「【無償の献身】」街の灯(1931) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【無償の献身】
- 名作中の名作であるので、久しぶりに鑑賞した感想のみを記す。-
・自分自身が貧しいのに、目の不自由な花売りの娘を助けようと奮闘するペーソス感も漂う貧しいが心優しき男の姿。
・富豪の男が自死を止めて貰ったお礼に”酔っぱらっているときだけ”男を”親友”と思う設定の絶妙さ。
(だって、素面になると忘れて、酔うと思い出すって有りえないでしょう?だが、この設定が今作の可笑しみを高めているのだから、チャップリンの脚本というか、人物設定が素晴らしい)
・お金を稼ぐためにいかさまボクシングに出るシーン。
ー 個人的に”白眉”のシーンー
レフリーの後ろに隠れながら、ちょいちょいジャブを繰り出し、そのうち、レフリーと男と相手の3人の変なダンスに見えるシーンは何度観ても、笑う。
・娘の毛絲を巻くお手伝いのシーン。
いつの間にやら、自分の衣服の毛絲が巻き取られていくのに、(娘は見えない・・)困ったなあという顔をしながらも最後まで巻き取られてあげる男の表情。
・富豪の男から貰った大金を娘に渡すシーン。
家賃が払えず、困窮する娘に、最初は一枚だけ自分のポケットに残し、他は全て与えるが、最後にはその一枚も渡す場面。
ー このシーンの前に映し出されていた壁新聞の”目を直す医者がいる”というシーンが活きて来る・・。ー
・男が”泥棒に間違われて”警察に捕まり、刑務所から出て来て、(身なりは一層貧しくなっている。)街角で花売りの娘と再会するシーン。
目が見えるようになって立派な花屋を営んでいる娘は、最初男が誰だか分からないが、男の手、身体を触って気付き、”自分と母親を助けてくれた男”をその治った目で見つめるシーン。
何度観ても良い・・。
<心底疲れる毎日を送っているが、朝刊でNHKが今作を放映することを目にし、ビデオ録画し、帰宅後、夜中に鑑賞。
現在、身を呈しての活動を日々行って頂いている医療関係者の多くの方々の姿が脳裏に過った・・。
本当に有難うございます。
”一刻も早い終息を願いつつ。”>
ずいぶん昔に見たのでうろ覚えですが、花売りの娘の「あなたが?」の表情がなんとも言えないです。
世界中が疲れてますが、まだまだ共存していくしかないんでしょうね。
せめて美しいものを見て、心をなだめないと、と思います。