誘惑のアフロディーテのレビュー・感想・評価
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ウディ・アレン式ギリシャ喜劇…邦題は外してるけど…
①70年代後半~80年代はベルイマンを意識していたように思うのだが、本作はフェリーニ・タッチ?
②映画がコロスの登場シーンから始まった時は?という感じだったが、今回はギリシャ悲劇/喜劇がベースになっていることをコロスに進行役を務めさせることで問わず語りに言いたかったのかな。
でも、その趣向が正しかったかどうかは最後まで疑問で、それで点数を少なくしてます。
③ギリシャ悲劇と言えば、親子・夫婦・恋人たちが、運命の皮肉に翻弄されて、親殺し・子殺し・近親相姦・嫉妬・復讐といった悪業の数々を複雑な関係の中で繰り広げるという話が多い。
本作でも、ウディ・アレン扮するレニーが半ば強迫観念的に養子の実母探しを始めたことから、親子・夫婦・男女の関係がねじれ始めるが、ねじれた挙げ句ハッピーエンドになるという皮肉な展開になる。
コロスのリーダーが言う通り、“人生は皮肉に溢れている。奇想天外で悲しくすばらしい”という台詞がピッタリ。
④ウディ・アレンの映画は、これまで登場人物一人一人の内面を掘り下げるような映画が多かったが、本作ではその掘り下げが浅くなっているようだ(表面だけなぞっているという意味ではない)。
個人個人に光を当てるより群像劇にして、人間と人間社会の有り様を俯瞰的に描く作風への転換点かな?
時代
1995年のコメディ映画で 2020年現在でも違和感はない
アレンとミア・ファローが養子を受け入れた過程も彷彿とさせる… と思ったが…
養子の実母の職業が… という話で 彼女を演じるソルヴィーノはチャーミング
その肢体は女神のよう
(彼女の衣装とインテリアのチョイスも笑える)
ただ、アレンの現状、ミアとの3人の子供(養子2 実子1)も交えた騒動を考えると 今は素直に笑えない
おまけに 実子は「シナトラの子かも?」というファローの爆弾発言も…
(彼女にも問題が… )
アレンの映画は海外興行成績の方が良い
アメリカのある狭い地域、そこの人々とその文化を描き続けたもので
国内では またマンハッタン周辺なのか、またユダヤのインテリ自慢なのか、またまた美女とアレンの絡みを見せられるのか… 〈またかよ!〉という思いなのかもしれない
アメリカは広い
ハリウッドとアレンが親しくないことが語られているが、映画にはプロパガンダ的要素があり、両者が共に〈ユダヤ悲哀史観〉を宣伝していることも否めない
(あんなに 金儲けしてるのにね)
これを再見して 時代が完全に変わってしまったことを知ることになった
ハリウッドもアレンも以前のように(ゼウスのように)人々を掌握することは出来ないだろう
アレンが娼婦の元締め(モラン)に締め上げられる場面で 遠景で彼の友人(ポール・ハーマン)が見事なカード捌きを見せている
アレンがカードマジックに傾倒し その第一歩がマジシャンだったことを思い出した
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