従軍体験を引きつづっている帰還兵同士の私闘だったという設定は驚き。作品イメージがガラッと変わりますね。
本作でも脚色にシルベスター・スタローン自身が参加しておりますが、とにかく最初からテンポ良くダレされず、盛り上げ上手で最後まで飽きさせないところに彼の脚本家としての非凡な才能を本作品でも感じましたね。
楽しみ方がわからない
有名な映画なのは知っていたけど、今回初めて映画館で鑑賞した。
正直言うと最後のランボーの独白まで、どういう楽しみ方をしていいのかわからなかった。
帰還兵に対する社会の差別、PTSDの問題みたいなことが語りたかったのかー、というのがラストでやっとわかった。
いや、もちろんそれは再序盤でランボーがフラッシュバックに苦しむ描写で分かっていたことなんだけど、中盤から後半にかけてそれがわからなくなっていっていた、というのが正しい。
でもラストにランボーの慟哭を持ってきたことで、この見方であってるんだよね、と確認できた。
しかしそうであるならば、こんなに派手に戦わせて、戦場エンタメとして観客を楽しませようとする意味がよくわからない。
エンタメ映画としての中盤の派手な描写と、主張したいテーマの食い合わせが悪いんじゃないか?と思った。
エンタメとして楽しませるところは楽しませつつ、重いテーマもしっかり扱っている作品も世の中にはあることはあるけど、それってほんとに難しいことなんだなと思いました。
エンタメとしての前半部分も、特殊部隊帰りのランボーが戦う相手が田舎の自警団ってのも、相手がしょぼくて緊張感に欠けるなー、と思って冷めてしまった。
自分が単純にドンパチするアクション映画にあんまならないが大きいとも思う。
全体としてどういう楽しみ方をしていいのかわからない、というのが感想。
そう言った居心地の悪さを抱かせること自体が目的といわれればすごいけど、そういうわけでもないだろうし。。。
もちろん当時の社会背景がよくわかってない若造の戯言ですので、いろいろ見て学びたいなとかも思いました。
スタローンの闇
40年振りに劇場鑑賞!!
日曜日
鑑賞日の10/27(日)、朝イチで衆議院総選挙の投票、午前中は大谷翔平のドジャース戦、午後は本作ランボー劇場鑑賞、夜は日本シリーズ観ながらの選挙特番と完璧な一日
しか~し、午後に劇場に到着し、メールからQRコードを起こし入場!のはずが、QRコードが出せない!?
調べると、何と二日前に予約した日にち付で買っていることが判明
「マジか!?」
ダメ元で係の人に聞いてみたら、何と大丈夫、とのこと!
「マジで!!」
大手シネコンなら確実にダメを出されるはずなのに、キネカ大森さんの懐の深さよ…
恐縮しながらの「ランボー」
サイコー!ランボー
保安官役のブライアン・デネヒーが今は亡き安部譲二にソックリでいい味
さすが、淀川先生推しの名優です(゚∀゚)
ランボー怒りの脱出、ランボー3怒りのアフガンも公開中だが、公開当時劇場で鑑賞済みだし、この時期のスタローンはロマンチック浮かれモードなので、まぁ観なくていいか…
オワリ
アメリカへの怒りから「アメリカ万歳」へ
覚えてないもんだなぁ
2024年劇場鑑賞270本目。
今週来週観たい映画目白押しで、正直一回観た今作はスルーするつもりでしたが、はしごで見事に時間がハマるのがこれしかなく、じゃあと鑑賞。
観て良かった、記憶半分くらいしかなかったー!もう自分でも呆れるくらいほとんどのシーン覚えていませんでした。ゴールデン洋画劇場で見たのである程度はカットされていたとは思うのですが、最後の説得のシーンの手前三十分は完全に記憶から飛んでました。
一般人だと思って虐げたらめちゃ強でしたという、リーアム・ニーソンお得意のジャンルの元祖だと思うのですが、ランボーシリーズでそれを満たすのは5作中最初と最後だけなんですよね。だからなめてた悪徳警官たちがどんどんやられていくのは気持ちいいのですが、誰一人後悔も謝罪もないのでカタルシスが少し足りないというところで4.5にしました。
トリロジー公開を
重いテーマ
2以降の戦争アクションと違ってベトナム帰還兵の苦悩と米社会の病巣がテーマです。
ほぼ全編アクションシーンであるにも関わらず、ランボー先輩の内面が非常にリアルに描かれています。
ベトナム終結わずか7年後、国中に帰還兵があふれている状況で悪者扱いされていた彼らの心情をテーマにしているので本国ではまずまずヒットに留まったようです。
日本人には決して理解できない事情ですが、ディアハンターや地獄の黙示録。後年のプラトーンとは全く異なった手法でアメリカ人の問題点を告発しています。
という感想がいえるのは現在60代以降のベトナムを知っている世代だからであって、知らない若い人が「暴力警官ヒドイ」とかアクション映画の観点でしか評価をしえないのは仕方がないでしょう。
ベトナム帰還兵の心を描こうとした反戦映画
「戦場では、100万ドルの戦車を任せてくれた!しかしアメリカに帰って駐車場の係すら任せてくれない!」
クライマックスでランボーが嘆くように吐き捨てたセリフ。これだけでランボーの置かれた状況、いやベトナム帰還兵が置かれている状況が痛切に響く・・・。本作はベトナム戦争に従軍した兵士が、アメリカに帰還後冷遇を受け、その苦しみを爆発的に描いた作品です。
ストーリーとしては、ベトナム帰還兵のジョン・ランボーは仲間を尋ねたが、戦争の後遺症で亡くなったのを聞き、近くの町に立ち寄った。しかしその町の保安官はよそ者を良しとせず、その仲間も職質と言う名の虐待を始めた。最初は黙っていたが、それを受けるたびに彼はPTSDを患っていたのかフラッシュバックのように戦地のことが頭によぎる。そして我慢できなくなった彼はついに反抗に打って出る。一度はランボーを取り逃がした警察だが、後の情報から彼は只者ではないことを知る。彼はグリーン・ベレーという米軍でも屈指の部隊に配属し、その中でも最強と謳われる英雄だった・・・てな感じです。
普通に見れば、最強軍人がただ街にやってきたのに保安官から浮浪者扱いされ虐げられ、それに対しゲリラ戦で猛反抗するというアクション映画です。しかし、この映画が公開された当時のことを考慮したうえで観ると、視点がガラリと変わります。
まず、ベトナム戦争に従軍した兵士は心的外傷ストレス(PTSD)を患う人が多かったこと。次に、アメリカ国内の世論はベトナム戦争に対し反対の声が非常に大きくなっていたこと。兵士は軍人としての職務を全うするために戦地へ派遣され、心の病を患うほどにまで戦ったのに、国に帰れば大多数を占める反戦派からバッシングを受ける・・・。
理不尽。ただその一言がよぎるんです。
ランボーの行動は、それに対する怒りやったんではないでしょうか。冒頭で紹介したセリフ、まさに彼らの心を表したものではなかろうか。崖からノースタントで飛び降りるなど(!!?)派手なアクションもありますが、自分はこの物語にじんわりとくるものがあると感じたんです。ただただ火薬を詰め込むだけやない、その裏に隠された人間としての苦しみ・葛藤を、じわっと描いているのが本作の良いところ。また敵役となる保安官も、ただの悪役ではない。なんやかんやで自分の街を愛している。ゆえに過激な行動にでているわけですが、ただの勧善懲悪的な展開になっていないところも好ポイントなんです。
映画は時にその時代のことを映し出す。歴史の本を読むように。本作は、当時のアメリカを反映した映画として、面白さ以上に価値がある映画やと自分は思うんです。
肉体で語るスタローン
It's A Long Road‼️
「ランボー」というフランチャイズが、ただ単なる血まみれ映画、ヤギの死骸と戯れるスポーツ映画になってしまう以前、この一作目はベトナム帰還兵の心の哀愁を描いた優れた反戦映画だった‼️自分がよそ者であること、ベトナム帰還兵であるというだけで、偏見と差別にあい、逮捕されてしまうランボー‼️怒りが頂点に達したランボーは山中へ逃走‼️ナメてかかった警察は地獄を見る・・・‼️崖から決死のスカイダイブ‼️樹木に掴みながら無事地面へ‼️寒い山中でシャツ一枚でのサバイバル‼️ホント目から鱗‼️自然を利用したゲリラ戦法に警察は手も足も出ず‼️あのギザギザナイフが欲しかった‼️一人ぼっちのランボーに手を差し伸べる、かつての上司トラウトマン大佐‼️これぞ理想の上司‼️ラスト、トラウトマンに自らの思いを涙ながらにぶつけるランボー‼️胸に染みます‼️現在のスタローンからは想像もできないくらい演技がウマい‼️「ロッキー」と並ぶ代表作をモノにしたスタローン‼️ここから彼の悪ノリ大将の歴史が始まります‼️
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