モンタナの風に抱かれてのレビュー・感想・評価
全3件を表示
抱かれたかった 優しい腕の中で
愛馬ピルグリムと共に事故に巻き込まれ、深く心に傷を抱える少女グレイスをスカーレット・ヨハンソンが好演。
雑誌編集長としてニューヨークで働く母アニー( クリスティン・スコット・トーマス )と感情をぶつけ合う姿が切ない。
ショートヘアのクリスティン・スコット・トーマスの凛とした美しさに目を見張る。
グレイスとアニー親子を温かく迎え入れるブッカーファミリーが心優しい。
モンタナの雄大な自然の中で、自在に馬を駆るトム( ロバート・レッドフォード )に心惹かれるアニーの心情は理解出来る。
アニー、トム、グレイス、夫ロバート( サム・ニール )、それぞれの思いが交錯する余韻が残る作品。
ー このままだとあの子を失う
ー ホース・ウィスパラー( 馬に囁く者 )
NHK-BSを録画にて鑑賞( 字幕 )
馬の精神科医?
私は人間なので他の動物のことはわからない。
人間にしか感情が無いように思いがちだが、皆立派に感情を持ち合わせている。
トラックから身を挺してグレースを守って重傷を負ったあの馬は人間不信になったのだろうか。獣医でさえ安楽死しか選択肢が無いと判断しているにもかかわらず、断固拒否したアニーの判断は正しかった、とラストでわかる。
アニーは、気が強くて思ったことを相手の気持ちお構いなしにズバズバ口に出す性格である。雑誌の編集長を務めるキャリアウーマンでもある。夫とグレースの三人暮らし。
可愛い愛娘グレースも負傷し右脚切断という大変な事態となってしまった。
グレースが受けた傷は、身体だけではない。
精神面にも深く傷跡を残してしまっていたのである。
グレースを元のように明るい朗らかな子に戻したい、その為にはあの馬を元通りにしないと。
必死に馬のことについて調べ行き着いたのがモンタナのトム。来てくれないので、グレースも連れて出向いて行くこととなった。
トムは忙しいからと、なかなか話に乗ってくれないが、次第にみてくれるようになり、心を通い合わせられるよう様々なことを試み調教していく。
そんなトムに縋る思いで心の内を話していくグレース。母のアニーは頼もしいトムに恋心を抱いていた。
だんだん馬がトムの言うことを聞くようになった。
トムもアニーに恋していた。
が、夫のロバートがやって来る。
気づかれていないようで気づいていたロバート。
とうとうグレースが以前のように馬に乗ることができた。
喜ぶロバートとアニー。
トムもロバートも男らしく潔い。
アニーは‥?
というか、アニー、どうしたんだ?と感じていた。
心身の傷を癒す
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 75
レッドフォード作品なので、美しい自然を背景にした自然賛美と自分の男前度を前面に出した美しく撮影されただけの映画だったら嫌だと警戒しつつ見たのだが、思ったよりも良かった。
事故で心身ともに深く傷ついた娘と、仕事に追われながらも娘を心配する母親。かつては娘の生活の一部であった愛馬を取り戻すために決断したモンタナ行き。馬は娘の生活の本当に大きな部分を占めていた。彼女の傷だけでなく、事故でその馬も心身を激しく傷つけていた。それは彼女に辛い思い出に直面させることを強要する。友人を失い足を失いかつての栄光の愛馬を失った彼女には、これからに向かって心の治療と生きる希望が必要だった。
難しいと思われていた馬の治療が進展を見せ、日常を離れたのどかな環境でそれを見た娘も心の痛みを告白して傷を癒すことが出来た。母は多忙な仕事をしばし離れて、本来の目的である馬と娘の治療以外にも得るものがあった。田舎の美しい自然が都会よりいいと必ずしも主張しているわけではないのも評価できる。あくまで自然の美しさはおまけで、馬と娘の治療する場所が美しかっただけという扱い。
最後は結局かっこいい爽やかレッドフォードが出てくるのかよと思ったが、でしゃばり過ぎなかったので安っぽく物語の主題が崩れる前に踏みとどまってくれた。
全3件を表示