劇場公開日 1973年4月21日

見えない恐怖のレビュー・感想・評価

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4.0【盲目の女性が周囲の異常に気づかない、ローアングルを多用したショット多数が怖い作品。】

2024年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

ー 盲目の女性のサスペンスと言えば、「暗くなるまで待って」や韓国映画の「ブラインド」や邦画のリメイク作「見えない目撃者」等を思い出すが、犯人に狙われる主人公が、目が見えないからこその、観る側がハラハラする描写や展開が惹きこまれるのであろう。

  今作でも叔父夫婦の家に住むサラ(ミア・ファロー)が、家に戻った時に、目を見開いて口から血を流して死んでいる叔父夫婦の娘ベティの横でベッドに入ったり、叔父夫婦が殺されているのに気づかずに、お茶を入れるシーンや、床に割れたガラスが落ちているのに、そこを裸足で歩くシーンをローアングルで撮るショットが、ハラハラして怖いのである。

  又、ミア・ファロー自身が、「ローズマリーの赤ちゃん」では、漸く産めた子を悪魔崇拝者たちに取られてしまう役や、「ナイル殺人事件」では恋人を金持ちの友人に恋人を取られる役を演じているためか、【不幸が似合う女優】として、私の脳内にインプットされており、今作でも最終盤まで、犯人に追われハラハラするシーンが多いので、実に怖いのである。

<今作は、犯人が履く、星印のついたブーツが序盤からローアングルで何度も映され、徐々にそのブーツを履いた男がサラに襲い掛かるシーンまでの、タメが良く効いたサスペンススリラーである。>

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NOBU

4.0見えない相貌

2023年7月21日
iPhoneアプリから投稿

サイコスリラーは夜という状況と相性がいい。殺人鬼が私を殺すかもしれないという主観的恐怖に、真っ暗な夜という客観的恐怖を意図的にダブらせることで受け手の恐怖が倍増するからだ。しかし本作はそうしたサイコスリラーの常道に自ら背を向ける。夜という視覚的な外連味を極力排し、主人公の感じる主観的恐怖だけを丁寧に描き出す。

主人公のミアは盲人、すなわち五感の中で最も権威的である視覚を封じられている。彼女の認識はもっぱら聴覚と感覚を通じて行われるため、健常な周囲の人々とはものごとの認識に大きなタイムラグがある。彼女にとってはサイドテーブルに並んだ瓶の中からワインを選び出すことさえ一苦労だ。恋人から馬をプレゼントされた際も、目の前に既に馬がいるというのに、実際に手を触れてみるまでそれを認識できない。

こうした一連の描写から、我々は彼女の置かれた状況の恐ろしさをなんとなく理解する。殺人鬼が彼女の前に現れたとして、彼女は往年のサイコスリラー映画の主人公たちのように、咄嗟の機転で物陰に隠れたりすることも、反撃を加えたりすることもできないのだ。

加えて本作が巧妙なのは、ミアの失明状態を受け手にも疑似的に体験させることで、ミアの感じる恐怖により深くコミットできるような仕掛けが施されていることだ。本作では星のマークがついたウエスタンブーツの男が殺人鬼なのだが、彼の相貌は最後まで判明しない。カメラは常に殺人鬼の脚部だけを映し出す。我々もまた、部分的にではあるがミアと類似の状況に置かれているわけだ。見えないということは恐ろしい。それは本作のリファレンス元であるスティーブン・スピルバーグ『激突!』に登場するあの身元不明のトラック運転手が証明している。

ミアと殺人鬼が繰り広げる白昼堂々の逃走劇には鬼気迫るものがある。殺人鬼が家の中にいることを知ったミアは家の外へ逃げ出そうとするが、途中で棚の上の電飾に衝突し大きな音を立ててしまう。普通のサイコスリラーであれば稚拙なギミックに過ぎない描写だが、目が見えないという彼女の窮状を鑑みれば、それが彼女のパニック具合を如実に表したものであることが窺える。家から飛び出たあとの描写にしても、普通であれば真っ先に隣の家に助けを求めに行けばいいものの、彼女は家の隣の馬小屋に身を潜める。感覚によって周囲の地理を把握している彼女にとっては、それが唯一の逃走線なのだ。

馬に乗って命からがら殺人鬼の魔の手を逃れたミアだったが、辿り着いたジプシーの村落でも一悶着が。ここではジプシーのジャックという男が殺人鬼であることが仄めかされる。ジャックの相貌がカメラに映し出されたとき、受け手はようやく真相が見えたことにひとときの安堵を覚えるが、ある程度勘の良い者は彼の脚部だけが映されていないことに気がつく。事実、彼は冤罪者であり、真実は再び闇の中へ。このときミアは息子が殺人鬼だと勘違いしたジャックの父親によって廃坑の小屋に閉じ込められてしまうのだが、盲人が周囲に何もない廃坑に放り出される恐怖は計り知れない。打ち捨てられた廃車を金属片で叩きながら「HELP」と叫び続ける彼女の心境は、さながら大洋の真ん中で旗を振り続ける海難者のそれに近かったに違いない。

以降の展開にはややドンチャンやりすぎな感じもあったが、主人公の主観的な恐怖だけに焦点を絞って丹念に描写を紡ぎ上げていく姿勢に概して好感の持てる一作だった。

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因果

3.5『シーフォーミー』と同じ盲目の設定

2022年12月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

『ローズマリーの赤ちゃん』や『カイロの紫のバラ』のミア・ファロー主演です。

盲目の女性が、一家惨殺の事件に遭遇しますが…。

今年、映画館で観た『シーフォーミー』と同じ盲目の設定。

『シーフォーミー』は、この映画の影響あるのかな?

緊張感や緊迫感は、あまり感じなくて、残念…

緊張感や緊迫感あふれ、ハラハラするのが、観たかった…

ガッカリ作…(笑)

『激突!』のオマージュ?は良かった。

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RAIN DOG

2.5見えても恐怖

2021年5月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

ミア・ファローが不憫で仕方がない、ガラスの破片にヒヤヒヤ、馬で脱出成功かと木の枝が障害物、元の場所に帰れる馬の従順さが可愛い、急なビンタと泥だらけの姿、絶体絶命のピンチにバッドエンド!?

星を象ったウェスタンブーツ、犯人は常に足下だけを映す演出は鈴木清順の「刺青一代」でも赤い靴の足下だけを描写する意気で斬新な手法か。

犯人が見えない恐怖心もあるが何処にいるのかすら分からない状況が怖い、目が見えていても知らない場所に取り残されたら絶望すら感じてしまう。

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万年 東一

3.0観客だけは知っている

2020年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 家に帰ると誰もいない・・・たしか出かけるときに「遅くなるから」と言ってた叔父。とりあえず従妹のサンディと一緒の部屋で寝てしまおう・・・だけど隣のベッドにはサンディの死体。朝起きて風呂に入ろうとバスタブに湯を張る・・・しかし、バスタブには叔父の死体が。盲目のサラにとっては見えない惨劇が観客にはわかる仕組みなのだ。

 ストーリーはワンシチュエーションだけど、緊張感を持続。事実を理解したサラの表情が素晴らしいのだけど、『ローズマリーの赤ちゃん』でミア・ファローの演技を知ってるので恐怖感はそれほど伝わってこない。どうしても実際に盲目だったらどうなの?と考えてしまうシーンが多いのかもしれない。

 犯人はジプシーの青年だと思わせておいて、実はそうではない。などとわかりやすい展開ではあるけど、執拗なまでに★がついた犯人のブーツばかりを追ったカメラなど、実験的手法がおもしろかった。

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kossy

4.5ミア・ファロー

2019年5月26日
PCから投稿

怖い

盲目の女性が殺人事件に巻き込まれるサイコスリラー。
シンプルですが構成が上手いっ!
見応え十分な掘り出し物。
鑑賞日:2015.3.29

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miharyi