ユージュアル・サスペクツのレビュー・感想・評価
全209件中、1~20件目を表示
信頼できないのは「語り手」だけじゃない。
◯作品全体
大好きな作品なので既に数回見ている。衝撃のラストやキントによる「信用できない語り手」の回想に惹かれる作品だけど、登場人物たちの仕草やカメラワークによる騙すギミックも素晴らしいな、と感じた。
たとえばキントが事務室に入ってきて間もない、冒頭のシーン。キントが様々なところに目線を這わせ、偽装工作の準備を始める。視線が落ち着かない変な男、のように見せるミスリードが巧い。時間稼ぎのようにコーヒーを淹れさせ、たばこをつけさせるシーンも良い。不審がらせないように、さりげなく障害者、社会的弱者であることを強くアピールしている。
状況説明をするようなカメラと登場人物の距離感も良かった。回想には必ずキントの語りが挟まっていることを、客観視するカメラによって印象付けている。まるで「画面上で行われていることはキントからの情報によって構成されていることを忘れるな」と訴えているようだった。
その「キントからの情報」を強く感じるのはキートンの描写だ。キートンはすごく魅力的な、人情味ある人物として映されている。イーディを見る視線もそうだし、仕事を続けることに躊躇いがあったり、キントを逃がそうとするところもそうだ。本当にそうだったかはわからないが、回想シーンのカメラには必ずキントのフィルターがかかっていると思ったほうが良いだろう。そう考えると警察が「キートンは冷徹な男」と見ているのを逆手にとって、キントが騙されていたという方向へ誘導するような演出がカメラに仕組まれていたと感じる。
例えば、序盤でキントがキートンを仲間に誘うシーン。イーディについて言及することでキートンから暴行を受けるが、映すのは二人の上半身だけで暴行を直接的に描写しない。これは「キントからの情報」がキートンにダメージを与える描写を規制しているのだと思う。終盤で警察が「キートンがソゼだ」と結論づけるが、そのシーンではキントに対して冷たい仕打ちをとるキートンが映される。これは「キントからの情報」というフィルターが外れて、警察側による情報として映像が切り替わったような効果があった。そう考えると、宝石商を撃った場面もキントが意図的に庇っている可能性があった(=キートンが躊躇いなく撃った)り、フェンスターの遺体を埋めようとするキートンは実際には唾を吐いたのかもしれない。
これはもう、正確なことは何も言えないわけだ。人によってはこの不正確さ、曖昧さに興醒めするのかもしれないが、個人的には映像作品の、そして映像演出の妙を強く感じて感動した。
過去の回想において画面上で行われていた行為は、全くと言って良いほど信頼できない。だからこそ「語り」だけでなく映像演出も含めて登場人物の意図を考えたくなる。
カメラワークは神の目線のスタッフの意図だけじゃなくて登場人物の思惑もある…そう考えると登場人物がより生々しく見えてくる。そこに作品の作り込みを強く感じた。
◯カメラワークとか
・ファーストカットが良い。港の水面と複数浮かぶ光源の揺れ。物語の静かな導入としてもかっこいいし、虚像を映すことで真実の霞みを感じられる。
・コバヤシの事務所でイーディを見つけるシーンではガラスの反射を上手く使った演出があった。事務所内にいるイーディをガラス越しに見つめるキートン。事務所内からキートンを映すことでガラスが反射して外にあるビルしか映らない。しかし反射の先にイーディを見張る”ボディガード”が立つことで影になり、反射の奥にいるキートンと、手前にいるイーディが映るという仕掛け。キートンとイーディの間には避けられないコバヤシの魔の手がある、ということを画面から伝える演出だった。
◯その他
・終盤とラストカットも何度見ても良い。ゆっくりと本性を現していくキントの足取りが戻っていくところは本当にゾッとする。ラストカットでキントの言葉を反芻させるのも本当にうまい。誰のことを言っているのか、と考えていると、最後の「フッと消えた」がトドメを刺してくるような。
“カイザー・ソゼ”が頭の中でリピートされる
この映画のエンディングを見終えてからというもの、似たような設定やキャラクターが映画やドラマに出てきた時、もしくは実生活においても裏で何か得体の知れない大きな力が働いているのではないかと感じた時などにふと思い出す名前があります。それほどブライアン・シンガー監督のクライム・サスペンス「ユージュアル・サスペクツ」(1995)のラストに鳥肌が立ちました。
その巧妙なストーリー展開と演出をさらに魅力あるものにしているのがキャストです。クセのある前科者5人を演じた、ガブリエル・バーンの渋み、スティーブン・ボールドウィンとベニチオ・デルトロのキレ味、ケビン・ポラックの狂気、ケビン・スペイシーの不敵な笑みが相乗効果を発揮。さらにチャズ・パルミンテリ、ピート・ポスルスウェイトらが脇を固めていて、彼らの絶妙な演技の応酬が、この映画のもう一つの見どころです。
なかでも物語の語り手であり、左側の手足が不自由で気弱な詐欺師のヴァーバル・キントを演じたスペイシーは、この演技により第68回アカデミー賞で助演男優賞を受賞しました。(※スペイシーは、2017年から告発が相次いだ性的暴行疑惑のため現在は主だった俳優活動を行っていません)
キントが語る出来事によって事件が次第に明かされていきますが、その中に出てくる、実在しないとも言われる伝説のギャングの名前が“カイザー・ソゼ”なのです。
まるでパズルを組み合わせていくような面白さがあるのですが、次第にキントが語る話はどこまでが真実なのか、映画を見ながら組み合わせていたパズルが果たしてあっているのか、見終わった後に自分の頭の中で組み直すことになるかもしれません。
今観ても素晴らしいサスペンス
やられたぁ!という爽快などんでん返し作品
改めて観たらどハマりした
同僚が好きな映画としてこの映画を挙げていたことから興味を持って鑑賞した作品。ところが、初めて観たときには申し訳ないが「…どこが面白いの?」と思ってしまった。有名なドンデン返しにはもちろん驚いたが、その衝撃も映画全体の評価を好転させるまでには至らず、私の中ではあまり好みではなかった、として片付けていた作品であった。
それが。初回の鑑賞から数年が経って、最近インスタでかの有名なドンデン返しの始まりのシーンのショート動画をみて、「そういえばどんな話だったかな」と興味が湧き、再度鑑賞してみることに。当然オチはわかった上で観たのだが、これがなんと、面白かった!
なぜ初回は面白くないと思ったのかがわからないほど引き込まれてしまった。レビューも読み込み、映画に散りばめられていた「違和感」を検証するため再度鑑賞までしたほど。複数回観ると、確かにあるある、そこら中に違和感が。
5人の容疑者役者全員に共通することだが、特にケビンスペイシーの演技が本当に素晴らしい。目線ひとつ、口元ひとつでこんなに表現していたなんて。
ネタバレした後でも何回でも楽しめる映画でした。
ラストに驚く映画を続けて視聴しているからか
驚きが期待値を超えてこなかった…
昼食を食べすぎたのか眠気に負けて
寝落ちしながら鑑賞
本当ならきっと面白かったと思う
一晩経って、独白のところがあれで、ならあの場面は…と思いを巡らし なるほど おもしろい映画だったのだと思った
見やすくて上質だったんだけど…
よくわからなかった
うーん…
二度目はなんの面白さもなかった
何がすごいのかわからない
ラストの演技に脱帽
#真相をお話しします。 オチが広まってしまったドンデン返し系映画に果たして価値はあるのか?
とある事件の面通しの為に集められた5人の容疑者が、謎の男“カイザー・ソゼ"に翻弄される様を描いたクライム・ミステリー。
監督はブライアン・シンガー。
脚本はクリストファー・マッカリー。本作でアカデミー賞脚本賞を受賞した。
5人の容疑者のうちの1人で、手足に障害を持つ詐欺師、ヴァーバル・キントを演じるのは『ワーキング・ガール』『摩天楼を夢みて』の、レジェンド俳優ケヴィン・スペイシー,KBE。本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
5人の容疑者のうちの1人、フレッド・フェンスターを演じるのは『007/消されたライセンス』の、後のオスカー俳優ベニチオ・デル・トロ。
👑受賞歴👑
第68回 アカデミー賞…脚本賞/助演男優賞(スペイシー)!✨
第49回 英国アカデミー賞…オリジナル脚本賞!
第11回 インディペンデント・スピリット賞…脚本賞!
第8回 東京国際映画祭…ゴールド賞!
ブライアン・シンガーとクリストファー・マッカリー、そしてケヴィン・スペイシーの名を世に知らしめた、叙述トリックミステリーの代表格。観客の意表を突くラストシーンが特徴で、その巧みな語り口から“史上最高の脚本“の1つとしてその名が挙げられる事も多い。
世界的に評価される1本なので、こんなことを言うのは憚られるのだが、正直に言います。
めちゃクソつまらなかった…🌀🌀🌀
コンディションが良くなかったという個人的な理由もあるのだが、とにかく眠い。ただただ眠い。中盤以降は常に眠気との闘いを強いられていた様な気がする。
映画鑑賞でここまで眠くなる事は稀なのだが…。それほどこの映画が退屈だったのである。
何故ここまで退屈してしまったのか。それは偏に、この映画のオチを知ってしまっていたから。
その性質上ネタバレ厳禁の作品なのだが、流石に公開から30年も経つと内容はダダ漏れ。カイザー・ソゼの正体なんて、ダース・ベイダーと同じくらい…とまでは言わないが、映画好きであれば未見でも当然知っているくらいには世に広まってしまっており、その驚愕のラストにはもう何の価値も残されていないのである。
とはいえ。面白い映画であればネタバレしていようがいまいがあまり関係ないと言うのが個人の意見。ダース・ベイダーの正体が分かっていても『スター・ウォーズ』(1977)は面白いし、タイラー・ダーデンの正体が分かっていても『ファイト・クラブ』(1999)は素晴らしい。『シックス・センス』(1999)もまた然り。ドンデン返しとは映画を構成する一要素に過ぎず、大事なのはそこに至るまでの過程なのだ。
しかし、本作はその過程がつまんない。5人の“ユージュアル・サスペクツ“は特にケミストリーを醸し出しているわけでもないし、キントとキートンの友情は全く観客に伝わってこない。ケイパームービーの筈なのに、その面白みが1㎜も描き込めていないのである。
叙述トリックに注力するがあまり、肝心のお話がおざなりになってしまうというのはこの手のジャンルにありがち。本作も後多分に漏れずその落とし穴に嵌ってしまっている。
細かい部分のキメの荒さも気になる。重度の火傷を負った参考人の病室で、マスクを外したり大声で電話したり…。いやさっき、感染症の恐れがあるので消毒をしっかりしないといけない云々というやり取りがあったばっかりやないですか。
カイザー・ソゼの銃の構え方も気になる。何で銃を横に傾けて撃つんだろう?何処ぞのチンピラならともかく、プロの殺し屋であるソゼがそんなカッコつけた撃ち方するかぁ?
新鮮味があるうちは美味しいが、すぐに鮮度が落ちてしまうのが叙述トリックの弱点。だからこそお話しの部分を強化しなければならないと思うのだが、本作はそこがヘナチョコである。
少し厳しいことを言うが、これはアカデミー賞で脚本賞を受賞する程の作品か?同年に公開された『セブン』(1995)は本作と共通点の多い作品だが、こちらは無冠どころか編集賞にノミネートされただけという冷遇っぷり。…いやおかしいだろっ!アカデミー会員の目は節穴か!?
どう考えたって『セブン』の方がよく出来ていると思うのだが。30年前のアカデミー賞に文句を言っても仕方ないが、それにしたって…。
リアルタイムで観ていれば感想は違ったのかも知れないが、ネタがバレてしまった今となっては、このくらいのしょっぱい評価が妥当な所だと思います。
あ、ちなみに本作の1番の驚きはベニチオ・デル・トロ。今と印象が違い過ぎて、初見では全く気が付きませんでした。気付いた人は凄いっ👏
プロフィール欄もご覧ください
カイザーソゼ
全209件中、1~20件目を表示










