ライアンの娘のレビュー・感想・評価
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人物描写と観ている者に考えさせる構成が秀逸
今作は名作『戦場にかける橋』のデビット・リーン監督による映画ということもあり、興味を持ち鑑賞。結論から言うと人物描写の奥深さと、台詞ではなく行動によって観ている者にストーリーや心情を考えさせる構成が秀逸だと思える映画だった。
主人公の女ロージーがいる村の住民は、小学生のやりそうないじめをしたり、結婚式後のパーティで羽目を外し過ぎたりとガサツで、民度が低い。ロージーの夫チャールズはまさに大人の男性といった佇まいだが、彼女には刺激が足りない。そんな中で出会った不倫相手のドリアン少佐は、彼女の周囲にいるどの男性とも異なるタイプだ。端整な顔立ちで、気品と色気がある中に優しさも感じさせる。そしてドリアン少佐はPTSDを患っているため、ロージーは側にいてあげなきゃいけないと、彼女の母性本能をくすぐる。そういった登場人物の対比によって、ロージーがドリアン少佐に惹かれる気持ちがよく分かる構成になっている。それを台詞ではなく行動で示しているシーンが多いのが、人間の機微をより感じさせる。
夫のチャールズも、村の顔役的な存在のコリンズ神父も魅力的だ。チャールズはロージーの不倫を知りながらも取り乱さず冷静で達観している。彼女に対して感情的になることも無い。それどころか気にかける優しさを持っていて、精神的に成熟した大人という印象を与える。コリンズ神父は人として常に正しくあろうとしている。厳しさの中に優しさや面倒見の良さがあるという、人間的な温かみのある人物として描かれている。このように人物描写がよくできていて、観ている者に印象を残す。
3時間超えの長編映画で、昔の作品ということもあり少し冗長さは感じさせるものの、内容はそれに見合って秀逸なストーリーだと思う。それを軽快な音楽に乗せて進めていく構成は、デビット・リーン監督らしさを感じさせた。
イニシェリン島だね。
第二次世界大戦後にもパリを占領したナチス・ドイツがパリの女性と恋愛関係に落ちてしまい。戦後パリなどでは同様の残虐な差別行為があった。
全てがパリジェンヌの責任とは限らないと思う。
中学生の頃、数少ない友人と見に行った記憶があるが、止めて『ロンゲストディ』を見たと思う。見なくて良かったが、その後、テレビで見た可能性があるが、よくよく考えると昨年『イニシェリン島の精霊』を見た事を思い出した。あの難解そうな話が全て解決した。ロバが出て来た時は鳥肌が立った。
最後の場面、ローゼは絶対に『花を拾わない』と思った。
ベートーヴェンの『エロイカ』が良かった。
ほとんどの住人がアイルランドを支持しているので、北アイルランド領ではないと思う。でも『ダブリン』って言っているので、北アイルランドかなぁ?北アイルランドなら『ベルファスト』って地名出て来ると思う。
イギリス人はスノッブ!
アイルランドの独立運動で村人の士気が高まる中にあっても駐在英軍は俗的であり、アイルランド人の愛国心や団結力には対照的である。といっても、それほどの描写はなかったが・・・
ロージーの恋が大部分占めている割りに、何故彼女が恋に落ちたのかという過程がさっぱりわからない。映像の美しさ、粋な台詞を押し出すあまり、抽象的になりすぎているからだ。それでも長時間に耐えられる映画となっているのは、映像と、効果的な音楽と、どこにでも出現するマイケル(ジョン・ミルズ)の存在が大きいからだろう。
後半の嵐の海辺のシーンの迫力は圧巻で映画館で観なかったことが悔やまれるくらいのスペクタクルであった。ただ、住民が結束する場面は感動的ではあるが唐突すぎる感があり、伏線をもっと明確にしてほしかった(オリアリーが祖国の英雄であるとかの話)。
ラストではロジーがマイケルにキスするシーンがあるのですが、結婚式で彼の祝福のキスを拒んだこともあって、ストーリー全体に影響するほど引き締めてくれた。
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