「チャップリンの白鳥の歌、舞台に死す」ライムライト Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
チャップリンの白鳥の歌、舞台に死す
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チャップリンの実質的な白鳥の歌。ハリウッドを追われるチャップリンの、アメリカ映画に捧げる遺言にも取れる、巨星の個人的心境が反映された作品。サイレント映画の「サーカス」のときは、離婚訴訟のトラブルでの孤軍奮闘する自虐的な笑いを印象付けたが、還暦を過ぎたチャップリンは、芸人としての出発点に帰り、世界に一つだけの至芸を見せてくれます。バスター・キートンとの共演舞台は、掛け替えのない映像遺産と云えましょう。
社会批評映画「モダンタイムス」「独裁者」「殺人狂時代」を辿り、再び以前の人間主体の映画に戻って、自身の老いを自覚した人生ドラマを描く。映像技法も話法も同時代の映画と比較して古めかしいが、そこに喜劇俳優・監督チャップリンの変わらぬ誇りと威厳を感じます。
同じく還暦を過ぎたヴィスコンティが遺した「ベニスに死す」との共通項も少なからずあって興味深い。初老の芸術家が若い人と接触し、刺激を受けて若返るところが似ている。
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