無敵艦隊
解説
「会議は踊る」「リリオム」のエリッヒ・ポマーがアレクサンダー・コルダの許で製作した映画で、監督は「米国の機密室」「Gウーマン」のウィリアム・K・ハワードが任じた。原作はA・E・W・メーソンの小説で「アンナ・カレニナ」のクレメンス・ディーンがセルゲイ・ノルバンドフと協力脚色した。出演者はイギリス劇界に名あるフローラ・ロブソン、「来るべき世界」「紅はこべ」のレイモンド・マッセイ、「貞操切符」「心のふるさと」のローレンス・オリヴィエ、「コンゴウ部隊」「暗殺者の家」のレスリー・バンクス、舞台の老優モートン・セルテン、イギリス映画界の花形ヴィヴィアン・リー、同じく新進のタマーラ・デスニ等という顔ぶれである。キャメラは「奇傑パンチョ」「影なき男」のジェームズ・ウォン・ホウが担当した。
1937年製作/イギリス
原題または英題:Fire Over England
ストーリー
十六世紀後葉、スペインはフィリップ二世の治下に、新大陸に広大な植民地を営み海洋には世界最大の艦隊と商船を以て覇を唱えて居た。ところが一島国たるイギリスはイギリス君エリザベス女王に統べられて、外に向かって国威発揚の途にあった。フィリップ二世はエリザベスとは姻戚関係にあり、両国は表面極めて親密であったが、フランシス・ドレイク等のイギリス軍将士は海賊となって、スペイン植民地を劫掠し、スペイン商船を拿捕して、イギリスの国庫充実を計った。スペイン海岸はイギリス海賊を捕らえると新教徒たるイギリス人を異教徒として宗教裁判に附し、容赦なく焚殺して報復した。時も時ドレイクは大胆にもスペインカヂス港を襲ったのでスペイン大使は厳重抗議し、エリザベス女王を国交断絶を以て脅かそうとしたが女王は屈しなかった。時、ドレイクの部下のリチャード・インゴルビーはリスボン沖でスペイン軍艦と戦い運拙く敗れて、インゴルビーは息子マイケルと共に捕らわれた。スペインの将ドン・ミゲルとインゴルビーは親友であった。ドン・ミゲルはマイケルを助ける事となり、溺死と報告した。マイケルは闇の中に海岸に泳ぎつき、ミゲルの邸に介抱され、息女エレナに恋された。が父リチャードが焚殺されるや、彼は単身一漁舟を操って帰英し、スペインの国情を女王に言上した。マイケルは大蔵卿バーリーの孫娘シンシアと恋仲で、二人は再会を喜び合った。当時、イギリス宮廷にはスペインと内通している売国奴の一味があった。その一人ヴェーンが大陸漫遊の旅券下附を願い出たのを女王の寵臣レスター卿は怪しみ、部下をして捕縛させんとしたが、ヴェーンは投身溺死して死体も出なかった。マイケルはヴェーンの身代わりとなり、スペインへ赴いてフィリップ二世に面謁し、イギリス内の売国奴一味の連名を探知した。そして危うく捕らわれんとしたが辛うじて虎口を脱してイギリスへ馳せ帰った。時既にスペインの百五十隻より成る無敵艦隊は一挙イギリスを撃たんと来襲した。マイケルは売国奴一味の名を言上した。英明エリザベス女王は彼等を絞首する代わりに国難に死せよと命じ、マイケルを指揮者として七隻の小艦に分乗して無敵艦隊に突入し、自ら艦に火を放った。折しも神風吹き起こって無敵艦隊は全滅してマイケルは大功を樹て其の功により彼はシンシアとの結婚を許された。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ウィリアム・K・ハワード
- 脚色
- クレメンス・デイン
- セルゲイ・ノルバンドフ
- 原作
- A・E・W・メーソン
- 製作
- エリッヒ・ポマー
- 撮影
- ジェームズ・ウォン・ホウ
- 美術
- ラザール・メールソン
- 音楽監督
- ミュア・マシースン
- 音楽
- リチャード・アディンセル
- 編集
- Jack Dennis
- 衣装デザイン
- ルネ・ハーバート
-
Queen Elizabethフローラ・ロブソン
-
Philip of Spainレイモンド・マッセイ
-
Leicesterレスリー・バンクス
-
Michael Ingolbyローレンス・オリビエ
-
Cynthiaビビアン・リー
-
Burleighモートン・セルテン
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Elenaタマーラ・デスニ
-
Sir Richard Ingolbyリン・ハーディング
-
GregoryGeorge Thirlwell
-
Spanish Ambassadorヘンリー・オスカー
-
Don MiguelRobert Rendell
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Don Pedroロバート・ニュートン
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Don Escobalドナルド・カルスロップ
-
Admiral Valdezチャールズ・カーソン