メンフィス・ベルのレビュー・感想・評価
全6件を表示
地獄
戦場では何が起こるかわからない。
特に、空中戦というものは難しくて、素早い。
10人の男達が飛行機に乗って、爆弾を敵にぶちまけて、基地に帰る。
ただそれだけ。その途中でいろんなアクシデントが発生する。そんな映画。
息をつく間もないアクシデントが荒波のように襲ってくる。
操縦席でトマトスープが爆発したり、新兵の乗ったB-17が真っ二つになったりする。
ナチスドイツの高射砲が撃ちまくってくる。戦闘機が突っ込んでくる。
激しすぎる攻撃に耐えられない、12,731機も造られた、エンジンを四つも付けた「空の要塞」があっけなく落ちていく。爆発する。
そのたびに周りの仲間は戦慄する。真っ青になる。
悲しんでいる感情が出る間もなく、BF109が突撃してくる。
銃座が撃ちまくる。当たっているのかは全く解らない。
漸く爆撃目標に達したB-17は爆弾をばらまく。
機体の周りは対空砲火で真っ黒だ。爆弾投下。目標撃破。
反転してイギリスへ。
またBF109が襲ってくる。被弾してエンジンが炎上しだす。
急降下して消火だ。機体の限界に迫る。オーバースピード!
何とか消して、コンバットボックスに復帰する。
イギリスの飛行場に辿り着くも、ギアが出ない!
手動で無理矢理繰り出す!着陸成功!
「メンフィス・ベル」が空を飛んでいる時間は、凄まじい緊張感が支配する。
単純明快でずっとハラハラさせられる名作。
B-17の実機使えるのはずるいよなぁ
複雑な思いを胸に飛ぶ
B-17F爆撃機メンフィス・ベルに搭乗する10名の若者達の姿が切ない。
司令官クレイグを演じたデヴィッド・ストラザーンが渋い演技で魅せる。
飛行中の爆撃機内の緊迫した映像がリアルで、無事帰還するという事がどんなに厳しく難しい事かを痛感させられる。
名曲と共に映るラストの帰還シーンが沁みた。
-20万の航空兵の命が失われた
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
『国際紛争解決には別の方法があるはず』
戦死者の遺族の手紙を読む場面で、遺族の手紙の中に『国際紛争解決には別の方法があるはず』と言って『無事の帰還を祈る』と続く。
さて、それが戦争を終わらせる唯一の方法だと思う。しかし、『ナチスドイツの侵略戦争なのだから、仕方ない』と考えるのが歴史的な正解なのだが、それでも、しかし『戦争を終わらせる』には『攻撃しない』って事だと思う。
この映画はプロパガンダ映画だと思うが、遺族の言葉を入れた所だけを評価する。
不毛の争い
メンフィス・ベル(B-17F)は第二次大戦のヨーロッパ戦線で活躍した実在の戦略爆撃機。
航続距離の関係で戦闘機の護衛も無く対空砲火の厳しい昼間爆撃では撃墜される機も多かった。
当時25回(後に30回)の出撃で帰還すれば本国に戻れる特例が設けられた、第八空軍の6割が達成できずに撃墜されているそうだ。
戦時国債の販促や士気高揚を狙って軍の広報部は1944年にメンフィスビル出撃のドキュメンタリー映画(The Memphis Belle: A Story of a Flying Fortress)を作っている、なんと監督は「ベンハー(1959)」や「ローマの休日(1953)」でも有名なウィリアム・ワイラー(当時少佐)さんでした。
本作は大分脚色されてはいますがワイラーの娘のキャサリン・ワイラーさんがお父さんを忍んで製作したリメイク作品です。
また、グレゴリー・ペックがクールな司令官を演じた「頭上の敵機(1950)」も同じB-17爆撃隊の戦争映画でした。ヨーロッパでの戦いは米軍兵士にしてみれば助っ人意識、弱い使命感、死への恐怖心から梵ミスもあり多くの若い兵士が命を落としたのですが、その辺の問題をシリアスに扱ったのは「頭上の敵機」の方でしょう、本作は搭乗員の描写も浅いように思えます。
出撃前夜のパーティは実際には行われていませんし、民間人を殺さない為に目標視認まで旋回するなど美談のように描かれていますが脚色でしょう。リスクの高い昼間爆撃は無差別爆撃を避けるための米軍の戦法で英軍はもっぱら夜間爆撃だったとされていますが戦局がエスカレートするにつれドイツでは 131 の市町村が爆撃され、英米両軍による無差別爆撃により、約 60 万人のドイツ市民が死亡したと言われています。民間人が犠牲にならない戦争など古今東西あり得ないことだけは確か、今またウクライナ戦争の真っただ中、人類はいつまで不毛の争いを続けるのか胸が痛みます。
戦争における青春群像
総合85点 ( ストーリー:80点|キャスト:75点|演出:85点|ビジュアル:85点|音楽:70点 )
戦争映画だが若者たちの姿を描いた爽やかな青春劇でもある。最後の任務を果そうとドイツに飛び、傷つきながら帰還を果そうと奮闘するメンフィス・ベルとその乗員たちの生き様と行方に引き付けられた。
乗員は同じ部隊に所属する兵士ではあるが必ずしも友人同士というわけでもない。任期が終われば本国の故郷にばらばらに帰り、もう二度と会うこともないかもしれない。
しかし任務を果すために集い力を合わせて生き抜こうとする場面が観られる。大空にドイツ軍戦闘機が飛び交う。迎撃を受けて次々に落伍していく味方の姿に、その死を悼むと同時に次は我が身かと死を感じざる得ない。続いて高射砲の攻撃を受けて損害が拡大していく。空での敵味方の飛び交う飛行機の映像とB17内部での乗員の描写が現実的で質が高くて緊迫感があった。
CGの無い時代に第二次大戦時代の飛行機が飛ぶ姿が見られるだけでも素晴らしい。たまに特撮がそれとわかってしまう部分もあるが、全体として映像は良く出来ている。
高射砲が恐ろしい
ドイツ空軍の戦闘機が襲ってくる時よりも、高射砲の弾丸が爆撃機の周囲で破裂するときのほうが怖かったな。運任せ以外の何物でもない状況下で、冷静に爆撃目標を定める機長の肝っ玉。本当にそんなことが出来ただろうか。
生きて還ったとは言え、もう二度とやりたくない作戦だっただろう。この乗員たちにとってはラスト・ミッションだったというのが救い。
全6件を表示