モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイルのレビュー・感想・評価
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思いっきりベタ!いい意味で下品で過激!
目黒シネマさん「~テリー・ギリアム傑作選~」(2024年8月11日~17日)にて初期作『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(1975)『ジャバーウォッキー』(1977)、中期作『フィッシャー・キング』(1991)3本鑑賞。 “コメディ界のビートルズ”「モンティ・パイソン」は、今から半世紀前、東京12チャンネル(現:テレビ東京)でタモリさんもテレビ初出演したギャク番組『空飛ぶモンティ・パイソン』を観た記憶が薄っすらとありますが、幼心に「8時だョ!全員集合」とは違う英国のシュールな笑いが理解できず、ずっと食わず嫌い…。 今回の特集上映で初トライ。 因みにギリアム監督は英国人ではなく生粋のアメリカ人。 社会人になってから渡英したようで長く誤解をしておりました。 『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(1975) テリー・ギリアム監督がテリー・ジョーンズと共同監督したデビュー作。 「アーサー王と円卓の騎士たち」をベースにした聖杯探索。 この聖杯と騎士は、その後の「フィッシャー・キング」にもつながっていきますね。 英国ならではのソフィストケートされたシュールなストーリーとギャグかと思いきや、思いっきりベタでいい意味での下品で過激。 公共放送BBCでもたびたび揉めた理由も理解できますね。
劇場公開時に鑑賞して悶絶
劇場公開時には、TVシリーズと同キャストによる日本語吹き替え版での上映で観た。 日本公開は、イギリス・アメリカ共に1975年4月の同時期公開だったのに対して遅れに遅れ、公開の可能性も可成り低く、見送りかと危ぶまれたが、1979年8月になってやっと待ちに待った公開の実現にこぎつけたという経緯がある。 待望のスクリーン上のパイソンズとのご対面は、ぶっ飛んだ内容のアーサー王伝説が如何にもパイソンズらしい、ブラックが効いたギャグにて、初の大型画面の長編作品で楽しめたことは、マニア冥利に尽きる心境だった。 大手の配給元では無い「テレキャス・ジャパン」というパイソンズなんかを扱っていた中堅どころによる、紆余曲折、困難の末、渋谷パルコ劇場での限定公開という形だったので、その後に名画座での公開は無かったと思う。 そしての後は、これ以降、日本語版は封印に。 というか作品も我が国では以後もソフト化さえも無しで、それこそ”もはや伝説状態”となった。 唯一、何故かPCソフト版だけが出ていた時期があり所有している。 その次が、海外のみで発売されたレーザーディスク版。 これも日本発売は一切行われなかった。 しかし、どういう経緯か意図か謎だが、このLDには何故かオリジナル音声に加えて「日本語吹き替え音声収録」が表記されており、手に入れてみると正しく劇場公開時のものだった。 パイソンズの日本語吹き替え版は、海外でも話題性があったようで、絶品扱い(?)だったのかも知れない。 仰天、かつマニア垂涎のマストアイテムとなった事は言うまでも無い。 何しろ「“TVシリーズ日本語版”マスターが権利関係で英国に持ち去られて国内には既に存在せず」状態だった事から、この映画版音声の存在だけが唯一のオリジナル吹き替えを聴くことが出来る音声だったからで在る。 同様の理由から、ビートルズの『マジカル・ミステリー・ツアー』にも出演していた「ボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンド」のメンバーのニール・イネスとエリック・アイドルが組んで結成したビートルズのパロディ・バンドのTVスペシャル映像版で, マイケル・ペイリン 、ジョージ・ハリスン自身とポール・サイモン 、ストーンズのミックとビアンカ夫人とロン・ウッド 、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイド、ビル・マーレイなども登場していた『ラトルズ 4人もアイドル!』の吹き替え音源は永久に失われてしまった。 放送当時の”東京12チャンネル”の夜の本放送と、その後1回合った別時間枠の(一部カット)再放送を観た記憶は今でも残っているが。 ビートルズ系(イエローサブマリンや、4人はアイドルなんか)はよくTV音声録音していたものだが、これはし損ねたか....? 因みに、パイソンズとビートルズの関係は、切っても切れないほどであって、ジョンは当時「今度生まれ変わったときはパイソンズのメンバーになる」と発言していたくらい評価し、ジョージはパイソンズの映画以降もテリー・ギリアムの映画製作に関わったり出資を支援したりしている。 サイコーに面白いのが、ファンの間では有名な『My Sweet Lord 盗作騒動』を自虐ネタにした『The Pirate Song』という未発表曲を1975年12月にエリック・アイドル の BBC2 コメディ番組「 ラトランド・ウィークエンド・テレビジョン」で披露したときの映像。 ジョージは司会者に紹介されて「My Sweet Lord」のサビ部分を演奏し始めてバンドも伴奏し始めるが、唐突に曲調を変えて全く別の曲に転じてしまい、その曲こそが『The Pirate Song』なのである。 ウラ業界用語的に、「違法コピー」とか「パクリ」みたいな行為を指して”Pirate (パイレート)する”的な表現がある所以。 それそのまま、海賊衣装に扮して陽気に(捨て鉢なごとく?)歌いまくるジョージの姿は痛快で、拍手喝采物でした。(日本でも当時、一部が一度限りTV放送されている) これも、パイソンズのメンバーとの親交の深さあってこそのパフォーマンス実現に他ならないことは言うまでもないです。 このようにジョージとは一番関わりは深く、2002年に行われたジョージ・ハリスンの追悼コンサート『コンサート・フォー・ジョージ』へも参加もあった。 現在はその後、国内の個人録音音声の発掘により、不完全ながらTVシリーズの発売に引き続き、これら劇場版についても吹き替え音声収録のDVDが発売された事もあり、入手するという事も不可能では無くなった。 兎に角、パイソンズは日本語吹き替えが絶品なのです.... 今更、分かりきったことだが、参考までに本作のボイス・キャストを以下に グレアム・チャップマン:山田康雄 ジョン・クリーズ:納谷悟朗 エリック・アイドル:広川太一郎 テリー・ギリアム:古川登志夫 テリー・ジョーンズ:飯塚昭三 マイケル・ペイリン:青野武 と キャロル・クリーヴランド とコニー・ブース:白石冬美(TV版クリーヴランドは松金よね子だった) 昭和の時代から我々を「声を聞けば....」なレベルにまで耳慣れさせた、何れも個性あふれる特徴的な声の持ち主だった”俳優”諸氏でした。 かつて食べた食べ物の味を懐かしんで恋しく思うが如く、これら耳慣れて心地よい響きが日常的に聞こえてこなくなってしまった事、(時の流れは仕方がないこととはいえ)残念でなりません....
アーサー王伝説のパロディ
アーサー王が、桃太郎の鬼退治よろしく円卓の騎士をスカウトしながら、聖杯を手に入れるために難儀な旅をするストーリーが主軸だが、リアルな馬の代わりに効果音で使うようなココナッツを打ち叩きながらギャロップ走りをすることからして色々と可笑しく、ブラックかつナンセンスなギャグ満載の、彼らならではの作品だと思った。 私的には、謎の「ニー」族、凶暴なウサギ、スフィンクスの謎解きシーンが結構ウケた。
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